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仕事を休む理由は病気だけじゃない|精神的に辛い場合も早めに休み早期の回復を目指そう

新型コロナウイルスの感染拡大により、仕事のあり方は大きく変わりました。
その中のひとつが、「体調が悪いときは無理せず休むこと」です。
そうすることで、病気が早めに治るだけでなく、周囲の人を感染から守ることができます。

しかし、体調が悪くても「会社の人に迷惑をかけてしまう」「これくらいなら頑張れる」と無理をしてしまう人も少なくありません。
このような仕事のやり方では、身体の不調だけではなく、精神面の不調も引き起こす可能性があります。

そこで今回は、無理せずに休むことの重要性や利用できる制度などをまとめました。
「長く健康的に働くための休み方」について、考えていきましょう。

目次

有給取得率は約50%!休むことに抵抗のある人が多い

仕事を休む重要性。なぜ無理せず休む必要があるのか

身体の病気だけじゃない!精神面の不調にも休息が大切

着実に回復するために 仕事を休んでいるときの過ごし方

仕事を休むときに使える制度とは

まとめ

有給取得率は約50%!休むことに抵抗のある人が多い

「休みたいけど、思うように休めない」という人は多く、有給休暇に関するデータから見て取れます。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構によると、年次有給休暇の取得率は近年上昇傾向にあります。
しかし、調査開始当初から見ると概ね50%前後で推移しており、大きな変化は見られません。*1
引用)独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「早わかり グラフでみる長期労働統計 Ⅴ労働時間 図4年次有給休暇」
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0504.html

次に、有給休暇を取得できない理由について見てみましょう。
平成23年に発表したデータによると、年次有給休暇を取り残す理由の肯定割合(「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計)が最も高いのは、「病気や急な用事のために残しておく必要があるから」で64.6%でした。*2
以下、「休むと職場の他の人に迷惑になるから」60.2%、「仕事量が多過ぎて休んでいる余裕がないから」52.7%と続きます。*2

この結果から、自分の都合よりも職場の環境や状況を優先させて、休むのをためらっている人が多いことが分かります。
本来であれば、有給休暇は労働者の権利なので、自分の意思で取得できるはずです。
しかし、「どうしても働けない明確な理由がないと休みづらい」と感じる人が多いことが推測できます。

引用)独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「『年次有給休暇の取得に関する調査』調査結果」
https://www.jil.go.jp/press/documents/20110425.pdf 4P

仕事を休む重要性。なぜ無理せず休む必要があるのか

休むことに抵抗のある人は多いですが、それでも体調が悪いときには無理せず休む必要があります。
主な理由は2つです。

①病気を早めに治せる
早めに休息をとることで、体力の回復や免疫力アップにつながり、病気を早い段階で治せます。
また、体調が悪いまま働くよりも、早期に治して出社した方が効率良く働けます。

②周囲の人にうつさない
コロナ禍において、いわゆる「三密」の回避や不要不急の外出自粛が勧められています。
その理由は、感染症が人との接触により拡大するためです。
体調不良の原因が感染症で、そのまま出社すると、人にうつしてしまいます。
そうすると欠勤する人が増え、会社の機能がストップする可能性もあります。
「このくらいなら大丈夫」と油断せず、早めに休むことで周囲の人を感染症から守れます。

以上は身体面への影響ですが、それだけでなく無理せず休むことは精神面の不調にも効果的です。
次の見出しで、詳しく解説します。

 

身体の病気だけじゃない!精神面の不調にも休息が大切

近年、精神面の不調を訴える人が増えています。

厚生労働省は、うつ病をはじめとする気分障害の患者数について調査を行いました。
平成8年は総患者数が43.3万人でしたが、平成29年には127.6万人と21年間で2.9倍に増加しています。*3
精神面の不調は病院の受診をためらう人もいるので、実際にはデータよりも多くの患者がいると考えられます。

引用)厚生労働省 「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス こころの健康対策~うつ病~」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/nation/dyp.html

精神面の不調の原因はさまざまです。
過酷な労働環境だけでなく、異動や転職といったよくある環境の変化でも不調が出やすくなります。

初期の段階で多い症状は、「やる気がおきない」「食欲がない」「眠れない」などです。
悪化すれば、うつ病や適応障害などの精神疾患を発症し、治るまでに時間がかかることもあります。

症状を悪化させないためにも、早めに休むことが大切です。
身体が疲れたら休むのと同じで、精神面のエネルギーが不足したときも休むことで回復できます。

 

着実に回復するために 仕事を休んでいるときの過ごし方

「休む」と一言でいっても、さまざまな過ごし方があります。
回復段階に合わせて適した過ごし方がありますので、順番にみていきましょう。

①安静にして休息をとる
体調不良の初期の段階では、とにかく安静にすることが大切です。
睡眠をしっかりとるようにしましょう。
起きているときもできるだけ横になって、体力を温存します。
特に精神面の不調の場合、休みに罪悪感を感じて焦ってしまいがちですが、自然に気持ちが上向いてくるまで気長に休みましょう。

②少しずつ活動を増やす
急に活動を増やすと、心身共に疲れてしまい、症状が悪化する可能性があります。
身の回りのことから始めて、様子をみながら少しずつ活動量を増やしましょう。
徐々に発症前の体力に戻ってきたら、散歩や趣味、旅行など「積極的な休息」を取り入れるのもおすすめです。
積極的な休息とは、単純に身体を休めるのではなく、心が豊かになるような休息をいいます。
自分の心の声を聞きながら、好きなことを適度に取り入れてみてください。

③規則正しい生活を意識する
さらに回復してきたら、仕事復帰を見据えて規則正しい生活リズムで過ごしましょう。
バランスのとれた食事や早寝早起きは、健康的な生活に欠かせません。
精神面にもよい効果があり、メンタルが安定します。

④今後の働き方を考える
体調不良の原因が仕事の場合、働き方そのものを見直さないと再発する可能性があります。
現在の職場環境と自分の希望する働き方を振り返り、今後の働き方について考えましょう。
改善されなければ転職するのもひとつの方法ですが、精神面が不安定なときはベストな決断ができません。
まずはゆっくり休んで回復してから、考えてみてください。

 

仕事を休むときに使える制度とは

仕事を休むうえで利用できる制度はさまざまあります。
また、大きな不安要素である「収入減少」に対する制度もありますので、参考にしてください。

①年次有給休暇
半年間継続して雇用されており、全労働の8割以上出勤していれば取得できます。
平成31年4月より、使用者は法定の年次有給休暇が10日間以上の全ての労働者に対して、毎年5日間確実に取得させなければならないと定められました。
年次有給休暇は、労働基準法で定められている制度なので、全ての労働者が対象です。
給与は、平均賃金か所定の労働時間を働いた場合に支払われる通常の賃金が支払われます。

②休職制度
さまざまな理由で働けなくなったときに、雇用を維持したまま仕事を休める制度です。
法律では定められておらず、会社の就業規則によります。
給与は支払われないことが多いのですが、休んだ日数に応じて傷病手当金を申請できます。

③傷病休暇
病気や怪我などで、長期的に仕事ができなくなったときに利用できる制度です。
休職制度と同様に法律での定めはなく、会社によって利用できるかどうかは異なります。
病気や怪我が起きた状況によって、「公傷病休暇」と「私傷病休暇」に分けられます。
公傷病休暇では、業務中におこったケガや病気が対象で、労災保険が適応となります。
一方、プライベートでのケガや病気が対象となる私傷病休暇では、傷病手当金を申請できます。

まとめ

心身共に健康で働くためには、無理せず休むことが必要です。
努力家で真面目な人ほど、仕事を休みづらいと感じるかもしれません。
しかし、体調不良は誰にでも起こり得ることです。
自分の不調に早期に気づき、無理せず休むことで早期回復につながります。

「頑張るときは頑張る」「つらいときは休む」
このようなバランスが、よりよく働くために必要だと感じます。
休むことに罪悪感を感じる必要はありません。
無理せず休みながら、自分に合った働き方を実現していきましょう。

*1
参考)独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「早わかり グラフでみる長期労働統計 Ⅴ労働時間 図4年次有給休暇」
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0504.html

*2
参考)独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「『年次有給休暇の取得に関する調査』調査結果」
https://www.jil.go.jp/press/documents/20110425.pdf 4P

*3
参考)厚生労働省 「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス こころの健康対策~うつ病~」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/nation/dyp.html

著者:浅野すずか
フリーライター。看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。

 

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