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シングルマザーの副業・ダブルワークはどんな働き方が良い?収入や社会保険は?

シングルマザーにとって、子どもの将来のためにどれだけ稼いでおけるかは切実な問題です。
本業だけでは毎日の生活費でいっぱい、という時、副業やダブルワークを考える人も多いことでしょう。

ここで、シングルマザーの働き方や収入などについての現状と、副業やダブルワークに際して知っておきたい税金や社会保険の制度について紹介します。

目次

シングルマザーの平均年収

副業・ダブルワークを考えるにあたって確認したいこと

役立つ資格やスキル、向いている副業の種類は?

副業をする場合の税金・社会保険

まとめ

シングルマザーの平均年収

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」*1によると、平成27年の母子世帯の平均年間収入中央値は208万円でした。
このうち、母親の就労収入は169万円です。
雇用形態を見ると、正社員よりも派遣・パート・アルバイトなどのいわゆる「非正規雇用」の数が多くなっています(図1)。


図1 母子世帯の母の就業状況(出所:「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11920000-Kodomokateikyoku/0000188157.pdf p13
※カッコ内が割合を示す。

また、収入について別の側面から見ると、日本で「相対的貧困」の状態を表す「貧困線」ははひとり当たり122万円(平成27年)*2ですから、母子家庭の多くは貧困状態にあると考えられます。

日々の生活でいっぱいになってしまい、子どもの学費や将来の進学を考えると、動けるうちになるべく稼いでおきたいと考えるのは当然のことでしょう。

そこで副業やダブルワークを検討する人は少なくありません。
実際、シングルマザーで副業をしている人の割合は全体の8.4%で、仕事の内容は以下のようなものです(図2)。

図2 母子世帯の副業の状況(出所:「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11920000-Kodomokateikyoku/0000188160.pdf p22
※カッコ内が割合を示す。

本業の就労形態にもよりますが、本業で平日フルタイムの仕事に就いている場合は、特に子供が小さい間は長時間留守をさせるわけにいかないため、なかなか副業に踏み出せない人は多いことでしょう。

副業・ダブルワークを考えるにあたって確認したいこと

こうした中で副業を考える時、まず最初に確認しておきたいことがあります。

まず、現在の本業の勤め先が副業を許可しているかどうかです。特に正社員の場合、副業を禁止している企業の方が圧倒的多数です。
本業先で発覚してトラブルになるのは避けたいところです。必ず確認しておきましょう。

また、計画性が必要です。
当然、続けられる副業があれば少しでも多く稼ぎたいと考えるのは当然ですが、子育てもしなければならないシングルマザーはなおさら、体が資本です。
1週間あるいは1か月のうちどのくらいの時間を副業に充てるのか、副業収入はどう使いたいのか、そのためには月に副業でいくら収入があれば良いのかを最初に決め、計画的に副業探しをするのが良いでしょう。

なお、後述しますが、副業で収入を得る場合、確定申告など税金の面でも考慮しなければならない点があります。

 

役立つ資格やスキル、向いている副業の種類は?

厚生労働省の調査では、シングルマザーで何らかの資格を持っている人の割合は61.2%です*3。具体的にはこのようなものです。(図3)。


図3 母子世帯の副業の状況(出所:「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11920000-Kodomokateikyoku/0000188161.pdf p24

資格は概ね役立っているようです。
役立っていると答えている人が多い資格には医療関係が目立ちますが、副業を考えるとき、在宅ワークに向いているパソコンや簿記といった資格には注目しておきたいところです。

新型コロナの影響で以前よりも在宅ワーカーの需要は増していると考えられます。
そして、パソコンは在宅ワークの大前提ですので、簡単な事務作業ができる程度のスキルは在宅では必須でしょう。

副業には様々なパターンが考えられます。

本業が週5日フルタイムでの勤務であるとして,
主に以下のような働き方が想定できますが、それぞれにメリットやデメリットがあります。

①飲食店・コンビニなど夜間副業
夜間は時給が高く設定されていると同時に、アルバイトやパートとしては仕事を探しやすいというメリットがあります。
しかし、体力的な負担が大きく、遅くまで子どもだけにしてしまうという難点があります。

②本業の休日に副業
平日5日勤務とした場合、土日のどちらかで働くという方法です。365日働くというわけには行きませんので、現実的には休日のどちらかということになるでしょう。

体力的にはまだ現実味がありそうですが、週1日のみの勤務で採用してくれる職場をうまく探す必要があります。日雇いのアルバイトを探すのもひとつの手段です。

③在宅ワーク(クラウドソーシング)
自宅で仕事をできる、時間に融通がきくのは大きな利点です。
一方で、現在多くのサービスが提供されているクラウドソーシングでは、
「本当にスキマ時間やスマホだけでできるが、単価が非常に安い」
という仕事も多く、受注量を安定させるまでにはある程度のスキルや経験の積み重ねが求められます。
また、「ブログのアフィリエイト」という仕事がよく紹介されていますが、それなりのスキルがなければそう簡単に稼げるものではないというのが実情です。

④副業起業
休日だけ、短時間だけ、自宅拠点、といった自由な副業のスタイルを取ることができます。副業としてはこれが最も理想型とも言えます。
一方でビジネスアイデアや強い資格、手元資金があるかどうかという問題に直面します。

 

副業をする場合の税金・社会保険

さて、副業にあたって、所得税や社会保険についての注意点があります。

まず、厚生年金と社会保険です。
パートやアルバイトといった非正規雇用でも、以下の条件を満たせば社会保険の加入対象になります(図4)。


図4 社会保険の加入対象(出所:「平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)」厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/2810tekiyoukakudai.html

条件を満たす場合は、勤め先に確認しておきましょう。

また、厚生年金については注意が必要です。
本業・副業先共に上の条件を満たしている場合、両方の厚生年金に加入する必要があります。
その上で、どちらの事業所の厚生年金をメインにするかを年金事務所に申告しなければなりません。
この場合、保険料は選んだ事業所での所得だけでなく、副業先も合算した収入をベースに算出されますので、割高になる可能性もあります。

副業が個人事業の場合は、副業分は厚生年金の対象になりませんので合算されることはありません。

また、確定申告に注意が必要です。
一般的に、企業で働いている場合は会社が所得の申告を代行してくれているので、確定申告の必要はありません。
しかし、副業者の場合、副業での収入が20万円を超える場合には、確定申告が必要です。

社会保険には加入しておきたいものです。
そこで、社会保険と節税をどう両立するかを考えて働き方を決める人もいます。

 

まとめ

子どもの将来を考えれば可能な限り稼いでおきたいのは事実です。
ただ、副業に際して考慮しておきたいのは、まずは自分の心身がもたなければ子育てもできなくなってしまうということです。

体力面もそうですが、精神的な負荷を考えた仕事選びを意識したいところです。場合によっては本業の転職を考え、バランスを整えるという選択肢もあります。

また、子供がある程度の年齢になって以降の「自分の老後」のことも考えておきましょう。子供を独立させられても、その後の自分が生活できなければ困ってしまいます。
長期的な視点も必要です。

親がまだ元気なうちはなるべく支援を受け、その後のために資格取得を考えるという選択肢もあります。

自分にとってどのような働き方が向いているかを考慮に入れたいところです。

 

*1「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11920000-Kodomokateikyoku/0000188167.pdf p35

*2「国民生活基礎調査」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/03.pdf p15

*3「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11920000-Kodomokateikyoku/0000188161.pdf p24

<清水 沙矢香>
2002年京都大学理学部卒業後、TBS報道記者として勤務。
社会部記者として事件・事故、科学・教育行政その後、経済部記者として主に世界情勢とマーケットの関係を研究。欧米、アジアなどでの取材にもあたる。
ライターに転向して以降は、各種統計の分析や各種ヒアリングを通じて、多岐に渡る分野を横断的に見渡す視点からの社会調査を行っている。
Twitter:@M6Sayaka

 

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