2024年は、アルバイト採用市場において数々の重要な変化が見られた年でした。
労働環境の変化や法律の改正、そして求職者の行動様式の進化が、企業の採用戦略に大きな影響を与えました。特に、労働条件の明示化や時間外労働の上限規制、さらにはスキマバイトや外国人採用の増加といったトレンドは、今後の採用活動において注視すべきポイントです。加えて、SNSの利用率の高まりやテクノロジーの活用も、求職者と企業の接点を新たに創出しています。
本記事では、マイナビバイト編集部スタッフが2024年のアルバイト採用に関する主要トレンドを振り返ります。
目次
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最低賃金の改正
年収の壁の見直し議論
労働条件明示のルール変更
時間外労働の上限規制
アルバイト・パートの社会保険適用事業所の拡大
学生の求職活動におけるSNS利用率の増加
スポットワーク(スキマバイト)の躍進
闇バイト対策の強化
外国人採用の増加
リモートワークの普及
テクノロジーの活用
まとめ
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最低賃金の改正
2024年8月29日には、全国の地域別最低賃金の改定額が発表され、全国の加重平均額は1,055円となり、昨年から51円も増加しました。この51円の引き上げは1978年の目安制度開始以来、最高額となりました。
最高額の引き上げとなった要因として以下の3つが挙げられます。
第一に、消費者物価指数が平均3.2%上昇し、生活必需品の価格も平均5.4%上昇しています。この物価上昇が、労働者の生活への影響を強めています。第二に、春季賃上げの妥結状況において、全体の賃金上昇率が5.10%に達し、中小企業でも4.45%という高水準が実現しました。
年収の壁の見直し議論
「年収の壁」とは、特定の年収を超えることで税金や社会保険料が増加し、その結果手取りの収入が減少してしまう現象を指します。この問題は、特にアルバイトやパートタイムで働く人々にとって重要な課題となっています。
近年、日本では最低賃金が引き上げられる傾向にあります。このため、時給が改善されることで給与が増えることが期待されますが、年収の壁が存在する限り、すべての恩恵が求職者に届くわけではありません。具体的には、一定の年収を超えると税負担や社会保険料が増え、結果的に手元に残るお金が減少します。このため、働く意欲が削がれてしまうこともあり、求職者が労働時間を減らすという選択をするケースが増えています。このような状況に対し、年収の壁を見直すための議論が現在活発に行われています。
労働条件明示のルール変更
2024年4月から労働条件の明示に関するルールが変更されました。企業は求人情報において、より詳細な労働条件の明示が求められます。具体的には、有期労働契約を締結する際には、通算契約期間や契約の更新回数の上限を明示することが求められるようになりました。
さらに、労働条件の明示に関する改正では、労働者に事前に説明を行うことも求められ、労働者が契約内容を十分に理解できるよう配慮されます。この改正により、労働者の権利が一層保障され、雇用の安定が図られることが期待されています。雇用主は、透明性を持った労働環境の構築に向けた努力が求められます。
時間外労働の上限規制強化が引き起こす、物流の2024年問題
時間外労働に関する上限規制が強化され、2024年4月からは従来5年間の猶予が設けられていた建設業、運送業、医師などの業種にも新たな規制が適用されました。この改正により、労働者の健康管理と過労防止が一層強化されます。
この改正は、長時間労働を是正し、働きやすい職場環境を整えることを目的としています。労働者の健康維持とワークライフバランスの向上に寄与する取り組みとして注目されています。
しかし、その一方で、物流業界では労働時間の短縮がもたらす輸送能力不足への懸念が広がっており、「物流の2024年問題」と呼ばれています。「物流の2024年問題」では労働力の確保が重要な課題として浮上しています。
アルバイト・パートの社会保険適用拡大と「働き控え」の問題
2024年10月には、アルバイトやパートタイム労働者の社会保険加入要件が見直されました。これまでは従業員数101人以上の事業所が適用対象となっていましたが、10月以降は従業員数51人以上の事業所までが適用範囲となりました。企業は社会保険の負担を考慮したシフト管理が求められます。
社会保険に加入することで、将来の年金の増加や医療保険の充実といった従業員にとってのリットがある一方で、労働時間が同じでも従業員に保険料の負担が生じ、手取り収入が減少する可能性があります。そのため、一部の従業員は「働き控え」と呼ばれる現象を引き起こし、労働時間を意図的に減少させる傾向が見られます。これにより、労働者の収入が不安定になるほか、企業側にとっても労働力の確保が難しくなる懸念があります。社会保障の拡充と労働者の働き方の調整が、今後の重要な課題となります。
学生の求職活動におけるSNS利用率の増加
近年、学生の求職活動においてSNSの利用が増加しています。マイナビの調査によると、高校生の29.4%、大学生の24.3%がアルバイトやパートの情報収集にSNSを活用していることが明らかになりました。*1 この数字は年々増加しており、特にSNSは手軽に情報を得られる手段として学生に支持されています。
SNSは、企業からの直接情報の発信や、先輩社員の口コミ、リアルタイムの募集状況を把握できる利点があります。今後、アルバイト採用活動においては、SNSを活用した効果的な募集方法がますます重要になってくるでしょう。企業は、オンライン上でのブランディングや、ターゲット層に合わせた情報発信を行うことで、学生の関心を引きつける必要があります。これにより、採用活動の効率化と多様な人材獲得に繋がることが期待されています。
*1 参考)株式会社マイナビ「アルバイト就業者調査(2024年)」P.35
スポットワークの躍進
スポットワーク(短時間・短期的なアルバイト)の需要が増加しています。マイナビの調査では39.4%の求職者が「スポットワークを経験したことがある」と回答し、*2 アルバイトを採用している企業の21.5%が「スポットワーカーの採用実績がある」と回答しました。*3
このような背景から、今後は企業と求職者の双方がスポットワークの活用をさらに加速させることが予想されます。企業は柔軟な労働力を確保でき、求職者はライフスタイルに合わせた働き方が可能となるため、スポットワークは双方にとって魅力的な選択肢となるでしょう。これにより、働き方の多様化が進むとともに、効率的な労働環境の構築が期待されています。
*2 引用)株式会社マイナビ「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(2024年5~6月)」P.17
*3 引用)株式会社マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2024年5~6月)」P.29
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闇バイト対策の強化
闇バイト(違法なアルバイト)に対する社会的な関心が高まる中、労働基準監督署や警察が連携して、違法な求人を取り締まる動きが見られます。
マイナビバイトは独自の審査基準を設け、掲載企業や求人情報の安全性を確保する努力を続けています。求職者が安心して求人情報を利用できるよう、「契約等の取引前チェック」「原稿求人の審査」「掲載後の監視」「求職者向け通報フォーム」「ご意見・お問い合わせフォーム」など、複数の施策を導入し、掲載企業や求人情報の安全性を確保する努力を続けています。なお、より安全で信頼性の高い求人情報の提供のために、掲載企業の皆様にご協力をお願いすることもございますが、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
これらの取り組みにより、求職者が安心して求人情報を利用できるだけでなく、掲載企業にとっても信頼性の高いプラットフォームを提供することを目指しております。
外国人採用の増加
日本では、労働力不足やインバウンド需要の高まりを受けて、外国人アルバイトの採用が増加しています。特に飲食業、サービス業、製造業において、外国人労働者の需要が顕著であり、多くの企業が彼らを受け入れる体制を強化しています。
令和6年8月末現在の速報値では、特定技能1号在留外国人数が262,769人に達しており、これまで以上に多くの外国人が日本で働いています。今後も、外国人労働者の受け入れが進むことで、経済成長や産業の活性化が期待されます。企業は、国際化に対応した柔軟な労働力を活用し、競争力を高める必要があります。
リモートワークの普及
新型コロナウイルス感染症対策の影響を受けてリモートワークの普及が進む中、特にIT業界やクリエイティブ職においては、アルバイトでもリモート勤務が一般化しています。この変化は、労働環境の多様化を促進し、求職者にとっては地理的制約がなくなる大きな利点となっています。どこにいても仕事ができるため、企業は全国各地から優秀な人材を採用できるようになりました。
その結果、地域を超えた人材競争が激化しています。「リモートワーク」「在宅」といった単語はマイナビバイトの中でも常に検索ワードランキングの上位であり、リモートワークを求めるユーザーが多数存在します。採用数を向上させるためにもリモートワークの導入は有効な手段です。その一方で、ただリモートワークを導入するだけでなく、リモートワークに適したコミュニケーションツールやマネジメント手法を整備することも重要です。このように、リモート勤務の浸透は、働き方や企業の採用戦略に大きな影響を与えており、今後もその流れは続くと考えられます。
テクノロジーの活用
近年、アルバイト採用においてテクノロジーの活用が進んでおり、録画面接や面接日程の自動調整などを導入する企業が増えています。これにより、応募者のスクリーニングや面接プロセスが効率化され、採用活動がスムーズに行えるようになりました。
録画面接は、応募者が自分の都合の良い時間に回答を録画する形式で、面接官は後から視聴して評価できます。この方法により、多忙なスケジュールを調整しやすくなり、より多くの応募者にアプローチできる機会が生まれます。また、面接日程の自動調整ツールを利用することで、候補者との日程調整が簡素化され、採用活動が効率化されます。
テクノロジーの活用は、企業がより適切な人材を迅速に見つける手助けをし、競争の激しい採用市場での強力な武器となっています。今後も、さらなる技術の進展によって採用プロセスの改善が期待されます。
まとめ
2024年のアルバイト採用市場では、さまざまな変化が顕著に見られました。特に、労働条件の明示化、時間外労働の上限規制の強化、及び社会保険適用範囲の拡大が重要なポイントとなっています。最低賃金の大幅な引き上げ(全国加重平均1055円)や、学生によるSNSの活用増加も影響しています。また、スポットワークや外国人採用のニーズの高まり、リモート勤務の普及による地域を超えた人材獲得競争も進行しています。さらに、録画面接や面接日程の自動調整など、テクノロジーの活用が採用活動を効率化しています。
物流業界では「2024年問題」として、労働時間短縮の影響が顕在化しています。これにより労働力不足が懸念され、通常業務の運営に支障をきたす可能性があります。また、社会保険の適用範囲が拡大したことで、加入する従業員にとっては社会保障が充実するメリットがある一方で、保険料負担を回避するための「働き控え」が生じる可能性があります。さらに最近では、高収入を謳った「闇バイト」の増加も問題視されており、マイナビでは独自の審査基準を設け、掲載企業や求人情報の安全性を確保する努力をより一層続けてまいります。
企業はこれらの変化に合わせた新しい戦略が必要となっており、今後の採用活動において注視する必要があります。マイナビバイトでは、企業の採用計画についてこれらの変化に合わせたご相談を承っています。ぜひお気軽にお問い合わせいただき、一緒に最適な採用戦略を考えていきましょう。
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<著者プロフィール>
株式会社マイナビ マイナビバイト編集部
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マイナビバイト編集部スタッフ。求人広告の営業職・制作職として約10年間求人広告の制作に携わる。『マイナビバイト』では大手クライアントを中心に担当し月間で約5万件の求人を作成したのち、マイナビバイト編集部へ異動。現在は主に『ナレビ』の運営を行っている。