採用面接
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企業は今後、ますますアルバイトからの正社員採用を増やす。

タイトルを見て、「当り前じゃないか」という人も多いでしょう。

そういう方はおそらく企業経営者、もしくは現場の数字に責任を持つ方ではないかと推測しますので、特にこれ以上申し上げることはございません。
ともに採用を頑張りましょう。

ところが「認識が違う」という方もいるでしょう。
おそらくは学生の方、あるいは普通の会社員のかもしれません。
この記事はそのような方向けに書いています。

タイトルに書いたことがすべてなのですが、順を追って説明いたします。

目次

「新卒一括採用」のほころび

「新卒一括採用」では仕事の能力を見抜くのは難しい

政府も「複線型採用」を勧める

アルバイトだけではなく「フリーランス」なども採用の対象に

「新卒一括採用」のほころび

戦後、日本企業は長らく正社員の獲得を「新卒一括採用」という慣行を活用することで行ってきました。

新卒一括採用は成長期には非常に合理的な制度で大量の人員を「企業」、という終身雇用の箱に入れ、永く働いてもらうことを可能にしました。

ときにそれは「就職」ではなく「就社」と呼ばれ、定年まで勤めあげるという忠誠心の高いサラリーマンを大量に生み出したのです。

ところが事情は変わりました。
終身雇用の崩壊とともに、それとセットで運用されていた「新卒一括採用」にもほころびが見え始めたのです。

特に「全員を横並びで採用し、そのあと永い選抜期間を経て、能力を見極める」という新卒一括採用の中心的な理念が、横並びを嫌った優秀な若手の転職の増加や「最上位人材の確保」で外資系に後れを取るという結果を引き起こしました。
そうなれば、日系企業の採用も変化せざるを得ません。

経団連は「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」*1にて

「従来の新卒一括採用・終身雇用制度の限界が顕在化し、求める人材が多様化するなか、採用のあり方を再検討する必要がある。学生にも「就社」ではなく「就職」の意識が必要。」

との声明を発表しており、実際に経団連は2021年春入社の学生から、大手企業の面接解禁日などの指針を廃止しました。

実際、近年では大手企業の中で新卒一括採用の廃止に動く会社も少なくありません。

「学業に影響が出る」との大学の意向を受け、政府は当面はルールの維持を表明していますが、特に罰則はなく、独自に採用を進める企業は増える一方です。

つまり、企業側は「新卒一括採用」への認識を大きく変えつつあります。

 

「新卒一括採用」では仕事の能力を見抜くのは難しい

そしてもう一つ、新卒一括採用の大きなデメリットが「仕事の能力」を見抜くことが非常に難しいことです。

中途採用やアルバイトの登用であれば、それまでの実績からある程度の仕事の能力を推定することができますが、まだ仕事をしたことのない「新卒」の能力を、面接や試験だけで把握することは大変な困難を伴います。

事実、米国シリコンバレーの大手IT企業の人事責任者は著書の中で、統計的な調査から「面接のうまい人はいない」(=従来の面接では能力を見極められない)と結論付けています。

では、企業はそれに対してどのような対策をとっているか。

一つは、一緒に働いてみることです。
欧米では従来から盛んであった「インターン」を、近年では日本企業も積極的に行い、学生の能力を仕事の中で把握しています。

もちろんインターンは採用が目的ではない、という建前を述べる会社もありますが、機を見るに敏な学生はインターンを通じての就職活動が有利であることを知っています。

このように、ある程度能力が保証されている学生を確実に採用したいという企業の思惑と、「自分の優秀さをアピールし、通常とは異なる路線で良い企業に入りたい」と思う学生の利害が一致し、現在では従来の「一括採用」がすっかり過去のものとなりつつあります。

結局「仕事の能力」は働かせてみないとわからない。
このような状況下で企業経営者、または現場の責任者は、ますます、仕事の能力は働かせてみないとわからない、との認識を強めています。

さらに「インターン」ではなく、有給で成果を追求させることのできる「アルバイト」や「外注」として一緒に働いたほうが、能力の見極めがしやすい、ということにも気づいています。

特に日本においては正社員の解雇は大変難しいので、ますます能力の見極めが重要になる中、今後はあらゆる企業が「新卒一括採用」ではなく、欧米のように「インターン」もしくは「アルバイト」を経て正社員採用に至る、ということが十分ありえます。

従来は誰がやってもよい、ルーティンワークのような仕事をアルバイトに、高度な仕事は正社員に、という切り分けがなされていました。

しかし現在ではすでに「アルバイト」に高度な仕事をやらせてみて、それをこなせる人材を正社員に登用する、という流れができつつあるのです。

 

政府も「複線型採用」を勧める

一方で、就職協定のルールを維持するよう求めている政府もアルバイトからの正社員登用、すなわち「複線型採用」を他方では推奨しています。

厚生労働省の「パート労働者キャリアアップ支援サイト」では、アルバイトから「能力と成果を買われて」正社員登用に至りました、という事例が紹介されています。*2


画像引用:厚生労働省 パート労働者キャリアアップ支援サイト
https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/career/success-story/success-story-25.html

多様な働き方は多様な採用の手法に至るという流れは必然であり、今後はますますこのようなキャリアアップがあらゆる業界、あらゆる仕事に広がっていくと考えられます。

 

アルバイトだけではなく「フリーランス」なども採用の対象に

ロンドン・ビジネススクールの教授の一人は、著作の中で企業の雇用の傾向が変わることに触れています。
それは「社内」「社外」の垣根がますます低くなるという指摘でした。

・企業は、短期間のプロジェクト単位で人材を雇用する
・社外の人たちとのパートナー関係を活用する傾向が強まる

その結果、働き手は自分の評判を確立し、高めていくことがますます重要になると述べています。
実際、今後は会社員を一時的に辞め、フリーランスとして活動し、その後企業に入りなおすキャリアを有する人も増えていくと予想されます。
そして、そのような人材は引く手あまたです。
フリーランスで活躍できているような人材は高い能力を持っていることが多いからです。

これからの採用市場は、上で述べたように、肩書、学歴ではなく、実力・実績が見える化される方向に動くでしょう。

それは、「単なるアルバイト」から「アルバイトが前提」という企業の採用姿勢の大きな変化です。

*1日本経済団体連合会 中間とりまとめと共同提言
https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/037_gaiyo.pdf

*2厚生労働省 パート労働者キャリアアップ支援サイト
https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/career/success-story/success-story-25.html

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