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コロナ禍のインフルエンザはどう対策する?季節ごとに気をつけたい感染症の予防法について正しく知ろう

新型コロナウイルスの世界的流行により、感染症に対する人々の意識が高まっています。
今回のパンデミックを経験し、「職場における感染対策を見直す必要性がある」と感じた経営者や現場マネージャーは多いのではないでしょうか?
新型コロナウイルスに限らず、感染症から従業員を守るためには、季節ごとに流行するウイルスや感染症について理解し備えておくことが重要です。

今回は、「季節性の感染症」をテーマに、代表的なウイルスと感染症、その対策についてご紹介します。

 

目次

季節性の感染症にはどんなものがある?

感染対策の基本を知ろう!感染予防のポイントはたったの3つ

感染対策は正しい知識のもと行いましょう

 

季節性の感染症にはどんなものがある?

現在、新型コロナウイルスに注目が集まっていますが、私たちが普段遭遇するのは今回のような新型感染症ではなく、特定の時期に流行する「季節性の感染症」です。
季節性の感染症として代表的なものに、インフルエンザ感染症やノロウイルスによる感染性胃腸炎があります。
感染対策の第一歩は、「敵」を正しく知ることから。
まずは、それぞれの感染症の特徴・流行時期・症状について理解しておきましょう。

◯インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる冬の代表的な感染症です。
例年、12月から翌年3月までがインフルエンザの流行期で、突然の高熱・頭痛・関節痛などが特徴です。
のどの痛みや鼻水といった風邪のような症状も見られますが、全身性の症状が急激に現れる点が普通の風邪とは大きく異なります。*1

引用)インフルエンザの基礎疾患(厚生労働省)p.2
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/file/dl/File01.pdf

主な感染経路は、ウイルスに感染した人から出される飛沫(咳・くしゃみ等の分泌物)を周囲の人が吸い込む「飛沫感染」と、ウイルスを含む鼻水やつばが周囲の物に付着し、それを触ったり口にしたりすることで感染する「接触感染」があります。

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◯風邪
風邪は、ライノウイルスやコロナウイルスの感染によって引き起こされる「急性気道感染症」の俗称で、多くは冬に流行します。
「かぜ症候群」「感冒」とも呼ばれ、気道(口・鼻から肺までの空気の通り道)の炎症や発熱・だるさといった症状が見られます。*2
インフルエンザと同様、主な感染経路は飛沫感染・接触感染ですが、症状の現れ方はインフルエンザに比べて穏やかです。

◯感染性胃腸炎(ノロウイルス)
ウイルスや細菌に感染し、腹痛・嘔吐・下痢などの症状を引き起こすものを「感染性胃腸炎」と呼び、代表的なものにノロウイルスがあります。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎は一年を通して報告されていますが、とくに冬に流行しやすい感染症です。
主な感染経路は、ウイルスに感染した人の吐物による飛沫感染、ウイルスに汚染した手や物を介して感染する接触感染、ウイルスに汚染した食品を食べることで感染する経口感染があります。*3

また、吐物や排泄物の処理が不十分な場合に、乾燥したウイルスがホコリと一緒に舞い上がり吸い込んでしまうこともあります。
ノロウイルスは非常に感染力が強く、嘔吐や下痢が消失した後もしばらくはウイルスが排出されるのが特徴で、集団感染を引き起こしやすい感染症のひとつです。

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◯食中毒(腸管出血性大腸菌O157)
食中毒の原因として代表的なものに、腸管出血性大腸菌O157があります。
インフルエンザ・風邪・感染性胃腸炎といったウイルス性感染症の多くが冬季に流行するのに対し、細菌性の食中毒は気温の高い夏から初秋にかけて流行するのが特徴です。*4

O157が産生する強い毒素によって、激しい腹痛・水のような下痢便・血便が見られ、ときに重症化して生命に関わることもあります。*5
主な感染経路は、洗浄や加熱処理が不十分な生野菜や生肉を食べることによる経口感染です。
とくに気温の高くなる夏は細菌が繁殖しやすく、調理後時間の経過したお弁当や食べ残しなども注意が必要です。

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感染対策の基本を知ろう!感染予防のポイントはたったの3つ

新型感染症であっても季節性の感染症であっても、感染対策の基本は共通しています。
それは「病原体を持ち込まない・持ち出さない・拡げない」*6ということです。
感染症はウイルスや細菌だけでは発症せず、次の3つの条件が揃うことで初めて「感染症」として成立します。

〈感染症が成立する3つの条件〉
病原体(ウイルスや細菌)がある
感染経路(病原体が人に感染するまでのルート)がある
宿主(病原体が寄生する人)の抵抗力が低下している

つまり、次の3つのポイントを意識して感染対策を行うことが重要です。

1.病原体を持ち込まないこと
2.人から人への感染経路を遮断すること
3.健康を維持し病原体への抵抗力を高めること

引用)感染対策の基礎知識(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000501121.pdf

この3つのポイントを意識して、職場における具体的な感染対策について見ていきましょう。

◯手洗い・うがい
感染対策の基本といえば「手洗い・うがい」です。
手指に付着した汚れを洗い流すことで、病原体の持ち込みを防ぎます。
手洗いのタイミングとしては、出勤・退勤時、買い物の前後、外出から帰宅した後、調理や食事の前、鼻をかんだ後などです。
手洗い場の近くにペダル式の蓋付きゴミ箱や使い捨てのペーパータオルを設置しておくと、より手洗いしやすい環境になります。
人の出入りが多い玄関・エレベーターホール・デスク周囲に、アルコール手指消毒液を設置しておくのも手軽な感染対策として有効です。

また、うがいによって病原体を洗い流し、気道粘膜の清潔・湿潤を保つことも大切です。
のどの粘膜には「繊毛(せんもう)」と呼ばれる細胞があり、ウイルスや細菌などの異物を排除する働きがあります。
しかし、粘膜が乾燥していると繊毛の働きが弱まり、病原体が体の中に入りやすい状態になるため、うがいやこまめな水分補給でのどを乾燥させないことがポイントです。

◯咳エチケット・マスクの着用
インフルエンザや風邪にかかってしまうのは、ウイルスに感染した人の飛沫(咳・くしゃみ等の分泌物)を周囲の人が吸い込んだり、飛沫の付着したものに触れた手で口や鼻を触ってしまうことが原因です。
咳やくしゃみの症状がある場合、マスクの着用やハンカチ・袖などで口や鼻を覆う「咳エチケット」をすることで、周囲への飛沫の飛散・付着を防止し、人から人への感染拡大を予防できます。
また、新型コロナウイルスが流行したことで、症状のある・なしに関わらずマスクを着用することが日常となりましたが、常時着用しているマスクにもウイルスや細菌は付着しています。
マスクを触った後・外した後は、必ず手を洗うことも忘れないようにしましょう。

◯身の回りの環境整備
ウイルスや細菌で汚染された物に触れ、その手で口や鼻を触ったり、食事をしたりして感染することを「接触感染」といいます。
接触感染の予防は手洗いが基本ですが、身の回りの環境整備も同じくらい重要です。

たとえば、日常的に触れる機会の多いパソコンのキーボードやマウス・電話機・電気のスイッチ・ドアノブ・階段の手すりなどは接触感染の主な感染経路で、これらの場所をこまめに消毒・除菌しておくことが大切です。
身の回りの環境整備には、アルコール消毒液や次亜塩素酸ナトリウムの希釈液を使用します。
インフルエンザではアルコール消毒が有効ですが、ノロウイルスはアルコールへの耐性が強いため次亜塩素酸ナトリウムを使用してください。
ノロウイルス対策として家庭用の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を使用する場合は、塩素濃度0.02%の希釈液(水2Lに対し塩素系漂白剤10ml)を作り、人の手が触れやすい場所を重点的に拭き掃除しましょう。*7

◯体調管理
インフルエンザの予防策として、流行のピーク前に予防接種を受けることも大切です。
毎年12月上旬頃までに、予防接種を済ませておくことが理想です。*8
そのほか、食事・睡眠に気を配り、体調が思わしくないときは無理をせず休養するなど、日頃の体調管理で病原体への抵抗力をつけておきましょう。

 

感染対策は正しい知識のもと行いましょう

感染症や食中毒の原因となるウイルスや細菌は、目で確認することができません。
この「目に見えない」=「いつどこで感染するかわからない」という不安こそ、私たちが感染症を恐れるもっとも大きな理由だと言えるでしょう。
ぜひ、感染症に対する正確な知識・情報を入手するとともに、根拠に基づいた正しい感染対策を行ってください。

【出典元】
*1
参考)インフルエンザQ&A【インフルエンザ総論】(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html 

*2
参考)抗微生物薬適正使用の手引き 第二版(厚生労働省)p.7 成人・学童期以降の小児編 3.急性気道感染症
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000573655.pdf

*3
参考)ノロウイルスに関するQ&A Q1ノロウイルスによる胃腸炎はどのようなものですか? Q3ノロウイルスはどうやって感染するのですか?
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000209627.pdf 

*4
参考)腸管出血性大腸菌Q&A(厚生労働省)Q11どんな時期に腸管出血性大腸菌食中毒は発生しやすいのですか?
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177609.html 

*5
参考)腸管出血性大腸菌Q&A(厚生労働省)Q3 腸管出血性大腸菌のほかに病気を起こす大腸菌がありますか?https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177609.html

*6
引用)感染対策の基礎知識
https://www.mhlw.go.jp/content/000501121.pdf 

*7
参考)ノロウイルスに関するQ&A Q17ノロウイルスに汚染された可能性のある調理台や調理器具はどのように殺菌したらいいのですか?
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000209627.pdf

*8
参考)インフルエンザの基礎知識(厚生労働省)p.3
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/file/dl/File01.pdf

【画像】
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感染経路
https://www.kango-roo.com/ki/image_1345/?yclid=YJAD.1594691843.c9jbfz.dcq272TTCqMAEk8.i3TQF6Xgv39whSRqdBmlDdmJVhuaCv78yFaqJ8v8PQbb8pKZG5Ex3T5A-
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https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=301521&word=ノロウィルス感染経路
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【ライタープロフィール】
遠藤愛

 

 

看護師として約13年間病院勤務。外科・内科病棟、地域連携室、介護老人保健施設、訪問看護に従事。現在は看護師の知識と経験を活かしライターとして活動中。

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