人材育成・マネジメント
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アルバイトを「指示待ち人間」にさせないために押さえたいセルフコントロールとは

こんにちは。
鬼滅の刃経営研究会です。

「言われたことだけしか出来ない」
いわゆる「指示待ち人間」。

そんなアルバイトスタッフがいて困るという意見を聞くことがあります。

どうしたら、「指示待ち」に陥ることなく、自分で考えて能動的に動いてくれるように教育することが出来るんでしょうか。
自ら会社がよくなる方法を提案して自ら積極的に動いてくれるアルバイトスタッフがいたら、会社は飛躍的に成長出来ると思いませんか?

今回は、アルバイトスタッフが能動的に動いてくれるためにどうすればいいかを、ドラッカーが提唱している『MBO』という目標管理方法から考えていきます。

 

ドラッカーの『MBO』の正しい理解

ドラッカーの『MBO(Management by Objectives)』をご存じでしょうか。

『MBO』とは、オーストリア・ウィーン生まれの経営学者ピーター・ドラッカーが提唱した個人目標管理手法のことです。

端的に言えば、
社員一人ひとりに、個人の目標を設定して、それを管理していく方法です。

日本も1990年代に導入する動きがありましたが、うまく浸透しませんでした。
『MBO』が、日本でうまく浸透しなかった理由があります。

それは、ドラッカーの推奨している『MBO』の本質的理解がないまま、形式的に導入されてしまったからと言われています。

『MBO』は、正確には、『Management by Objectives and Self-control』であるとドラッカーはいっています。*1

この『and Self-control(以後、セルフコントロール)』が重要にもかかわらず、日本で、この部分を意識されずに、導入してしまったのです。

セルフコントロールとは、自己統制と訳せます。従って、『MBO』は、自ら目標を掲げ、自ら目標達成のためにコントロールしていく制度であるといえます。

 

セルフコントロールの重要性

何故、セルフコントロールが重要なのでしょうか。

他人に設定された目標は他人事として捉えやすく、本気で取り組めません。最終的に、その目標に責任を持つことなく目標を達成せずに終えてしまいます。

一方で、自分で決めた目標は、一生懸命達成しようと責任感が生まれます。自ら掲げる目標こそ成果が出るのです。
従って、自ら目標を掲げて、自分で責任をもって目標達成を管理していくこと、つまり、目標のセルフコントロールが、目標管理制度の効果を最大限発揮させるために極めて重要なのです。

『鬼滅の刃』の主人公、竈門炭治郎は、誰に言われたわけでもなく、最強の鬼である
鬼舞辻無惨を倒すと公言します。

引用) 吾峠呼世晴著 集英社 電子版『鬼滅の刃』6巻 第47話 P90

そして、実際に誰も成し遂げなかった鬼舞辻無惨を倒すことに成功するのです。

自分で目標を宣言することの重要性を教えてくれるエピソードだと思います。

 

MBOの流れ

ここから、『MBO』の具体的な手順をご説明します。

①目標設定
アルバイトスタッフに期限を決めて、自ら目標を掲げてもらいます。

②定期的な進捗確認
掲げた目標をうまく出来ているかの進捗の確認をします。

③結果のフィードバック面談
目標を掲げた期間が終了したら、目標を達成できたかフィードバックするための面談をします。

 

具体的な目標設定の仕方

では、アルバイトスタッフに、どのように目標を設定してもらえばいいでしょうか。

突然、「目標を決めてください!」と言われても、考えたこともないアルバイトスタッフは、全く思いつかないと思います。

従って、枠組みを決めてあげることが重要です。
まずは、経営理念など、会社が大切にしていることを提示する必要があります。

例えば、「会社の方針はこうで、会社が大事にしていることはこうなんだ。」と伝えます。
これを提示しないと、会社が目指す方向性と違う目標になってしまっては困るからです。

そして、もう少し具体的な枠組みを用意しましょう。たとえば、

「仕事を効率的に行う工夫やお客様満足度を高める取り組みなどで出来ることあるかな?」

と聞いてみるのがいいでしょう。

また、
アルバイトスタッフが、ハードルが低いと思われる目標を設定した場合は、ハードルを上げる軌道修正を行います。

例えば、「毎日挨拶する。」とか「遅刻をしない。」などです。
このような目標は、出来て当たり前のことですから、MBOの目標設定には適していません。

逆に、ハードルがあまりにも高い目標を設定してきた場合は、ハードルを下げる軌道修正を行います。

先述した通り、
『鬼滅の刃』の竈門炭治郎は、強い鬼を倒したことがないにもかかわらず、最強の鬼である鬼舞辻無惨を倒しますという目標を公言しました。実はあのシーンには続きがあります。

鬼殺隊のトップであるお館様は炭治郎の高すぎる目標の発言に対して、

「今の炭治郎にはできないから まずは十二鬼月を一人倒そうね」

と、軌道修正をします。

お館様は、今の炭治郎の実力では鬼舞辻無惨は到底倒せないので、鬼舞辻無惨より弱い存在である十二鬼月を倒す目標が現実的であると判断したのです。

引用) 吾峠呼世晴著 集英社 電子版『鬼滅の刃』6巻 第47話 P90

このように、ハードルが高すぎる目標だった場合には、軌道修正してあげる必要があります。そのアルバイトスタッフが、どんなに頑張っても達成できない目標では意味がないからです。

目標を掲げることには、2つの意味があると考えます。

一つ目は、高めの目標を達成するために頑張ることで成長すること
二つ目は、高めの目標を達成することで、達成感を感じ、モチベーションをあげること

この2つの力を最大限発揮するために、ちょうどいいハードルの目標設定をすることが重要になるのです。

どの程度のハードルがいいかというと、アルバイトスタッフが今の実力では達成できないが、少し頑張れば達成できるくらいの水準になるのが良いでしょう。

 

定期的な進捗確認の仕方

掲げた目標の進捗状況の確認を定期的に行いましょう。

普段の仕事をすることでいっぱいいっぱいになってしまい、すっかり目標のことを忘れてしまいがちです。
忘れる前に、定期的に思い出してもらって、目標達成に導くために、定期的な進捗確認は必要なのです。

進捗確認の仕方には、日報を提出してもらったり、週1回、月1回の定期面談などが考えられます。

ここで、重要なことはセルフコントロールです。とにかく目標を掲げた本人に進捗を報告してもらい、うまくいってなければ何故うまくいってないのかなどを考えてもらうことが重要です。まさにセルフコントロールです。

 

結果のフィードバックの仕方

フィードバックがなければ、目標を掲げ行動した結果、目標を達成できたのか分かりません。仮に目標達成していたとしても、フィードバックがなければ達成感も生まれません。
または目標を達成出来なかった場合、次回は達成するためにどうしたらいいかを考えなければなりません。

そこで、
フィードバックでは、①目標を達成できたかどうかの確認②達成した原因、達成しなかった原因を認識をすることが必要になります。

フィードバック面談の際、やりがちな間違った例は、上司が一方的にしゃべることです。

上司の立場としては、部下を思いやるが故に、上司自らがこうした方がいいなどを話してしまいがちなのです。

このフィードバックでもセルフコントロールが大事です。自分で立てた目標に対して、自分で考えて、言語化させるのです。

なお、フィードバック面談では、セルフコントロールを重視するために、上司は基本的に聞き役になっていただきたいと思います。しかし、目標達成に向かって頑張っていることに対しては、しっかり褒めてあげましょう。筆者の第3回の記事「部下の成長を促進する褒め方、部下を駄目にする褒め方」にて、ご説明したように、人は努力や頑張りを褒められると成長意欲が促進されるためです。

 

まとめ

ドラッカーの『MBO』は、正しくは、『Management by Objective and Self-control』です。

そして、このセルフコントロールが『MBO』を機能させる重要な役割を担っています。

自ら目標を掲げ、自ら目標達成の進捗を管理し、自ら結果のフィードバックを行うことで、自ら考え、能動的な働きをしてくれるアルバイトスタッフが増えていきます。

人は、自ら決めたことに一生懸命になり、自ら目標達成するために思考することで成長します。

なお、アルバイトスタッフと面談する時間が取れないという方は、アルバイトリーダーに任せるのもありだと思います。繰り返しになりますが、『MBO』は、セルフコントロールによる運用になりますから、アルバイトリーダーにしっかり趣旨を伝えて、面談をしてもらえれば機能するはずです。

ぜひ、セルフコントロールを意識しながら、ドラッカーの『MBO』を導入してみてはいかがでしょうか。

*1 参考)「図解ポケット ドラッカーのマネジメントがよくわかる本」中野明著 P66

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著者

鬼滅の刃経営研究会

創設者 公認会計士税理士 矢崎誠一

「鬼滅の刃」という物語は失敗を繰り返しながら学び成長していく中小企業の経営ストーリーそのものであると気づいた「組織と人」のプロが、「鬼滅の刃」を通してビジネスや経営を考察した記事を連載している団体です。各種SNSの総フォロワー数1万超。
創設者 公認会計士税理士 矢崎誠一 研究会員 社会保険労務士 高橋謙一、ビジネスコーチ山田寛之

note:https://note.com/kimetsukeiei  Twitter : https://twitter.com/kimetsukeiei

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