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ブランクがあっても大丈夫!看護師の職場復帰はアルバイトや派遣で始めてみる選択肢も

「現場のスピードについていけるだろうか」
「家庭との両立はできるのだろうか」

ブランクのある看護師の復帰には、さまざまな不安が付きものです。
そのため、なかなか一歩が踏み出せない人も多いのではないでしょうか。

このような人におすすめしたいのが、アルバイトや派遣という働き方での現場復帰です。
正社員に比べ、自分のペースで働けるので仕事の負担を少なくできます。
しかし、デメリットもあるので注意が必要です。

そこで今回は、看護師のアルバイトや派遣について、メリットやデメリット、仕事の探し方などについて解説します。筆者は看護師として、派遣での勤務だけでなく、派遣会社に看護師を依頼する業務も経験しています。これらの実体験もふまえて解説しますので、仕事復帰への不安が少しでも軽減できれば幸いです。

目次

ブランクのある看護師の現状 アルバイトや日勤のみの希望が多い

アルバイトや派遣での業務内容 正社員看護師との違いは?

看護師のアルバイトと派遣、メリット・デメリットとは

看護師のアルバイトや派遣はどう探す?仕事の見つけ方

まとめ

ブランクのある看護師の現状 アルバイトや日勤のみの希望が多い

ブランクのある看護師の悩みは様々ですが、具体的にどのような不安があるでしょう。

平成22年に厚生労働省が行った調査によると、看護職員として働きたいと回答した者が再就職に際して抱く不安は

「最新の看護の知識・技術に対応できるか」33.4%
「家事・子育てと両立できるか」32.6%

がもっとも多くなっています。*1

また、「最新の看護の知識・技術に対応できるか」の割合は、離職期間が長くなるほど高くなっています。


引用)厚生労働省 「看護職員就業状況等実態調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017cjh-att/2r98520000017cnt.pdf 22P

次に、希望する雇用形態と勤務体制についてです。
雇用形態は「パート・アルバイト」が48.0%で最も多く、派遣は0.6%でした。*2
勤務体制では、「日勤のみ」が85.2%で、再就職を希望する人のほとんどが夜勤を避けたいと思っていることが分かります。*2

では、実際に再就職をした人の雇用形態と勤務体制はどうだったのでしょうか。
雇用形態は「パート・アルバイト」が48.5%、勤務体制は「日勤のみ」が67.3%でそれぞれ最も多くなりました。*3

以下のグラフは、再就職時の雇用形態と勤務体制が、希望していたものと比較してどうだったのかを表したものです。
雇用形態の「パート・アルバイト」をみると、ほぼ差がなく希望通り再就職できたことがうかがえます。
一方、勤務体制の「日勤のみ」では17.9%の差がありました。*4
看護師の職業柄、日勤のみよりも夜勤ありの求人が多いことも影響していると考えられます。

引用)厚生労働省 「看護職員就業状況等実態調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017cjh-att/2r98520000017cnt.pdf 34P

引用)厚生労働省 「看護職員就業状況等実態調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017cjh-att/2r98520000017cnt.pdf 35P

医療や看護の情報はどんどん新しくなるので、ブランクがあると「ついていけないのではないか」と不安を抱えやすくなります。
また、看護師は女性が多く、家事や子育てとの両立を多くの人が課題にしています。
このような状況から、パートやアルバイト、日勤のみという働き方を希望する人が多いと考えられます。

アルバイトや派遣での業務内容 正社員看護師との違いは?

次に、アルバイトや派遣として看護師になった場合の働き方について、詳細を見ていきましょう。

・アルバイト
一般的にイメージするアルバイトと同様、職場のスタッフとして雇用されます。
週2回、4時間からなど、条件はさまざまです。

・派遣
本来であれば、看護師の派遣は「病院・診療所等における医療関連業務」にあたり、労働者派遣法で禁止されています。
ただし例外もあり、ここで紹介する派遣での働き方は以下の場合を指します。

(1) 紹介予定派遣
(2) 病院・診療所等(介護老人保健施設または医療を受ける者の居宅において行われるものを含む)以外の施設(社会福祉施設等)で行われる業務
(3) 産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の代替業務
(4) 就業の場所がへき地・離島の病院等及び地域医療の確保のため都道府県(医療対策協議会)が必要と認めた病院等における医師の業務

派遣がアルバイトと比べて大きく違う点は、雇用される場所です。
派遣会社のスタッフとして雇用され、それぞれの現場に派遣されます。

派遣で仕事をスタートするまでの流れは、以下の通りです。

①職場から派遣会社に、看護師の派遣が必要な日にちや人数などを依頼します。
②派遣会社から看護師に「職場の情報、日にち、給与」などの情報が提示され、募集がかかります。
③看護師は情報を見て仕事を選び、派遣会社に勤務の希望を出します。
④派遣会社と職場が合意すれば、勤務決定です。

派遣では、さまざまな看護師の仕事が募集されているので、働く日によって職場も勤務時間も異なることがあります。
勤務場所やスケジュールを自分で決められるので、アルバイトよりも自由度が高い働き方です。

厚生労働省によると、平成22年のデータでは、看護師として就業している者のうち「パート・アルバイト」は11.8%、「派遣」は0.2%でした。*5

そこで気になるのが、正社員の看護師と比較したとき、働ける場所や業務内容の違いだと思います。
結論から言うと、基本的には変わりありません。
アルバイトや派遣で働ける場所・業務内容には、以下のものがあります。

・病院やクリニックでの診療の補助
・介護施設や在宅介護サービスでの看護ケア
・健診業務
・ツアーナース など

ただし、健診業務やツアーナースは時期によって需要が変わるので、正社員ではなく派遣で多く募集されています。

 

看護師のアルバイトと派遣、メリット・デメリットとは

看護師がアルバイトや派遣で働く際のメリット・デメリットは、以下の通りと考えられます。

メリット
①自分のペースで働ける
先ほども少し触れましたが、アルバイトや派遣は正社員よりも自由度の高い働き方です。
特に派遣の場合、1日単位で契約する仕事が多いので、人間関係や仕事内容が合わなかったら気軽に変えられます。
ここで「1日単位で働ける」とお伝えしましたが、実際は労働者派遣法で日雇い派遣が禁止されています。
例外として、日雇い派遣が可能となる労働者の条件は、以下の通りです。

・60歳以上の者
・雇用保険の適用を受けない学生(いわゆる「昼間学生」)
・副業として従事する者(生業収入が500万円以上の者に限る。)
・主たる生計者以外の者(世帯収入が500万円以上の者に限る。)

②残業が少ない
アルバイトや派遣は、正社員に比べて残業が少ないと考えて良いでしょう。
もし残業があるとしても、事前に提示されることが多いので仕事のあとの予定が立てやすくなります。
筆者が働いていた職場でも、派遣の看護師に予定外の残業をさせないように業務内容を調整していました。

③組織に所属するわずらわしさがない
これは、特に派遣として働く際のメリットです。
1日単位の仕事が多いので、コミュニケーションの多くが仕事に関する内容になります。
そのため、わずらわしい人間関係に巻き込まれることが苦手な人には、大きなメリットになるでしょう。

④条件を満たせば社会保険に加入できる
アルバイトや派遣でも、条件によっては社会保険に加入できます。
支払う保険料の負担が減る、いざというときに手当がもらえるなどの恩恵を受けられます。

デメリット
①組織内でのキャリアアップが難しい
主任や看護師長などの役職に就く人は、常勤であることがほとんどです。
そのため、組織内でキャリアアップを目指したい人にはおすすめしません。

以下は、特に派遣でのデメリットです。
②人間関係が希薄になりがち
「組織に所属するわずらわしさがない」ことは、裏を返せば人間関係が希薄になりがちということです。
スタッフ同士のつながりを大切にして働きたい人にとっては、居心地が悪く感じるかもしれません。

③臨機応変に対応しなければならない
看護業務そのものは同じでも、職場が変わればやり方が変わります。
初めて対応する患者さんも増えるので、これまでの経過が分かりづらいこともあります。
このような状況で働くためには、臨機応変な対応力が求められます。

④即戦力が必要
職場が派遣で看護師を依頼する最大の理由は、人手不足です。
このような職場は、即戦力となる看護師を必要としています。
職場が求めるスキルに達していない場合、足手まといになる可能性もあります。

⑤収入が不安定
気に入った職場が見つかり「長く働きたい」と思っても、その職場が継続して派遣を依頼するとは限りません。
来月から急に仕事がなくなることもあります。
看護師は売り手市場なので派遣での仕事も多くありますが、自分の希望を優先させ過ぎると職場が限られ、収入が不安定になります。

このように、アルバイトや派遣にはメリットとデメリットがあります。
ブランクから復帰したい看護師にはおすすめの働き方ですが、

・キャリアアップを目指したい
・ひとつずつ業務を覚えたい
・安定した環境で働きたい

という人には向いていない可能性もありますので、十分に注意して下さい。

 

看護師のアルバイトや派遣はどう探す?仕事の見つけ方

看護師のアルバイトや派遣は、以下の方法で見つけられます。

アルバイト

①ハローワーク
②友人知人の紹介
③看護協会「ナースセンター」
④看護師専門の人材紹介会社
⑤求人情報サイト(マイナビバイト等)

看護師の求人で特徴的なのは、③と④です。
都道府県の看護協会が運営する「ナースセンター」では、無料で仕事を紹介しています。
看護師専門の人材紹介会社では、希望を伝えるとそれに見合った仕事を紹介してもらえます。

派遣
まず、派遣会社に登録します。
申し込み後、派遣会社で業務に関する説明や面談が行われ、完了すると派遣看護師として登録されます。
派遣会社はいくつかあるので、複数登録しておくと希望する仕事が見つかりやすいでしょう。
早ければ数日以内に仕事が見つかることもあります。

また、派遣には単発だけでなく紹介予定派遣もあります。
紹介予定派遣とは、一定期間派遣で働いたあと、看護師本人と派遣先が合意すると派遣先のスタッフとして直接雇用される制度です。
初めに派遣で働けるので、仕事内容や職場の雰囲気が知れるというメリットがあります。

 

まとめ

ブランクがある看護師にとって、アルバイトや派遣は負担が少なく働けるのでおすすめです。
しかし、メリットだけでなくデメリットもあります。
その点を把握したうえで、自分に合うか考えてみてください。
慣れてきたら、正社員にシフトするのもひとつの方法です。
不安や心配ごとを並べて復帰を諦めるのではなく、どうしたら働けるか考えてチャレンジしてみましょう。

 

*1
参考)厚生労働省 「看護職員就業状況等実態調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017cjh-att/2r98520000017cnt.pdf 22P

*2
参考)厚生労働省 「看護職員就業状況等実態調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017cjh-att/2r98520000017cnt.pdf 20P

*3
参考)厚生労働省 「看護職員就業状況等実態調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017cjh-att/2r98520000017cnt.pdf 34-35P

*4
参考)厚生労働省 「看護職員就業状況等実態調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017cjh-att/2r98520000017cnt.pdf 35P

*5
参考)厚生労働省 「看護職員就業状況等実態調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017cjh-att/2r98520000017cnt.pdf 8P

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著者:浅野すずか
フリーライター。看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。

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