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病院に行けない・行きたくない場合どうする?風邪薬の選び方と注意点を薬剤師が解説

新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなど、感染症が流行している時期に医療機関を受診するのはできるだけ避けたいものです。
実際、ちょっとした風邪なら病院へ行かずに市販薬で…と考えている人は比較的多く、総合感冒薬を常備している人は約6割にのぼります*1。引用)厚生労働省「政策について>審議会・研究会等>厚生科学審議会(医薬品販売制度改正検討部会)>第10回>資料>5-1. 消費者アンケート調査の結果」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/02/s0228-5j.html

しかし、総合感冒薬は眠気の出やすい成分が配合されているものも多く、仕事をしている人が使う際には注意が必要です。
また、いわゆる“風邪薬”には非常にたくさんの種類があるため、症状に応じた適切な薬を選ぶのは難しいのが現実です。

そこで今回は、休みたいけれど休めない人たちのために、市販の風邪薬の選び方や服用時の注意点、さらに市販薬ではなく医療機関での治療を受けるべき場合などについて解説します。

 

市販の風邪薬を選ぶときのポイント

仕事をしている人が市販の風邪薬を選ぶ際には、効能効果や副作用だけではなく、服用タイミングや服用回数にも注意が必要です。

・症状に応じたものを選ぶ
熱やのどの痛みなど、症状に応じたものを選ぶと、眠気などの副作用を避けやすくなります。

熱やのどの痛みが主症状の場合
のどのはれが主症状の場合は、炎症をおさえるグリチルリチン酸やトラネキサム酸を配合するものを選びましょう。トローチやスプレーは、アズレンスルホン酸ナトリウムを含むものがおすすめです。

ただし、これらの成分に解熱鎮痛作用はありません。熱やのどの強い痛みがある場合は、解熱鎮痛薬を使用してください。
代表的な成分としては、アセトアミノフェン・ロキソプロフェン・イブプロフェンなどがあります。頭の重い感じがあるときは、解熱鎮痛薬にカフェインがプラスされているものがおすすめです。

咳や痰が気になる場合
咳止めに効果がある成分には、眠気が出やすいものが多くあります。
比較的眠気の出にくい咳止め成分としては、ノスカピンやデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物がありますが、これらも眠気の副作用が出る可能性があるので注意しましょう。

眠気の副作用があらわれにくいのが漢方薬です。
咳の症状が強い場合は五虎湯(ごことう)、痰が絡む咳には麦門冬湯(ばくもんどうとう)がよく使われますが、体質によっては合わない場合もあるため、購入前に薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

なお、痰のからまりが気になる場合は、L-カルボシステインやブロムヘキシンが配合されているものを選ぶのがおすすめです。

鼻水や鼻づまりがツラい場合
鼻の症状をおさえる薬にも、眠気の副作用が強いものが多くあります。
眠気の出にくい成分としてはメキタジンがあげられますが、服用した場合は車の運転など危険をともなう作業は厳禁です。

鼻の症状がアレルギーによるものであれば、アレルギー専用の飲み薬がおすすめです。
こちらは風邪症状に使われる成分に比べて眠気の出にくいものが多いのですが、やはり注意が必要です。
鼻づまりがツラい場合は、鼻の粘膜のはれをおさえる点鼻薬が効果的な場合もあります。

鼻症状を漢方薬で治したい場合は、症状に応じたものを選ぶ必要があります。
サラサラの鼻水が止まらない場合は小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、鼻づまりがツラい場合は葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)がおすすめです。

・副作用
仕事をするうえで、やはり気になるのが眠気の副作用です。

解熱鎮痛薬は、眠気の副作用はほとんどありません。
しかし、一緒に配合されることが多いアリルイソプロピルアセチル尿素やブロモバレリル尿素などの鎮静成分により、眠気の副作用があらわれることがあります。
これらの成分を含まない解熱鎮痛薬も多く販売されているので、購入時には成分をしっかり確認しましょう。

そして咳止め成分は、コデイン系成分の入っているもので眠気が出やすいので注意してください。

また、鼻症状をおさえる成分として配合されることが多いクロルフェニラミンマレイン酸塩やケトチフェンフマル酸も、眠気の症状が強く出やすくなります。
クロルフェニラミンマレイン酸塩は多くの風邪薬に含まれているため、配合されていないものを見つけられない場合は薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

その他、解熱鎮痛薬では解熱時に大量の汗をかくことがあります。
そして、咳止めのコデイン系成分では、副作用として便秘が起こりやすくなります。
さらに、クロルフェニラミンマレイン酸塩では、口の渇きや便秘、尿が出にくくなるといった副作用も報告されているので注意しましょう。

市販薬を選ぶときのポイントと注意点
★のどのはれが主症状の場合
・グリチルリチン酸・トラネキサム酸が配合されているものを選ぶ。
・解熱鎮痛作用は期待できない。
★熱や強いのどの痛みがある場合
・アセトアミノフェン・ロキソプロフェン・イブプロフェンなどが配合されているものを選ぶ。
・胃が荒れることがある。鎮静成分(アリルイソプロピルアセチル尿素・ブロモバレリル尿素など)が配合されていると、眠気が出やすくなる。
★痰が気になる場合
・L-カルボシステイン・ブロムヘキシンなどが配合されているものを選ぶ。
・痰の切れが良くなるが、痰の量が増えたように感じることもある。
★咳がツラい場合
・眠気を避けたい場合は、症状に応じた漢方薬を選択。
・コデイン系成分は、眠気のほか、便秘の副作用に注意。
★鼻の症状をおさえたい場合
・眠気を避けたい場合は、症状に応じた漢方薬を選択。
・アレルギーが疑われる場合は、アレルギー専用の飲み薬や点鼻薬の使用がおすすめ。

・服用タイミング&服用回数
解熱鎮痛薬や点鼻薬などは、症状に合わせて使えるので便利です。
ただし、添付文書に記載の使用回数や服用間隔を超えて使用しないようにしてください。

1日の服用回数が決まっているものは、服用回数や服用タイミングをチェックしましょう。

在宅勤務ならば1日3回タイプのものでも大丈夫でしょう。
しかし、昼に薬を飲むのが難しい場合は1日1~2回タイプ、早朝出勤や深夜の帰宅で飲み忘れが心配な場合は、1日1回タイプのものを選ぶようにしましょう。

ただし、服用回数の少ないものは、効き目が長い反面、副作用も長く続くことが多いです。メリットとデメリットを比較して、使いやすいものを選びましょう。

風邪薬服用中にしてはいけないこと・風邪をひいているときに心がけること

次は、風邪薬を服用中の注意点と、風邪をひいているときに心がけることです。

・風邪薬服用中に注意すべきこと・してはいけないこと
風邪薬に限らず、薬を服用した後に湿疹や息苦しさなど体調変化が生じた場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。
服用薬を持参すると、処置に役立つことがあります。副作用の発生は市販薬でも少ないわけではなく、死亡例も報告されています*2。

平成19年度から23年度に報告された市販薬の副作用症例(因果関係不明のものを含む)

参考)独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「安全対策業務>情報提供業務>医薬品>注意喚起情報>医薬品・医療機器等安全性情報(厚生労働省発行)平成24年度 医薬品・医療機器等安全性情報(No.290-300)>平成24年8月29日No.293>1.一般用医薬品による重篤な副作用について」表1.表2.*2を参考に筆者作成
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/safety-info/0080.html
https://www.mhlw.go.jp/www1/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/293-1.pdf

また、アルコールとの併用は避けてください。風邪薬服用中に飲酒すると、眠気などの副作用が強くあらわれる可能性があります。
薬の成分によっては、胃が荒れやすくなったり肝臓に大きな負担がかかったりすることもあります。
薬の効き目は数時間から半日ほど続くため、時間をずらしての飲酒もNGです。
お茶やハーブティーで効き目が変わることもあるため、薬は水や白湯などで飲むようにしてください。

そして、眠気が出やすい薬を服用した場合は、車の運転や高所での作業などは厳禁です。風邪をひいているときは、薬を飲んでいなくても眠気が生じやすくなっています。重大な事故を防ぐために、危険をともなう作業はしないでください。

また、意外と知られていないのがドリンク剤との併用に関する危険性です。
風邪薬には、カフェインや生薬の成分が配合されていることがあります。
ドリンク剤もまた、カフェインや生薬の成分を含むものが多くあるため、併用すると効果よりも副作用が強く出る可能性があります。
また、ドリンク剤の中にはアルコール成分を含むものもあるため、風邪薬と一緒に飲むのはおすすめできません。

・風邪をひいているときに心がけること
風邪をひいているときに大切なのは、やはり無理をしないことです。規則正しい生活を心がけ、しっかり睡眠をとりましょう。

食事は栄養バランスに配慮し、胃に負担をかけないように消化の良いものを食べるようにしてください。
「栄養をつけるため」と、揚げ物やステーキなどを食べるのは逆効果です。
消化のためにエネルギーが消費されてしまうため、かえって体力低下につながります。

水分補給も大切です。特に、発熱時は気が付かないうちに脱水を起こすこともあるため、こまめに水分を補給しましょう。

また、空気の乾燥を防ぐ工夫も大切です。空気が乾燥するとのどや鼻の粘膜の働きが鈍くなり、ウイルスを排出する働きが低下してしまいます。
加湿が難しい場合は室内でもマスクをするなどして、のどや鼻の乾燥を防ぐようにしましょう。

市販薬によるケアには限界が!こんな場合は迷わず医療機関を受診して

軽い風邪症状であれば、市販薬でもケアが可能です。
しかし、妊娠中や授乳中は、通常とは異なる配慮が必要です。
胎児や赤ちゃんに薬の悪影響がおよばないように、必ず専門医を受診し、適切な薬を処方してもらってください。

また、医療機関から処方された薬を使用している場合も、市販薬の使用はおすすめできません。
相互作用や成分の重複による副作用を避けるために、必ずかかりつけ医を受診して薬を処方してもらってください。
一方、薬の飲み合わせに問題がない場合であっても、市販の風邪薬で眼圧が高まったり、尿の出が悪くなったりすることもあります。
慢性疾患がある場合は、薬が処方されていなくても市販薬を安易に使用せず、かかりつけ医に相談しましょう。

そして、市販薬を使用しても症状が治まらない場合は、症状がさらに悪化する前に医療機関を受診してください。
濃い色の鼻水が出る場合は、細菌感染症の可能性が否定できないため、やはり受診が必要です。

なお、高熱が続く場合・ウイルス感染症が疑われる場合も、医療機関を早めに受診することをおすすめします。
感染症の拡大を防ぐため、事前に医療機関に連絡を取り、指示に従って受診しましょう。受診時は、マスクをするのを忘れないようにしてください。

医療用医薬品に比べて、市販薬に使用できる成分は種類が少なく、含有量も制限されていることが多くあります。
市販薬で風邪症状が改善しない場合や特別な配慮が必要な場合は、早めに医療機関を受診して症状の悪化を防ぎましょう。

 

 

参考文献・参考サイト
*1
引用)厚生労働省「政策について>審議会・研究会等>厚生科学審議会(医薬品販売制度改正検討部会)>第10回>資料>5-1. 消費者アンケート調査の結果」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/02/s0228-5j.html
*2
参考)独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「安全対策業務>情報提供業務>医薬品>注意喚起情報>医薬品・医療機器等安全性情報(厚生労働省発行)平成24年度 医薬品・医療機器等安全性情報(No.290-300)>平成24年8月29日No.293>1.一般用医薬品による重篤な副作用について」表1.表2.
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/safety-info/0080.html
https://www.mhlw.go.jp/www1/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/293-1.pdf

著者
名前:中西 真理
プロフィール:公立大学薬学部卒。薬剤師。薬学修士。医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

 

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