• 平成30年間の労働市場を振り返る 非正規雇用はどう変わったのか 

    調査・データ
  • 平成30年間の労働市場を振り返る 非正規雇用はどう変わったのか 

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2019年5月1日より「令和」が始まりました。そこで今回は「平成」の30年間における厚生労働省などの労働市場の調査結果をもとに、アルバイトを含めた非正規労働市場の変化をまとめました。

平成30年間での人口推移と就業者層の変化

平成30年間では全体人口数はほぼ横ばいですが、65歳以上の割合が11.6%から28.3%まで上昇し、約2.5倍増加しています。そのため、今後は少子高齢化が進むことで労働人口の減少が懸念されます。

 

出典:平成15年以前は総務省統計局「人口推計」、平成15年以降は「我が国の推計人口」を加工
(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/index.html)

出典:総務省統計局「労働力調査」を加工(https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html)

就業者の年齢層をみると、就業人口自体は平成元年と比較すると増加はしていますが、15歳~64歳以上は平成元年比が約1倍に比べて、65歳以上は2.57倍に増加しています。就業者層の高齢化が進んでいることがわかります。

非正規社員の高年齢化が加速

少子高齢化により高齢者の人口比率が上がり続けていることに伴い、就業者における高齢者の割合も増加しています。非正規社員の増加傾向を見ても、40代以降の割合の増加が特徴的です。女性は、45~54歳と55~64歳でそれぞれ200万人以上、65歳以上でも157万人の増加となっています。

 

 

出典:総務省統計局「労働力調査」を加工(https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html)

男性は非正規社員の割合が元年比の2.92倍となり、とくに65歳以上の非正規社員の割合は元年から166万人も増えています。女性は元年比2.47倍に上昇し、45~54歳、55歳~64歳の層の非正規社員が200万人以上増加と、男性女性ともに非正規社員の年齢が高くなっている傾向にあるため、就業者人口の高齢化が進むことで非正規社員の高齢化も今後進んでいくことが考えられます。

 

賃金格差の存在

最低賃金(全国加重平均額)は30年間で382円と大きく上昇してきました。とくに平成27年からは3年間で年間で76円上昇しています。全国的に賃金水準は高くなったようにみえますが、実は賃金の格差が広がっています。男女間(正規/非正規社員を含む)の賃金差をみると、50~54歳で最大15.5万円の開きがあります。男女格差の是正について平成では様々な法改正や取り組みが行われてきましたが、今後の令和においてもこの開きを埋める取り組みが必要と思われます。男女格差の是正については、日本は各国に大きく遅れをとっています。男女雇用機会均等法、女性活躍推進法に伴う取り組みの効果が出て、格差が縮小していくことが期待されます。

 

出典:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」を加工(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/)平成13年以前は「地域別最低賃金に関するデータ(時間額)」を参照(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/12/s1202-3.html)

 

出典:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」を加工
( https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html)

正規/非正規社員の間の賃金格差も男女格差と同じく50~54歳がもっとも差が大きくなっています。正社員の月収の平均が40万円に対し、非正規社員は20.4万円で月収で19.6万円もの差が生じています。単順に年間(12ヶ月)に換算すると235.2万円もの開きです。ボーナスの有無もこの差を生み出す大きな要因になっていると考えられます。非正規社員の雇用が拡大している一方で、社会全体の賃金格差が拡大している傾向を受け、同一労働同一賃金制への動きが強まっています。政府もガイドライン制定や法改正を進めており、2021年には中小企業まで法適用となるため、対象の企業は準備していく必要があります。

有効求人倍率は再び上昇傾向

平成30年間の有効求人倍率の推移を見ると、バブル崩壊後、平成5年あたりで急速に減少。経済低迷が影響し、低倍率の状況が10年ほど続きました。平成18年頃にはやや回復したものの、平成20年のリーマンショックで再び大きな減少を経験しています。平成21年以降は、少子化や景気回復などの要因が重なり、高い上昇率で年々増加してきました。平成26年には平均有効求人倍率が1倍を突破し、平成30年には全体で1.61倍、パートタイマーの有効求人倍率は1.82倍と大きく伸びています。働き方の多様化が進み、企業と労働者双方の「非正規」ニーズの高まりが数値にも反映されています。

 

 

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」を加工
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1.html)

職業別の有効求人倍率をみると、「介護サービス」「接客・給仕」などの倍率の上昇が著しく、平成30年の倍率はいずれも4倍を上回っています。冒頭の「人口推移」のグラフから分かるように高齢化が進む影響を受けて「介護サービス」における人材不足は顕著に表れています。一方で「一般事務」の求人倍率は0.38倍と非常に低くなっており、機械化や自動化が進んでいる現代の動向も見て取れます。

 

まとめ

少子高齢化の状況が色濃くなり、労働や雇用の環境にも大きく影響が出始めた平成。非正規社員の増加、高年齢化、賃金格差が進んだ時代でもありました。介護に関しては、高齢化に伴い、関連職種の人材不足だけでなく、介護をしながら働く従業員も増えることが予測されます。今後の採用や雇用においても、切り離せない課題となってくるでしょう。令和でも非正規社員の割合が拡大していく可能性が高く、企業は正規/非正規社員両方の管理、協働しやすい環境づくりをしていくことが人材確保、定着につながるのではないでしょうか。


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