
2025年8月に示された「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について」では、過去最高の63円の引き上げが目安とされました。この63円の引き上げは、1978年に目安制度が始まって以来、最高額となりました。
その後、47都道府県すべてで新しい最低賃金が公示され、全国の加重平均額は1,121円となりました。この2025年の改定額は2025年10月から2026年3月末にかけて順次発効し、2026年6月現在も適用されている最新の最低賃金です。
なお、次の2026年度の改定については、2026年2月27日に中央最低賃金審議会で議論がスタートしました。具体的な引き上げ目安額は2026年7月頃に示され、各都道府県での改定額は10月以降に順次発効される見込みです。最新の答申状況は厚生労働省の確認サイトでご確認ください。
本記事では、最低賃金引き上げにおける具体的な金額や、基礎知識について解説します。
目次
※各目次をクリックすると、読みたい内容をすぐにご覧いただけます。
2025年の最低賃金引上げの詳細
新しい最低賃金の全国一覧
最低賃金はいつから適用される?決定されるまでの流れ
地域別最低賃金と特定最低賃金はどちらが優先される?
最低賃金引き上げにあたり、採用担当者がまず確認したいポイント
最低賃金法に違反した場合どうなる?
最低賃金に違反した事例
最低賃金が適用される労働者の範囲は?
最低賃金対応でまず検討したい支援制度
1. 業務改善助成金
2. キャリアアップ助成金
3. 働き方改革推進支援助成金
人件費増をカバーするために活用したい生産性向上支援
1. 中小企業省力化投資補助金
2. デジタル化・AI導入補助金
3. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
4. 税制優遇・認定制度もあわせて検討する
賃上げに伴う資金負担を軽減する融資制度
1.企業活力強化貸付(働き方改革推進支援資金)
2.賃上げ貸付利率特例制度
3.セーフティネット貸付
4.マル経融資
最低賃金対応とあわせて進めたい「採用・定着」支援
1. 人材確保等支援助成金
2. 人材開発支援助成金
3. 条件に応じて検討したいその他の助成金
マイナビバイト掲載のご依頼や採用に関するお悩み、お気軽にご連絡ください!
2025年の最低賃金引上げの詳細
【2025年(令和7年)全国最低賃金一覧】(2026年6月現在、適用中の金額)
※参考にしたサイトはこちら
※当社では細心の注意を払っておりますが、万が一、内容について誤りおよび内容に基づいて被った損害について、当社では一切責任を負いませんのでご了承ください。
| 都道府県 | 2025 最低賃金 【円】 |
2024 最低賃金 【円】 |
引上げ額 【円】 |
発効日 |
| 北海道 | 1,075 | 1,010 | 65 | 2025年10月04日 |
| 青森県 | 1,029 | 953 | 76 | 2025年11月21日 |
| 岩手県 | 1,031 | 952 | 79 | 2025年12月01日 |
| 宮城県 | 1,038 | 973 | 65 | 2025年10月04日 |
| 秋田県 | 1,031 | 951 | 80 | 2026年03月31日 |
| 山形県 | 1,032 | 955 | 77 | 2025年12月23日 |
| 福島県 | 1,033 | 955 | 78 | 2026年01月01日 |
| 茨城県 | 1,074 | 1,005 | 69 | 2025年10月12日 |
| 栃木県 | 1,068 | 1,004 | 64 | 2025年10月01日 |
| 群馬県 | 1,063 | 985 | 78 | 2026年03月01日 |
| 埼玉県 | 1,141 | 1,078 | 63 | 2025年11月01日 |
| 千葉県 | 1,140 | 1,076 | 64 | 2025年10月03日 |
| 東京都 | 1,226 | 1,163 | 63 | 2025年10月03日 |
| 神奈川県 | 1,225 | 1,162 | 63 | 2025年10月04日 |
| 新潟県 | 1,050 | 985 | 65 | 2025年10月02日 |
| 富山県 | 1,062 | 998 | 64 | 2025年10月12日 |
| 石川県 | 1,054 | 984 | 70 | 2025年10月08日 |
| 福井県 | 1,053 | 984 | 69 | 2025年10月08日 |
| 山梨県 | 1,052 | 988 | 64 | 2025年12月01日 |
| 長野県 | 1,061 | 998 | 63 | 2025年10月03日 |
| 岐阜県 | 1,065 | 1,001 | 64 | 2025年10月18日 |
| 静岡県 | 1,097 | 1,034 | 63 | 2025年11月01日 |
| 愛知県 | 1,140 | 1,077 | 63 | 2025年10月18日 |
| 三重県 | 1,087 | 1,023 | 64 | 2025年11月21日 |
| 滋賀県 | 1,080 | 1,017 | 63 | 2025年10月05日 |
| 京都府 | 1,122 | 1,058 | 64 | 2025年11月21日 |
| 大阪府 | 1,177 | 1,114 | 63 | 2025年10月16日 |
| 兵庫県 | 1,116 | 1,052 | 64 | 2025年10月04日 |
| 奈良県 | 1,051 | 986 | 65 | 2025年11月16日 |
| 和歌山県 | 1,045 | 980 | 65 | 2025年11月01日 |
| 鳥取県 | 1,030 | 957 | 73 | 2025年10月04日 |
| 島根県 | 1,033 | 962 | 71 | 2025年11月17日 |
| 岡山県 | 1,047 | 982 | 65 | 2025年12月01日 |
| 広島県 | 1,085 | 1,020 | 65 | 2025年11月01日 |
| 山口県 | 1,043 | 979 | 64 | 2025年10月16日 |
| 徳島県 | 1,046 | 980 | 66 | 2026年01月01日 |
| 香川県 | 1,036 | 970 | 66 | 2025年10月18日 |
| 愛媛県 | 1,033 | 956 | 77 | 2025年12月01日 |
| 高知県 | 1,023 | 952 | 71 | 2025年12月01日 |
| 福岡県 | 1,057 | 992 | 65 | 2025年11月16日 |
| 佐賀県 | 1,030 | 956 | 74 | 2025年11月21日 |
| 長崎県 | 1,031 | 953 | 78 | 2025年12月01日 |
| 熊本県 | 1,034 | 952 | 82 | 2026年01月01日 |
| 大分県 | 1,035 | 954 | 81 | 2026年01月01日 |
| 宮崎県 | 1,023 | 952 | 71 | 2025年11月16日 |
| 鹿児島県 | 1,026 | 953 | 73 | 2025年11月01日 |
| 沖縄県 | 1,023 | 952 | 71 | 2025年12月01日 |
ナレビでは、毎月・職種別と都道府県ごとの平均時給レポートを発信しています。「他社と比べて、自社の時給が高いのか」を確認したい方は、是非平均時給レポートをご覧ください。職種ごとの平均時給や詳細なエリアごとの平均時給を知りたい方は、お気軽にマイナビバイトまでご相談ください。
関連記事
アルバイト・パート平均時給レポート(無料)
【資料ダウンロードページ】最低賃金の企業の影響が分かる!非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2024年9-10月)
最低賃金の計算方法とは?社会保険労務士が24の質問に答えます
求人広告の原稿内容にお悩みの方は、下記の記事もおすすめです。
ユーザーが応募したくなる!アルバイト求人原稿の見直し方法とチェックリスト
【実例付き】アルバイト求人に応募が来ない時のアピール内容改善5つのコツ
求職者を惹きつける!求人原稿に最適な写真を選ぶ3つのポイント
最低賃金はいつから適用される?最低賃金が決定されるまでの流れ
最低賃金の改定は通常、毎年10月1日から適用されます。ただし、具体的な適用開始日は都道府県ごとに異なる場合があります。各都道府県の労働局が決定した最低賃金の適用開始日を確認しましょう。
最低賃金は、公益代表、労働者代表、使用者代表の各同数の委員で構成される最低賃金審議会において議論の上、都道府県労働局長が決定しています。*1
具体的には、中央最低賃金審議会から示される引上げ額の目安を参考にしながら、各都道府県の地方最低賃金審議会で地域の実情を踏まえた審議・答申を得た後、異議申出に関する手続きを経て、都道府県労働局長により決定されます。
参考)
厚生労働省「最低賃金の決め方は?」
https://saiteichingin.mhlw.go.jp/point/page_point_how.html
厚生労働省「Q2 最低賃金は誰がどのように決めているのですか。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/faq_saiteichingin.html
地域別最低賃金と特定最低賃金はどちらが優先される?
最低賃金には「地域別」及び「特定」の2種類があります。
地域別最低賃金及び特定最低賃金の両方が同時に適用される場合には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。企業や労働者は、自分たちがどちらの最低賃金の対象となるかを確認し、適切な賃金を支払うことが重要です。
地域別最低賃金とは各都道府県ごとに設定される最低賃金のことです。その地域内で働く全ての労働者とその使用者に適用されます。したがって、業種や職種に関係なく、その地域で働く全ての労働者が対象となります。
特定最低賃金は、特定の産業に従事する労働者に対して設定される最低賃金のことです。特定の産業における労働条件や賃金水準を考慮して設定され、特定の産業に従事する労働者とその使用者に適用されます。
例えば、製鉄業や造船業などの特定の産業においては、地域別最低賃金よりも高い特定(産業別)最低賃金が設定されることがあります。これは、これらの産業における労働条件や賃金水準が他の産業と異なるためです。
令和5年度の特定最低賃金の審議・決定状況は下記をご参照ください。
厚生労働省「特定最低賃金の全国一覧」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43846.html
最低賃金引き上げにあたり、採用担当者がまず確認したいポイント
最低賃金の引き上げは、単に時給を改定するだけでは不十分です。採用担当者や店舗責任者は、まず以下の5点を確認しておくと、対応の全体像をつかみやすくなります。
1.自社の現在の時給が最低賃金を下回っていないか
最初に確認すべきは、現在の時給が地域別最低賃金を下回っていないかという点です。複数の都道府県に店舗を展開している場合は、都道府県ごとに最低賃金額と発効日が異なるため、店舗単位での確認が欠かせません。
2. 既存スタッフと新規採用者の時給バランスに問題がないか
新規スタッフの募集時給だけを引き上げると、長く働いているスタッフとの間に不公平感が生まれやすくなります。既存スタッフの定着やモチベーションにも影響するため、全体の賃金設計を見直す視点が重要です。
3. 地域相場と比較して採用競争力があるか
最低賃金を上回っていても、周辺店舗や同業他社より低い水準であれば、応募が集まりにくくなります。「ナレビ」では職種別・都道府県別の平均時給レポートも発信しているため、自社の募集時給を見直す際の参考にできます。
4.賃上げ分を吸収するための業務改善余地があるか
レジ、自動釣銭機、券売機、シフト管理システム、清掃機器などを導入し、少ない人数でも現場が回る仕組みを作ることで、人件費上昇の影響を抑えやすくなります。
5. 活用できる助成金・補助金がないか
国や自治体は、賃上げや業務効率化に取り組む企業向けに、さまざまな助成金・補助金を用意しています。最低賃金への対応は「時給を上げる」だけでなく、「業務を効率化する」「人材を定着させる」「使える助成金・補助金制度を確認する」ことまで含めて考える必要があります。
参考)厚生労働省「『賃上げ』支援助成金パッケージ」
最低賃金法に違反した場合どうなる?
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者と使用者の合意の上で定めていても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の賃金を支払う必要があります。もし、最低賃金法に違反した場合は、使用者に罰則が科されるため注意しましょう。
具体的には、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合は、最低賃金法において50万円以下の罰金が定められています。また、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合は、労働基準法において30万円以下の罰金が定められています。
参考)厚生労働省ホームページ「最低賃金制度とは」
最低賃金に違反した事例
事例1「最低賃金法違反容疑で書類送検」
東京都にある業者の工場で、平成21年5月21日から同年9月30日まで、労働者10人に東京都最低賃金(時間額766円)以上の賃金が支払われませんでした。また、同工場では、平成21年10月1日から同年11月20日までも、労働者8人に東京都最低賃金(時間額791円)以上の賃金が支払われていないと分かりました。
上記期間に同社が支払っていた賃金は、最も低い者で時間額600円。最低賃金不足額は、総額で約79万円に上りました。
該当地区の労働基準監督署は、平成21年10月16日に不足賃金を支払うよう行政指導を行っていましたが業者は応じなかったそうです。そのため平成 22年11月、最低賃金法違反の容疑で、業者と同社の取締役を東京地方検察庁に書類送検しました。
事例2「賃金不払で書類送検」
東京都において、労働者1人に対し、東京都最低賃金(当時1時間869円)以上の賃金を支払うべきところ、平成26年6月1日から同年6月30日までの賃金計16万1,140円を支払っていない業者がありました。
被害を受けた元労働者は、賃金不払いに対する行政指導を求めて該当地区の労働基準監督署に申告。同署は文書による行政指導を行いましたが是正されなかったため、捜索、差し押さえに踏み切り証拠資料を押収しました。そして平成27年3月19日、その業者と同社の代表取締役を最低賃金法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検しました。
事例3「最低賃金法違反で書類送検」
東京と大阪で予備校2校を運営する事業主は、所定支払日までに、両校の労働者16人に対して平成24年1月分賃金(最低賃金分51万8,583円)を支払っておらず、また東京校の労働者8人に対して同年2月分賃金(最低賃金分21万5,391円)を支払いませんでした。当時の東京都最低賃金は時間額837円、大阪府最低賃金は時間額786円となっています。
平成26年11月27日、該当地区の労働基準監督署は、最低賃金法違反容疑でこの予備校会社とその代表取締役を東京地方検察庁に書類送検しました。
引用)東京労働局ホームページ「労働基準関係法令違反に係る公表事案」
最低賃金が適用される労働者の範囲は?
地域別最低賃金は、産業や職種に関わらず、全ての労働者とその使用者に適用されます。パートタイマーやアルバイト、臨時、嘱託といった雇用形態や呼称を問いません。
一方、特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に適用されます。なお、18歳未満または65歳以上の人や、雇入れ後一定期間未満で技能習得中の人、その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する人などには適応されません。
また、一般の労働者より著しく労働能力が低いなど、以下の場合は個別に最低賃金の減額の特例が認められています。これは、雇用機会をかえって狭めるおそれなどがあるためです。ただし、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることが条件となります。
(1) 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い方
(2) 試の使用期間中の方
(3) 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
(4) 軽易な業務に従事する方
(5) 断続的労働に従事する方
参考)厚生労働省ホームページ「最低賃金の適用される労働者の範囲」
最低賃金対応でまず検討したい支援制度
最低賃金の引き上げに対応する際は、時給の見直しだけでなく、人件費の増加をどのように吸収するかも大きな課題になります。そこで活用を検討したいのが、国や自治体が用意している助成金・補助金などの支援制度です。
賃上げや処遇改善、業務効率化、生産性向上に取り組む企業を支援する制度が数多く用意されており、最低賃金対応とあわせて活用できれば、企業負担の軽減につながる可能性があります。ここでは、採用担当者や店舗責任者がまず押さえておきたい代表的な支援制度を紹介します。(2026年6月時点)
1. 業務改善助成金
業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げるとともに生産性向上につながる設備投資などを行う中小企業・小規模事業者を支援する制度です。「賃上げ原資の確保」と「生産性向上」を一体で進めたい事業者に向いています。
変更点
2026年度は賃金の引き上げ額が50円以上に設定され、設備投資費用の一部が助成されます。助成上限額は最大600万円で、同一事業主が複数の事業場で申請する場合は、事業主単位の年間合計600万円が上限となる点も2026年度からの新たな制限です。上限額や助成率は申請コースや賃金引き上げ額、対象労働者数などによって異なるため、必ず最新の公式資料を確認しましょう。
対象
中小企業・小規模事業者で、解雇・賃金引き下げなどの不交付事由がないことなど、一定の要件を満たす事業者です。申請は会社単位ではなく、工場や店舗などの「事業場」ごとに行う点も特徴です。
活用イメージ
人件費が増えた分、業務効率化を進めたい企業に向いています。「飲食店で自動釣銭機や券売機を導入して会計作業を減らす」「小売店で在庫管理システムを導入して棚卸しや発注業務を効率化する」などの活用が考えられます。賃上げと設備投資を同時に進めることで、「時給は上げたが現場負担は変わらない」という状態を避けやすくなる点が大きなメリットです。
ただし、交付決定前に設備を購入すると対象外になる場合があるため、交付決定後に設備を導入しましょう。
参考)厚生労働省「業務改善助成金」
参考)厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」
2. キャリアアップ助成金
有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを支援する制度です。正社員転換や賃金規定の改定、賞与・退職金制度の導入、短時間労働者の労働時間延長など、複数のコースがあります。最低賃金引き上げへの対応では、特に「正社員化コース」「賃金規定等改定コース」「短時間労働者労働時間延長支援コース」などが関連しやすい制度です。
変更点
2026年度は、正社員化コースに「情報公表加算」が新設されました(2026年4月8日〜)。転換情報を自社サイトまたは「しょくばらぼ」に公表した場合、1事業所当たり20万円(大企業15万円)が加算されます。賃金規定等改定コースは、賃金規定を見直して3%以上の昇給を実施した場合が対象で、1年度1事業所当たり上限100人まで支給されます。賃上げ率に応じて支給単価が変わり、職務評価加算などもあるため、具体的な金額は最新の公式パンフレットで確認しましょう。「年収の壁」対策の短時間労働者労働時間延長支援コースも2026年度に継続されています。
対象
非正規雇用労働者の処遇改善に取り組む事業主が対象です。各コースの実施日の前日までに「キャリアアップ計画」を提出する必要があります。計画書の提出や支給申請は、窓口への持参、郵送、電子申請で行えます。対象者や支給要件はコースごとに異なるため、公式パンフレットで確認しましょう。
活用イメージ
最低賃金引き上げをきっかけに非正規人材の処遇を見直す企業に有効です。「長く働いているパート・アルバイトを正社員へ転換する」「短時間勤務者の労働時間を延長して社会保険適用につなげる」などのケースが考えられます。
新人採用時給だけが上がり、既存スタッフの処遇が据え置かれると不満につながりやすいため、本制度を活用しながら昇給ルールや正社員登用の道筋を整備することが重要です。「頑張れば昇給できる」「正社員を目指せる」というキャリアパスが明確になれば、定着率の向上や求人時のアピールにもつながります。
参考)厚生労働省「キャリアアップ助成金」
参考)厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」
3. 働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金は、中小企業が労働時間の短縮、年次有給休暇の取得促進、勤務間インターバルの導入、労働環境改善などに取り組む際に活用できる制度です。最低賃金引き上げにより人件費負担が増えるなかで、「少ない時間で効率良く働ける職場」を作るために検討したい支援制度です。
変更点
2026年度は、労働時間短縮・年休促進支援コース、業種別課題対応コース、勤務間インターバル導入コース、団体推進コース、取引環境改善コース(2026年新設)の5コースがあり、全5コースについて2026年4月13日から申請受付を開始しています。
対象
労働時間の削減や勤務環境改善に取り組む中小企業をはじめ、業種別の課題を抱える企業、事業主団体などが対象です。コースによって、外部専門家によるコンサルティング、労務管理用機器やソフトウェアの導入、労働能率を高める設備・機器の導入などが対象になります。申請受付期間や締切は年度・コースにより異なるため、最新の公式ページを確認してください。
活用イメージ
シフト作成や勤怠管理の効率化、業務マニュアルの整備、労務管理体制の見直しなどに結び付けやすい制度です。「シフト作成に時間がかかっている店舗が勤怠・シフト管理システムを導入して店長の事務作業を削減する」「残業が発生しやすい現場で業務工程を見直して短時間で業務が終わる体制を作る」などの活用が考えられます。
賃上げによる人件費増を「人を減らす」方向だけで吸収するのではなく、働き方そのものを見直すきっかけになる点が大きいでしょう。
参考)厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」
参考)厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)」
参考)厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)」
人件費増をカバーするために活用したい生産性向上支援
1. 中小企業省力化投資補助金
人手不足に悩む中小企業などが、IoT機器やロボット、業務自動化に役立つ設備・システムを導入する際に活用できる補助金です。登録製品から選ぶ「カタログ注文型」と、現場や事業内容に合わせて導入する「一般型」があります。
変更点
2026年度は補助上限額が見直されています。2026年3月19日の制度改定により、カタログ注文型従業員数5人以下が500万円(大幅賃上げ特例適用時750万円)、6~20人が750万円(同1,000万円)、21人以上が1,000万円(同1,500万円)となりました。一般型は、IoT・ロボット・AIなどを活用した省力化設備の導入を対象に、最大1億円・補助率最大2/3の支援を受けられます。
対象
人手不足解消や生産性向上を目指す中小企業・小規模事業者などが対象です。カタログ注文型では券売機、自動精算機、清掃ロボット、配膳ロボットなどの登録製品を選びます。補助上限額や補助率、申請締切は公募回や従業員数、要件によって変わるため、必ず公式情報を確認してください。
活用イメージ
少人数運営や現場負担の軽減に直結しやすい制度です。「飲食店で券売機やセルフオーダーシステムを導入して注文・会計業務を減らす」「宿泊施設で清掃機器を導入して清掃時間を短縮する」などの活用が考えられます。スタッフが本来注力すべき接客や品質向上に時間を使えるようになれば、採用難の緩和や定着率改善にもつながるでしょう。
参考)独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助金」
参考)独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)」
参考)独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助金(一般型)」
2. デジタル化・AI導入補助金
中小企業・小規模事業者などが、労働生産性の向上を目的として、AIを含むITツールやソフトウェア、クラウドサービスなどを導入する際に活用できる補助金です。
変更点
「令和7年度補正予算事業」から、「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」へ名称変更されました。制度の目的が「AI活用によるDX・ビジネス変革」へ変わり、AI機能を搭載したツールが重点支援の対象に位置づけられた点が特徴です(AI未搭載の会計ソフトなども引き続き対象です)。補助額は最大で1事業者あたり450万円、補助率は補助対象経費の1/2〜4/5です。
対象
労働生産性の向上を目的としてITツール導入を検討している中小企業・小規模事業者が対象です。補助対象のITツールは、事務局に登録されたIT導入支援事業者・ITツールから選ぶ必要があり、単独申請はできません。通常枠・インボイス枠・セキュリティ枠などの申請枠があり、交付申請受付は2026年3月30日から始まっています。
活用イメージ
シフト管理、勤怠管理、応募者対応、教育・研修、給与計算、在庫管理などの効率化に活用しやすい制度です。「紙やExcelで管理していたシフト表をクラウド型シフト管理システムに切り替える」「応募者対応を一元管理できる採用管理ツールを導入する」などの活用が考えられます。管理業務をデジタル化し、少ない工数で現場を回す仕組み作りに役立ちます。
参考)中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました」
参考)中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金事務局「デジタル化・AI導入補助金2026」
参考)中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金」
3. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業者などが生産性向上や持続的な賃上げに向けて、革新的な新製品・新サービスの開発や、サービス提供方法の改善に必要な設備投資等を行う場合に活用できる補助金です。
変更点
2026年度は第23次公募が実施され、公募期間は2026年2月6日~5月8日でした。「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の2枠構成で、補助上限額は最大4,000万円、基本の補助率は中小企業1/2・小規模事業者2/3です。また2026年度のものづくり補助金は「新事業進出補助金」と統合される方針が示されています。公募スケジュールは回ごとに変わるため、最新情報は総合サイトで確認してください。
対象
補助金の要件を満たす中小企業者などが対象です。申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、発行に一定期間を要するため、活用を検討する場合は早めに準備しておくことが重要です。
活用イメージ
単なる人件費補填ではなく、事業そのものの生産性を上げる投資に向いています。例えば「飲食店が新たな調理設備を導入して提供スピードを上げる」「小売店が受発注や在庫管理を一体化するシステムを構築する」などの活用が考えられます。
スタッフ1人あたりの作業効率が上がれば、採用人数を増やし続けなくても売上を維持・拡大できる可能性があります。
参考)全国中小企業団体中央会「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金総合サイト」
参考)中小企業庁「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の第23次公募要領を公開しました」
4. 税制優遇・認定制度もあわせて検討する
最低賃金の引き上げに対応するには、助成金や補助金だけでなく、税制優遇制度や認定制度も活用したいところです。設備投資や業務効率化に取り組む際、税負担の軽減や金融支援を受けられる可能性があります。
代表的な制度の1つが「経営力向上計画」です。中小企業等経営強化法に基づき、生産性向上や経営力強化に向けた取り組みを計画として策定し、国の認定を受ける制度です。認定を受けることで税制措置や金融支援などの優遇を受けられる場合があります。
あわせて検討したいのが「中小企業経営強化税制」です。一定の設備投資を行った場合に即時償却または税額控除が認められます。POSレジや業務システム、機械設備などの導入を検討している企業にとって、実質的な投資負担の軽減につながる制度です。
さらに自治体によっては、設備投資に関する固定資産税の特例措置が設けられている場合もあります。制度内容は自治体ごとに異なるため、設備導入を検討する際は、自治体や認定支援機関へ確認すると良いでしょう。経営層や管理部門と連携しながら、税制優遇制度も含めて総合的に検討することをおすすめします。
参考)中小企業庁「経営力向上計画」
参考)中小企業庁「中小企業経営強化税制」
参考)中小企業庁「固定資産税の特例(中小企業等経営強化法による支援)」
賃上げに伴う資金負担を軽減する融資制度
最低賃金の引き上げに対応するには、賃上げ原資の確保や設備投資、生産性向上に向けた資金調達も重要になります。助成金や補助金は後払いとなるケースが多いため、先行投資が必要な場合には融資制度の活用も選択肢となります。
1.企業活力強化貸付(働き方改革推進支援資金)
日本政策金融公庫が取り扱う融資制度で、働き方改革や賃上げ、人材確保などに取り組む中小企業を支援することを目的としています。設備資金だけでなく運転資金としても利用できる場合があり、セルフレジや自動釣銭機の導入、バックオフィス業務の効率化システムの導入など、労働環境改善と生産性向上を同時に進める取り組みに活用できます。
参考)日本政策金融公庫「働き方改革推進支援資金」
2.賃上げ貸付利率特例制度
日本政策金融公庫が実施している制度で、賃上げに取り組む企業に対して融資利率の優遇を行うものです。雇用者給与等支給額の総額が最近の決算期と比較して2.5%以上増加する見込みがある場合に、融資日から2年間、利率が引き下げられます。最低賃金対応だけでなく、人材確保や採用競争力向上のために積極的な賃上げを検討している企業に適しています。
参考)日本政策金融公庫「賃上げ貸付利率特例制度」
3.セーフティネット貸付
経営環境の変化などによって資金繰りに影響を受けている中小企業向けの融資制度です。物価上昇や人件費増加などによって、一時的に資金繰りが厳しくなった企業も利用を検討できます。助成金や補助金が支給されるまでのつなぎ資金として利用されるケースもあります。
参考)日本政策金融公庫「セーフティネット貸付」
4.マル経融資
商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者向けの融資制度です。無担保・無保証人で利用できることが特徴で、レジ機器の更新や業務効率化システムの導入、採用活動の強化などの資金として利用できます。飲食店、小売店、サービス業など、小規模事業者が多い業界では特に活用しやすい制度です。
参考)日本政策金融公庫「マル経融資」
最低賃金対応とあわせて進めたい「採用・定着」支援
最低賃金の引き上げでは、時給の見直しだけでなく、採用しやすい職場づくりと辞めにくい職場づくりを同時に進めることが重要です。ここでは、採用・定着の面で活用を検討したい支援制度を紹介します。
1. 人材確保等支援助成金
魅力ある職場づくりのために労働環境の向上を図る事業主や、事業協同組合などを支援する制度です。雇用管理制度・雇用環境整備助成コース、外国人労働者就労環境整備助成コース、テレワークコースなど複数のコースがあります。雇用環境の整備や評価制度の導入など、離職防止に向けた取組を行う企業を支援します。
変更点
2026年度の概算要求段階では、賃上げ要件について従来の5%以上に加えて3%以上の区分を追加する方向が示されています。要件は年度ごとに変わるため、最新のパンフレットで確認してください。
対象
コースごとに対象が異なり、雇用管理制度や雇用環境を整備する事業主、外国人労働者の就労環境を整える事業主、テレワーク環境を整備する事業主などが想定されます。助成額や対象経費はコースごとに異なるため、必ず公式ページやパンフレットを確認してください。
活用イメージ
「時給は上げたが人が定着しない」という課題を抱える企業に向いています。「評価制度や研修制度、メンター制度を整える」「外国人スタッフが多い職場で就業ルールや安全表示を多言語化する」などの活用が考えられます。時給だけで差別化しにくい企業ほど、働きやすさや雇用管理制度の整備が重要になります。
参考)厚生労働省「人材確保等支援助成金のご案内」
参考)厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」
2. 人材開発支援助成金
事業主が雇用する労働者に対して職務に関連した訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。最低賃金引き上げに対応するうえでは、単に時給を上げるだけでなく、スタッフのスキルを高め、少ない人数でも業務品質を維持することが重要です。
変更点
2026年度は人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなどで構成されています。2026年4月8日からはコース共通の改正(eラーニングや通信制訓練に関する支給要件・経費助成上限額の見直し、申請手続きの変更)が行われているため、申請前に最新のリーフレットを確認しておきましょう。
対象
従業員に対して職務に関連する訓練を実施する事業主が対象です。コースによって対象訓練や助成率、助成額は異なります。助成金を活用する場合は、訓練実施計画届などの提出が事前に必要となるため、実施前に必ず要件を確認しましょう。
活用イメージ
教育コストを抑えながらスタッフの戦力化を進めたい企業に向いています。「店舗スタッフに接客研修を行う」「DX導入にあわせて従業員へシステム操作研修を行う」などの活用が考えられます。研修を仕組み化すれば、スタッフの成長スピードが上がり、定着率やサービス品質の改善にもつながります。
参考)厚生労働省「人材開発支援助成金」
参考)厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内」
3. 条件に応じて検討したいその他の助成金
人材確保等支援助成金や人材開発支援助成金以外にも、自社の状況に応じて活用できる助成制度がないか確認しておきましょう。助成金制度は毎年度見直しが行われるため、最新情報の確認が重要です。
たとえば、新たな業務に対応するための職業訓練やリスキリング、管理職やリーダー候補者の育成などを支援する制度のほか、若年層の雇用促進、高齢者雇用、育児・介護と仕事の両立支援など、特定の雇用課題に対応した助成金が利用できるケースもあります。
研修や資格取得支援に助成金を活用すれば、教育コストを抑えながら人材育成を進められ、従業員のモチベーション向上や定着率改善にもつながります。
参考)厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」
まとめ
最低賃金の引き上げに対応するには、まず地域別最低賃金を下回っていないかを確認し、既存スタッフとの時給バランスや採用競争力を見直すことが重要です。そのうえで、人件費の上昇を単なるコスト増として見るのではなく、業務改善や省力化、定着施策まで含めた視点で捉えることで、店舗運営の負担を抑えやすくなります。
今回紹介した制度はそれぞれ目的が異なるものです。賃上げと設備投資を同時に進めるなら「業務改善助成金」、非正規雇用労働者の処遇改善なら「キャリアアップ助成金」などが検討できます。
ただし、助成金や補助金は年度や公募回によって要件や上限額が変わることがあります。必ず公式サイトで最新情報を確認し、必要に応じて労働局や商工会議所、社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。
最低賃金改正に関わる企業の反応・対応策の詳細はこちらの資料をご確認ください。
【資料ダウンロードページ】非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2024年5-6月)
最低賃金に関わる、よくある質問はこちらからご確認いただけます。
最低賃金の計算方法とは?社会保険労務士が24の質問に答えます

<監修者プロフィール>
社会保険労務士法人レクシード
代表/特定社会保険労務士
鈴木 教大 氏
・・・・・・・・・・・・・・・・
特定社会保険労務士として、全国数百社にのぼる顧問企業の支援実績から、労使トラブル対応などの現実的な解決策提示や予防措置提案を行う。企業の労務を“予防”という視点からサポートすることに力を入れており、労働保険や社会保険関係の手続きから給与計算、勤怠管理、行政対応、リスク回避型の就業規則作成支援、入札にからむ経営事項審査サポートまで、幅広く企業の人事サポートを実施している。
マイナビバイト掲載のご依頼や採用に関するお悩み、お気軽にご連絡ください!
「マイナビバイトの掲載料金が知りたい」「掲載の流れを知りたい」とお考えの採用担当者様は、ぜひ以下よりお問い合わせください。
マイナビバイトでは、求人掲載をお考えの方だけでなく、アルバイト・パート採用に関するお悩みをお持ちの方からのご相談も歓迎しております。私たちは、応募から採用・定着までをしっかり伴走し、貴社の課題解決に寄り添います。
マイナビバイトに問い合わせる(無料)
電話番号:0120-887-515(受付時間 9:30~18:00)
さらに、料金表・サービスの概要・掲載プラン・機能紹介などを詳しくまとめたサービス資料もご用意しています。
「まずは資料を見てみたい」という方は、下記リンクから無料でダウンロードいただけます。
マイナビバイトは、貴社の採用活動を全力でサポートいたします。ぜひこの機会にお問い合わせください。
参考:最低賃金答申状況 確認サイト
確認時刻:2025年11月4日(火)15:00
厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_60788.html
厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63030.html
厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html

