2024年10月に最低賃金が改正される見込みです。全国平均は過去最高額となる1,054円への引き上げが目安とされているため、自社の給与が最低賃金を割っていないか不安を覚える採用担当者も多いのではないでしょうか。本記事では最低賃金の対象となる賃金の紹介や計算方法、よくあるご質問をまとめています。給与を見直したり、従業員に説明したりする場合にご活用ください。
目次
※各目次をクリックすると、読みたい内容をすぐにご覧いただけます。
最低賃金とは
最低賃金から除外されるもの
最低賃金の計算方法
よくある質問
Q,短時間のパート勤務にも最低賃金が適用されますか?
Q,高校生にも最低賃金が適用されますか?
Q,月給制の正社員にも最低賃金が適用されますか?
Q,業務委託契約を結んでいる場合も最低賃金が適用されますか?
Q,月給に加え追加で固定残業代を支給しています。最低賃金の対象になりますか?
Q,賞与を含んだ金額であれば、最低賃金を上回りますが、問題ないでしょうか。
Q,深夜手当を入れて計算すると最低賃金を上回りますが問題ないでしょうか。
Q,家族手当を支給しています。最低賃金の対象になりますか?
Q,固定で支払われる交通費は最低賃金の対象になりますか?
Q,基本給の月給だけでは最低賃金を下回りますが毎月必ず支給される資格手当を含めると上回ります。問題ないですか?
Q,派遣会社と派遣先の都道府県が異なります。どちらのエリアの最低賃金が適用されますか?
Q,勤務する事業所が2つあり、隣接する2つの都道府県にまたがっています。どちらのエリアの最低賃金が適用されますか?
Q,従業員に隣接する都道府県の店舗でヘルプ勤務してもらいました。どちらのエリアの最低賃金が適用されますか?
Q,在宅勤務を行っており、自宅が会社所在地と異なります。どちらのエリアの最低賃金が適用されますか?
Q,有給休暇分として支給された金額が最低賃金を割っています。問題でしょうか。
Q,サラリーマンの時給計算方法はどのように計算すればいいですか?
Q,地域手当は最低賃金に含まれますか?
Q,能力給は最低賃金に含まれますか?
Q,みなし残業代は最低賃金に含まれますか?
Q,営業手当は最低賃金に含まれますか?
Q,役職手当は最低賃金に含まれますか?
まとめ
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最低賃金とは
最低賃金は、最低賃金法に基づき、国によって定められている最低限の賃金のことです。産業や職種に関係なく、労働者を使用する場合、雇用主は定められた最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。
最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。
「地域別最低賃金」は、全ての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金です。各都道府県に1つずつ、全部で47件が定められています。
「特定(産業別)最低賃金」は、特定の産業に設定されている最低賃金のことで、「地域別最低賃金」より金額水準が高くなっています。該当する産業に属している場合は、金額の高い方が最低賃金額として適応されます。
なお、以下の条件に当てはまる労働者は、「特定(産業別)最低賃金」が適用されません。
・18歳未満又は65歳以上である
・雇入れ後一定期間未満の技能習得中である
・その他当該産業に特有の軽易な業務に従事している
※金額や産業は都道府県ごとに異なるので、詳しくは最低賃金適用額早見表を確認してください。
また、全ての地域別最低賃金と大部分の特定(産業別)最低賃金は、時間額で定められています。しかし、一部の特定(産業別)最低賃金は、日額と時間額の両方が設定されていることもあります。この場合、日額は日給制の労働者に、時間額は日給制以外の時間給制・月給制などの労働者に適用してください。
参考)厚生労働省ホームページ「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」
参考)厚生労働省ホームページ「特定(産業別)最低賃金全国一覧」
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最低賃金から除外されるもの
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。下記の賃金は除外されます。
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
最低賃金の計算方法
採用担当者は、今回の最低賃金の改正にあたり、給与改定が必要かどうか確認しておく必要があります。また、社員やアルバイトから質問された際には、給与明細をもとに、最低賃金について説明できる知識も身に付けておきたいものです。
とはいえ、手当などによって、賃金は月によって金額が異なります。どこまでを最低賃金の範囲とするか、よく分からないという人は多いのではないでしょうか。
そこで、ここからは給与体系のパターンごとに最低賃金の計算方法を解説します。それぞれのパターンに応じて計算した金額が最低賃金額以上になっているかどうかを確認してみましょう。
1)時間給制の場合
時間給制の場合は、下記の計算式で比較します。
時間給≧最低賃金額(時間額)
各都道府県の最低賃金額は、厚生労働省の「最低賃金に関する特設サイト」で確認できます。
2)日給制の場合
日給制の場合は、下記の計算式で比較します。
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合、下記の計算式で確認します。
日給≧特定(産業別)最低賃金額(日額)
3)月給制の場合
月給制の場合は、下記の計算式で比較します。
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
4)出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制、またはその他の請負制によって賃金が決定する場合は、下記の計算式で比較してください。
出来高支払額(請負額)÷労働時間≧最低賃金額(時間額)
上記1、2、3、4の組み合わせの場合
例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制である場合などはどうすればよいでしょうか。まずは、上記の計算方法により、それぞれの時間額を計算します。そして、それらを合計した金額を、最低賃金額(時間額)と比較します。
【換算方法1(月給制の場合):○○県で働くAさんの場合】
○○県のとある企業で働く労働者Aさん。月給制で、基本給が月150,000円、職務手当が月30,000円、通勤手当が月5,000円支給されています。また、この他残業や休日出勤があれば追加で時間外手当、休日手当が支給されます。ある月では、時間外手当が35,000円支給され、合計金額が220,000円となりました。
なお、Aさんの会社は、年間所定労働日数が250日、1日の所定労働時間は8時間です。一方、○○県の最低賃金は時間額1,000円となっています。
このような場合、Aさんの賃金が最低賃金額以上となっているかどうかは次のように調べます。
(1) まず、Aさんに支給された賃金から、最低賃金の対象とならない賃金を除きます。今回、除外される賃金は通勤手当と時間外手当です。
支給された賃金(220,000円)-除外される賃金(5,000円+35,000円)=180,000円
(2) 次に、この金額を時間額に換算し、それを最低賃金額と比較します。
年間の給与(180,000円×12箇月)÷年間の労働時間(250日×8時間)=1,080円>1,000円
上記の結果より、Aさんの賃金は、最低賃金額以上となっていることが分かります。
【換算方法2(日給制と月給制の組み合わせの場合):△△県で働くBさんの場合】
労働者Bさんは△△県の企業で働いています。基本給は日給制で1日あたり6,000円です。また、各種手当は月給制で、職務手当が月25,000円、通勤手当が月5,000円支給されています。ある月は、20日間働き、これらの合計が150,000円となりました。なお、Bさんの会社は、年間所定労働日数は250日、1日の所定労働時間は8時間に設定されています。そして、△△県の最低賃金は時間額950円です。
Bさんの賃金が最低賃金額以上となっているかどうかは次のように調べます。
(1) まずは、Bさんに支給された手当から、最低賃金の対象とならない賃金である通勤手当を除きます。
全ての手当(30,000円)-通勤手当(5,000円)=25,000円
(2) 次に基本給(日給制)と手当(月給制)のそれぞれを時間額に換算し、合計金額を算出。最後にその金額を最低賃金額と比較します。
基本給の時間換算額 日給(6,000円)÷1日の勤務時間(8時間/日)=750円/時間
手当の時間換算額 年間の手当(25,000円×12箇月)÷年間の勤務時間(250日×8時間)=150円/時間
合計の時間換算額 基本給の時間換算額(750円)+手当の時間換算額(150円)=900円<950円
上記の結果から、Bさんの賃金は最低賃金額を下回ることになるため、見直しが必要です。
【換算方法3(完全歩合給制の場合):□□県で働くCさんの場合】
□□県のタクシー会社で働く労働者Cさん。ある月の総支給額は177,450円であり、その内訳は、歩合給が168,000円、時間外割増賃金が6,300円、深夜割増賃金が3,150円でした。なお、Cさんの会社の1年間における1箇月平均所定労働時間は月170時間で、ある月の時間外労働は30時間、深夜労働が15時間でした。□□県の最低賃金は、時間額950円です。
※なお、Cさんの歩合制は、100%成果報酬型の給与形態である「完全歩合制」が適用されています。これは、Cさんがタクシー会社と業務委託契約を結ぶ“個人事業主”という立場であるため、適用されている仕組みです。
この場合、Cさんの賃金が最低賃金額以上となっているかどうかは次の手順で調べます。
(1) まず、Cさんに支給された賃金から、最低賃金の対象とならない賃金を除きます。除外される賃金は、時間外割増賃金、深夜割増賃金です。
総支給額(177,450円)-除外される賃金(6,300円+3,150円)=168,000円
(2) 次に、この金額を月間総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算。その金額を最低賃金額と比較します。
最低賃金の対象とならない賃金を除いた支給額(168,000円)÷月間総労働時間(200時間)=840円<950円
この結果から、Cさんの賃金は最低賃金額を下回ることになり、支給額を調整する必要があると分かります。
【換算方法4(固定給と歩合給制の場合):××県で働くDさんの場合】
そのうち、固定給は136,000円(ただし、精皆勤手当、通勤手当及び家族手当を除く)で、歩合給が50,000円、固定給に対する時間外割増賃金が30,000円、固定給に対する深夜割増賃金が3,000円、歩合給に対する時間外割増賃金が1,875円、歩合給に対する深夜割増賃金が938円となっていました。なお、Dさんの会社の1年間における1箇月平均所定労働時間は月170時間で、当月の時間外労働は30時間、深夜労働が15時間でした。××県の最低賃金は、時間額950円です。
※Dさんは、Cさんのような完全歩合給ではなく、一定の固定給に加え、Dさんの成果による報酬が歩合給として支払われる「固定給+歩合給」の仕組みになっています。
Dさんの賃金が最低賃金額以上となっているかどうかは次のように調べます。
(1) まず、固定給(最低賃金の対象とならない賃金を除いた金額)を1箇月平均所定労働時間で除して時間当たりの金額に換算します。
固定給(136,000円)÷月の所定労働時間(170時間)=800円/時間
(2) 次に歩合給(最低賃金の対象とならない賃金を除いた金額)を月間総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算します。
歩合額(50,000円)÷月間層労働時間(200時間)=250円
(3) 最後に、固定給の時間換算額と歩合給の時間換算額を合計し、最低賃金額と比較します。
固定給の時間換算額(800円)+歩合給の時間換算額(250円)=1,050円>950円
この結果から、Dさんの賃金は最低賃金額以上となっています。
引用)厚生労働省ホームページ「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」
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よくある質問
従業員の方から聞かれやすい「最低賃金」に関する質問とそれに対する回答をQ&A形式で紹介します。
Q,短時間のパート勤務にも最低賃金が適用されますか?
A,適用されます。
判断軸となる法律:最低賃金法第4条第1項
最低賃金制度において、使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとされています。
この対象は、正社員、パートタイマー、アルバイト、派遣、臨時、嘱託など、雇用形態や呼称を問わず、すべての労働者、給与形態に適用されます。
なお、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合、以下に記載する労働者に限り個別に最低賃金を減額する特例が認められています。これは、最低賃金を一律に適用することで、かえって雇用機会を狭める恐れなどがあるためです。なお、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることが条件となります。
1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方
2. 試の使用期間中の方
3. 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
4. 軽易な業務に従事する方
5. 断続的労働に従事する方
参考)厚生労働省ホームページ「最低賃金制度とは」
参考)厚生労働省ホームページ「適用される対象者は?」
Q,高校生にも最低賃金が適用されますか?
A,適用されます。
最低賃金は、年齢や性別、属性に関係なく、働く全ての人が対象です。 高校生も例外ではなく、上記と同様に適用されます。
Q,月給制の正社員にも最低賃金が適用されますか?
A,適用されます。
最低賃金は、支給形態を問わず適用されます。月給制の場合、その金額を1時間あたりの賃金に換算して、それが最低賃金を上回るように調整する必要があります。
Q,業務委託契約を結んでいる場合も最低賃金が適用されますか?
A,労働者を雇用しているわけではないため、適用されません。
業務委託とは「業務を外部の事業者に委託すること」です。これは企業と企業の間で交わされる契約であり、労働者を雇用しているわけではありません。つまり雇用契約ではないため、業務委託に最低賃金は適用されません。
Q,月給に加え追加で固定残業代を支給しています。最低賃金の対象になりますか?
A,残業代は、最低賃金の対象になりません。
残業代は、前述した「最低賃金から除外されるもの」のうち「(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)」に当たります。つまり、残業代は最低賃金の対象にはなりません。
なお、残業代を毎月固定の手当として支給していたとしても、残業代としての性質を持っている以上、最低賃金の計算対象からは除外されます。
Q,賞与を含んだ金額であれば、最低賃金を上回りますが、問題ないでしょうか。
A,問題あり。賞与は最低賃金の対象ではありません。
最低賃金は、毎月支払われる基本的な賃金を対象として計算します。賞与は「最低賃金から除外されるもの」のうち、「(2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)」に当たります。最低賃金の対象ではないため、除外して計算する必要があります。
もし、賞与を除いた毎月支払われる基本的な賃金が最低賃金を下回っている場合、法律違反になります。
Q,深夜手当を入れて計算すると最低賃金を上回りますが問題ないでしょうか。
A,問題あり。深夜手当は、最低賃金の対象ではありません。
深夜手当も、賞与と同様に、「最低賃金から除外されるもの」に該当します。時間外割増賃金など、所定の労働時間を超えて行った労働に対して支払われる賃金は除外されるため、最低賃金の対象になりません。
こちらも、深夜手当を除いた毎月支払われる基本的な賃金が最低賃金を下回っていれば、法律違反になります。
Q,家族手当を支給しています。最低賃金の対象になりますか?
A,家族手当は、最低賃金の対象ではありません。
家族手当は、「最低賃金から除外されるもの」のうち、「(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当」に当たります。そのため、最低賃金は、家族手当を除いて計算してください。
Q,固定で支払われる交通費は最低賃金の対象になりますか?
A,交通費は、最低賃金の対象ではありません。
通勤手当(交通費)は、家族手当と同様、「最低賃金から除外されるもの」のうち「(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当」に当たります。そのため、通勤手当は、最低賃金の計算の対象にはなりません。
Q,基本給の月給だけでは最低賃金を下回りますが毎月必ず支給される資格手当を含めると上回ります。問題ないですか?
A, 問題ありません。毎月支給される諸手当は、最低賃金の計算に含みます。
「最低賃金の対象となる賃金」の表によると、「諸手当」が対象であることが分かります。そのため、月支給される資格手当は、この「諸手当」に当たり、賃金の計算時には金額に含んでも問題ありません。
ただし、諸手当のうち、精皆勤手当、通勤手当、家族手当は、最低賃金の対象ではありませんのでご注意ください。
Q,派遣会社と派遣先の都道府県が異なります。どちらのエリアの最低賃金が適用されますか?
A,派遣先の最低賃金が適用されます。
派遣労働者の場合、派遣会社の事業場の所在地にかかわらず、派遣先の最低賃金が適用されます。つまり、実際に働いている場所の最低賃金が基準となる金額です。
派遣する側も、派遣される側も、派遣先の都道府県の最低賃金額を把握しておく必要があります。
引用)厚生労働省ホームページ「派遣労働者への適用」
Q,勤務する事業所が2つあり、隣接する2つの都道府県にまたがっています。どちらのエリアの最低賃金が適用されますか?
A,最低賃金が高い方を優先します。
最低賃金法第6条では、労働者が2つ以上の最低賃金の適用を受ける場合、最高のものを適用するとあります。2つの事業所に所属している場合、都道府県最低賃金の高い方の金額が優先されます。
しかし、例えば日によって2つの事業所を行ったり来たりする場合であれば、その日に働く事業所の都道府県最低賃金が適用されます。
Q,従業員に隣接する都道府県の店舗でヘルプ勤務してもらいました。どちらのエリアの最低賃金が適用されますか?
A,最低賃金が高い方が優先されます。
前問と同様、最低賃金法第6条に該当します。より高い最低賃金が優先されます。
Q,在宅勤務を行っており、自宅が会社所在地と異なります。どちらのエリアの最低賃金が適用されますか?
A,会社所在地がある都道府県の最低賃金が適用されます。
在宅やテレワークの場合、勤務を行う場所に関わらず、会社所在地がある都道府県の最低賃金が適用されます。
最低賃金が適用されるのは、原則、事業場で働く全ての労働者です。在宅勤務やテレワークを行う場合、どこを事業場とみなすかがポイント。在宅勤務の場合は、働いている場所が自宅になるので、会社を事業所と考えます。
Q,有給休暇分として支給された金額が最低賃金を割っています。問題でしょうか。
A,問題です。
労働基準法で、有給休暇中の賃金は、通常の労働時間に対して支払われるべき金額と同じか、それ以上でなければならないとされています。つまり、有給休暇中の賃金が最低賃金を下回ることは違法となります。
Q,サラリーマンの時給計算方法はどのように計算すればいいですか?
A,月給制の場合、「月給÷1箇月平均所定労働時間」で計算します。
質問のサラリーマンが月給である場合、具体的な計算式は、以下の通りになります。
「基本給+諸手当(通勤手当や家族手当、皆勤手当、残業代を除く)×12÷年間所定労働日数÷所定労働時間」
詳しくは前述している「最低賃金の計算方法」部分をご確認ください。
Q,地域手当は最低賃金に含まれますか?
A,含まれます。
地域手当は、最低賃金の対象となる賃金です。
Q,能力給は最低賃金に含まれますか?
A,含まれます。
能力手当は、最低賃金の対象となっています。
Q,みなし残業代は最低賃金に含まれますか?
A,含まれません。
みなし残業代は、固定残業代としての性質をもっているため除外されます。前述した「最低賃金から除外されるもの」のうち「(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)」に該当すると考えます。
Q,営業手当は最低賃金に含まれますか?
A,含まれます。
営業手当は、最低賃金の対象となる賃金です。
Q,役職手当は最低賃金に含まれますか?
A,場合によります。
役職手当は、最低賃金から除外される諸手当に当てはまらないため、一般的には、最低賃金の対象とされます。しかし、固定残業代としての性質を持っているため、除外される場合もあります。
まとめ
最低賃金の引き上げは、毎年夏に決定し、10月に改定されます。
雇用者(企業側)は「自社の従業員の給与が、いつの間にか最低賃金を下回った」ということがないよう、毎年注意する必要があります。もし最低賃金未満の賃金しか支払っていなかった場合は、その差額を支払う必要があることはもちろん、罰金が科せられる可能性も否めません。
本記事を参考に、改めて従業員の給与が最低賃金額を下回っていないか計算してみてください。また、不明な点があれば、都道府県労働局や労働基準監督署に問い合わせるようにしましょう。
<監修者プロフィール>
社会保険労務士法人レクシード
代表/特定社会保険労務士
鈴木 教大 氏
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特定社会保険労務士として、全国数百社にのぼる顧問企業の支援実績から、労使トラブル対応などの現実的な解決策提示や予防措置提案を行う。企業の労務を“予防”という視点からサポートすることに力を入れており、労働保険や社会保険関係の手続きから給与計算、勤怠管理、行政対応、リスク回避型の就業規則作成支援、入札にからむ経営事項審査サポートまで、幅広く企業の人事サポートを実施している。
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