マネジメント・育成
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「指示待ちのアルバイト・パートの人々」を「主体的に動いてくれる集団」に変えたい どうすればいい?

非正規社員が増える中、アルバイトやパート、あるいは業務委託のメンバーが主体となって仕事をする職場も増えています。

こうした、「非正規の労働力を主体とした職場」でよくある悩みが、アルバイトやパートのメンバーが「指示をしないと動かない」「自主的に動いてくれない」というものです。

確かに、アルバイトやパートなどは社員と違い、基本的に、雇用関係が流動的です。責任範囲も限定されます。お互いにそもそも「そんなに難しい仕事をしたくない」「させたくない」と思っていて、雇用する側からして、自主的に動いてもらうことは難しいと思い込んでいるかもしれません。

しかし、特に小さな会社では、幹部社員は一握りしかいないケースも多く、ある程度自分で動いてもらえないと、職場が回りません。
加えて、なぜかアルバイトやパートの人々が自主的に生き生きと働いてくれる職場も存在します。

では、一体両者はどう違うのでしょうか? どうやったら、非正規の人々にも、楽しく、自主的に働いてもらうことができるでしょうか。

 

リーダーのあり方が「変わる」とメンバーも変わる

「指示待ちの人が多くなってしまう組織」では、リーダーシップのあり方が違う可能性があります。リーダーが頭ごなしに叱ったり、ミスを叱責するような職場の場合、主体的に動くことがデメリットになるため、リスクを冒して「自主的に動こう」という人は出にくくなるでしょう。

昭和女子大学キャリアカレッジ学院長の熊平美香さんは、書籍「リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術」で、リーダーシップの定義は時代で変わるとしています。

もちろん、中には独裁的で、強力なリーダーが必要な組織もあります。強力なリーダーシップを持つリーダーは、自分の意思を瞬時にチームに反映させることができます。しかしこのアプローチには欠点もあります。毎回この方法を選択していると、いつの間にかメンバーが指示待ち集団になってしまいます。(*1)

特に、余計なことをして叱られたり、上下関係のスタイルで指示を出していると、メンバーはだんだんトップの指示を待つようになります。

もちろん、組織がこのスタイルでうまくいっている場合はそのままでも良いのです。「メンバーに自主的に動いてほしい」と思ったらスタイルを変える必要があります。

その上で、本書は「チーム型リーダー」を紹介しています。

「チーム型リーダー」とは、強いカリスマ性を持つリーダーに対し、メンバー誰もがリーダーシップを発揮できる組織を作るリーダーのことです。

——
チーム型リーダーの特徴は、すべてのメンバーがリーダーシップを発揮することを奨励することです。(*2)
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まずはリーダー自身がフラットな関係を構築するタイプのリーダーになることです。ではどうやったらそうなれるのか。

 

心理的安全性を担保する

一人ひとりの個性を生かしたい。そんなチームを作りたいのなら、まずはリーダーがブレない軸を持っていることです。そこで重要なのは「オーセンティックなリーダー」なのだそうです。

本書によると、「オーセンティック」とは「リーダー自身が自分に正直であること」なのだそうです。正直でブレないリーダーが職場に心理的安全性をもたらすのです。

私はこれに加えて、「リーダーが精神的に安定していること」も非常に大事だと思います。

かつての上司はまさにそんなタイプでした。「わからない」「自分にはできない」「助けてほしい」と正直にいうタイプの人で、なおかつ精神的にいつも安定していました。おかげで私を含むスタッフも、また協力してくれるアルバイトやパートの人々も、自分の存在が重要であると感じ、力を発揮できたのです。

そのためには、リーダー自身が自分の強みも弱みも受け入れることが重要です。つまり、自分をよく知ること、経験から学び自分を振り返る内省の技術、「リフレクション」が重要です。

 

メンバーの意見を傾聴する

次に、メンバーとのコミュニケーションが重要になります。アルバイトやパートという働き方・仕事を選ぶ理由はさまざまだと思いますが、貴重な時間を使うのですから、仕事自体にやりがいがあった方が、長続きもしますし、モチベーションも上がります。

リーダーの仕事は、対話で他者の経験や物の見方を知ることです。それぞれのメンバーの「やりたいこと」「楽しいこと」が仕事と結びついたとき、彼らは主体的に動いてくれるからです。

どうしても「このプロジェクトをやりたくありません」というメンバーがいたら、「なぜやりたくないのか」その経験・感情、価値観を丁寧に聞くのです。頭の中で勝手に「やる気がないのか。面白い仕事で、これをやれば成長するのに」と決め付けてしまいがちなのですが、じっくり聞いてみると、思わぬ理由が潜んでいる例がありました。

私が経験した例では、アルバイトの方から「この仕事をやりたくない」と断られたケースには、さまざまな理由があります。

ある方は、社内の人間関係に加え「誰と仕事をするか」を重視していました。そこで「お気に入りの社員であるAさんのチーム以外と組みたくない」と思っていたことがわかりました。
一方、外国人のアルバイトの方で、「自分の経験につながらない仕事は絶対にやりたくない。自分の専門分野はここではないし、この仕事をすべき人間ではないから」と考えていたケースもありました。
「プロジェクトをやりたいけれど、アルバイトなので、評価につながらないからやりたくない(正社員の誰かの評価になるのは悔しいから嫌だ。自分の評価につなげてほしい)」と思っているケースもありました。
 こういう人たちは、仕事自体にやる気はあるので、配置換えをしたり、評価方法を見直すことで、やる気のある人材に変わっていくこともあります。

 

相手の感情を理解する

また、教育現場で「先生、これでいいですか」と真面目に育ってきた人は、基本的に指示待ちになってしまいます。この人の心理を分解すると、「余計なことをすると怒られるから、できるだけやめておこう」と思っているかもしれませんし、もしかしたら、「仕事は面倒だから、できるだけ消極的に済ませておこう」と思っているかもしれません。

しかし、この人にも「達成感」を感じる瞬間があるはずです。どうしたら、嬉しいと思うのか。達成感を得て仕事に満足を覚えるのかーー聞いてみないとわかりません。まずは一人ひとりと時間をとって、「何が嬉しいのか」「どういう時に達成感を感じるのか」リーダーが一緒に探っていくと効果的です。

この時に重要なのは、リーダーは一人ひとりの「感情を扱っている」と理解して、どのメンバーがどんなときにどんな感情や価値観を持つのかを、できるだけ知ろうとすることです。そして、そこに「良い」「悪い」のジャッジを入れないことではないでしょうか。いちいちジャッジされる環境では、人は本音を言いたくなくなるからです。

それぞれのメンバーには、自分が居心地の良い状態や、達成すると起きる感情があり、それは一人ひとり違います。そして、自分がどういうときにどういう感情を持つかをはっきり認識できている人は実は多くないのです。

こうしたメンバー一人ひとりが自分の感情の動きを把握すること、それをリーダーが知っておくことーーそこが、自主的に動いてくれる人を増やすキーになりそうです。

出典)

(*1)(*2)
熊平美香 「リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術」

 

 


【著者プロフィール】

のもときょうこ 

早稲田大学法学部卒業。損保会社を経て95年アスキー入社。雑誌「MacPower」「ASAhIパソコン」「アサヒカメラ」編集者、「マレーシアマガジン」編集長などを歴任。著書に「日本人には『やめる練習』が足りていない」(集英社)「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)ほか。編集に松井博氏「僕がアップルで学んだこと」ほか。2013年ごろから、マレーシアの教育分野についての情報を発信している。

 

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