編集部コラム
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アルバイトの掛け持ちは問題ない?店長に嫌われ24時間働いた私の場合

アルバイトは正社員とはちがい、時間の融通がききやすく、労働時間を自分である程度管理できる。それを踏まえ、掛け持ちを考える人も少なくないだろう。

実際、副業している人の13.5%が「パート・アルバイトが本業」と答えており、正社員で副業している5.9%より明らかに多い。*1

わたし自身も、学生時代に2回ほどバイト掛け持ちの経験がある。
「時間があるし、収入アップするし、将来の役に立つかもしれない」と気軽にはじめたのだが……。

そこで、思わぬトラブルを経験することになった。

掛け持ちをはじめた途端シフトががっつり減った

最初にバイトを掛け持ちしたのは、大学2年生のときだ。

オープニングスタッフとして働き始めたレストランは、最初は大盛況だったもののその勢いは長くは続かず、半年もすれば閑古鳥が鳴くように。

もともと週4日ほどシフトに入っていたのだが、それが3日になり、2日になり、ついにはまったく入れないことも……。

店長から「掛け持ちを考えていいからね」と言われたので、お言葉に甘えてレストランのすぐそばの居酒屋チェーン店でも働くことに。レストランのバイトはそこそこ楽しかったし、わざわざ辞めるほどでもなかったので、掛け持ちだ。

レストランは大学の授業がない平日や土日の昼間に週1回ほど、夜は週3日居酒屋でバイト。自分としてはちょうどいい感じだと思っていた。

が、しかし。

掛け持ちをはじめた途端、わたしのシフトはがっつり削られた。もともと少なかったのに、ついには月1度しか入れてもらえなくなってしまったのだ。

「さすがにシフトが偏りすぎでは?」と店長に尋ねたところ、「生活がかかってるフリーターを優先するのは当たり前だろ。お前は学生だし、掛け持ちしてるし」と鼻で笑われた。

掛け持ち推奨したのそっちだよね!? そもそも週4って話で働き始めたのに店がガラガラでシフトを削ったのはそっちの都合なのに!!

店長は掛け持ちを勧めることで掛け持ちをはじめた人のシフトを減らし、自発的に辞めさせたかったのだろうか……。

経営者として、そうせざるをえない気持ちはわかる。オープン直後と状況がちがうのも理解できる。でも、レストランの開店から一生懸命働いてきたのに、こんな仕打ちはあんまりじゃないか?

相手から掛け持ちを勧められた場合、「掛け持ちしたあとどう扱われるか」をちゃんと確認しておいたほうがいいんだな……と学んだ一件である。

他店のシフトを優先して不興を買ったのかもしれない

そもそも、なぜわたしはレストランの店長の機嫌を損ねてしまったんだろう。
改めて考えてみると、思い当たることがあった。

それは、急な団体予約で人手が足りないという連絡を受けたとき、「居酒屋のシフトが入っているから無理」と断ったことだ。

直前の予約とはいえ、連日ガラガラのレストランとしてはありがたいことこのうえない団体さん。
店長が慌ててバイトたちに連絡したところ、掛け持ちをせずにシフトをたくさん入れてもらっているフリーターたちは二つ返事で出勤。さらに、もうひとりの学生バイトもちょうど空いていたから出勤可。わたしだけが掛け持ちを理由に断った……ということがあった。

いま思えばその件をきっかけに、シフトが減らされた気がする。

先に入ってるシフトを優先させるのは当然だし、土曜日の夜なんて居酒屋はほぼみんな出勤することが前提だから抜けられないし、しかたのないことだった。でも店長としては、「ヨソを優先させられた」と不愉快だったのかもしれない。

掛け持ちするのであれば、シフトの調整を踏まえ、ピークタイムがちがうところで働いたほうが無難なようだ。

恐怖、GWに経験した地獄の24時間勤務

結局その後レストランを辞め、掛け持ち先だった居酒屋メインで働くようになった。

そして大学3年生になったわたしは、将来ホテリエになることを目指し、就活に向けて結婚式場の受付バイトを掛け持ちすることに(ホテリエと方向が似てるので)。

前回のトラブルを活かし、結婚式場では面接の時点で土日の早番シフトのみでお願いし、居酒屋のほうには18時以降のシフトであればちゃんと週末も入れることを説明した。

双方に了承を得たうえで、ピークタイムがちがう業種での掛け持ち。これなら大丈夫だろう。

事前に調整していたこともあり、シフトがかち合うこともなく、平和な掛け持ち生活がスタート。したのだが。

……盲点だった。まさか、繁忙期がかぶるなんて!

居酒屋と結婚式場はピークタイムがちがう。居酒屋は夜だし、結婚式場の受付は土日祝日の日中がメイン。とはいえ両方とも接客業なので、連休ともなれば忙しくなる。

3連休であれば、居酒屋も結婚式場も2回出勤1回休みくらいでうまいことバランスがとれた。しかし長期休暇のゴールデンウィークとなると、そうはいかない。

ゴールデンウィーク、飲食店は年末年始に並ぶ書き入れ時。遠方からの人を招きやすいので式場でも挙式数が多く、猫の手も借りたい状態。

当然、居酒屋からも結婚式場からも「できるだけ出勤してくれ」と言われる。

今回の掛け持ちは前回のような店都合ではなく自分都合。できるかぎりのことはすべきだろうと、シフトをみっちり入れた。

そして、事件が起こる。

あれはたしか、ゴールデンウィーク3日目か4日目だった。

23時で居酒屋バイトを終える前に、できることをしておこう。そう思って空いている席を整えていると、店長から声がかかった。

「遅番が風邪で休むことになった。あと30分で2次会コースの予約客が来る。このまま通しでやってくれないか」

通しとは、夕方から明け方の閉店まで、文字通り「通し」て働くことだ。
わたしは早寝早起きがモットーの健康優良児だから、通しどころか遅番(23時から閉店までの深夜勤)すらやったことがなかったし、断り続けてきた。

通しなんて嫌だ。絶対嫌だ。だって次の日、結婚式場の早番だもん。

でも目の前の店長は、昼の12時から朝の7時まで毎日働いていて顔面蒼白。ふだん深夜勤をやっている人はすでにシフトに入っているし、時間帯的に高校生バイトには頼めない。

「……わかりました」

そう言うしかなかった。

その日わたしは17時から朝6時まで居酒屋で働き、一度家に帰り、そのまま寝ずに朝9時半からの結婚式場バイトに向かった。早番終わりの17時まで、ほぼ24時間勤務である。

しんどかった……を通り越して、その日の記憶がほとんどない。お客様に対して笑顔でなにかしゃべってはいるのだが、自分がなにを言っているのか認識できないほど疲れ切っていた。

掛け持ちするときは、ピークタイムだけでなく、繁忙期がかぶってもいけないのだ。いや、いけないことはないけど、体力的にキツすぎる。

居酒屋と結婚式場の「モード切替」に四苦八苦

さてさてひとつ余談だが、結婚式場バイトで何度か注意されたことがあった。それは、「居酒屋のような接客は控えてください」だ。

結婚式場では、丁寧な言葉遣いが求められる。バタバタと走るのはもちろんNGだし、つねに余裕をもって対応しなくてはならない。

一方の居酒屋では、友達ノリくらいの気楽な接客のほうがお客様と仲良くなれるし、少しあわただしいくらいのほうが活気があっていい。

同じ接客業ではあるが、求められるものはまったくちがう。

わたしとしては「式場モード」と「居酒屋モード」を切り替えていたつもりなのだが、結婚式場から居酒屋へのハシゴシフトでは、どうにも切り替えがうまくいってなかったらしい。

つねに意識しているつもりでも、長年慣れ親しんだ居酒屋ノリはなかなか抜けず、定期的に注意されていた。

掛け持ちをするのであれば、そこらへんも念頭に置く必要があったらしい。

ちなみに、居酒屋に来店したお客様に「この度はおめでとうございます!」と満面の笑みで出迎え爆笑されたのは、さらなる余談である。

バイトの掛け持ちで気を付けるべきこと

アルバイトは、正社員に比べて自由が大きく、基本的には掛け持ちも可能だ。自分が望む収入や労働条件、シフトの頻度などを考えて、複数のバイトを同時並行することはめずらしくない。

でも掛け持ちするのであれば、
・事前に両方に話して了承してもらうこと
・ピークタイムや繁忙期がかぶらない、もしくはかぶった場合優先順位をつけるなどで対応可能な場所にすること
・仕事の内容を踏まえてちゃんと切り替えて働くように気を付けること
は鉄則だ。

かんたんにまとめれば、「掛け持ちでだれかに迷惑をかけることは避けようね」ということである。

当然といえば当然なのだが、掛け持ちをはじめたときは、そんなことは少しも考えていなかった。「お金いっぱい入ってくるー!」くらいのノリだったのだ。

しかしアルバイトに限らず、副業を嫌う雇用主は多い。理由としては「過重労働となり、本業に支障をきたすため」が8割を超え、「労働時間の管理・把握が困難になる」が続く。まさにわたしが経験した、「24時間労働」や「シフトのバッティング」がこれにあたるだろう。*2

「アルバイトだし」と気楽に掛け持ちをはじめてしまったが、雇用者からすればいろいろなリスクがあるわけで。トラブル回避のためにもう少し考えておくべきだったな、といまになって思う。

今後バイトの掛け持ちを考えている人には、声を大にして伝えたい。

「ちゃんと双方から許可をもらったうえで、キャパオーバーしないように、自分でバランスを調整してうまく掛け持ちするんだぞ!」と。

*1 厚生労働省「副業・兼業に係る実態把握の内容等について」 p7
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000660780.pdf

*2 労働政策研究・研修機構「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(企業調査・労働者調査)」p23
https://www.jil.go.jp/press/documents/20180911.pdf

 

 


雨宮紫苑

ドイツ在住フリーライター。Yahoo!ニュースや東洋経済オンライン、現代ビジネス、ハフィントンポストなどに寄稿。著書に『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)がある。twitter→@amamiya9901

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