2020年以降、新型コロナウイルス感染症で世界中が混乱し、日本経済も大きな打撃を受けました。労働者を雇用している中小企業への影響は特に大きいと見られ、多大な負担と苦労が課せられているケースも多いでしょう。しかしながらコロナ禍においても、最低賃金の引き上げは国をあげての大きな課題です。
今回の記事では、最低賃金の引き上げを支援する目的で作られた「業務改善助成金」について解説します。8月からの特例により要件の緩和・拡充された「業務改善助成金」について、概要と特例の内容の詳細をご紹介します。これを機に、活用を検討してみてはいかがでしょうか。
目次
新型コロナ影響受け、業務改善助成金が要件緩和・拡充
8月から業務改善助成金の要件が緩和・拡充されました。簡単にその内容を説明します。
業務改善助成金とは「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金」の略称で、対象は中小企業及び小規模事業者です。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、8月1日から特例的に要件が緩和・拡充されました。
特例のうち全事業主が対象の内容としては、45円コースが新設されること、同一年度内で複数回の申請が可能になることです。そして特に業況の厳しい事業者に対して特例的に支援がおこなわるものがあります。引き上げの対象人数の拡大と助成金の限度額の拡大、さらに補助対象となる設備投資が拡充されます。
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業務改助成金の概要
まずは業務改善助成金とはどういった制度なのかをご紹介します。各コースで助成金の限度額の違いなどがあるので、どのコースを選択するかの参考にしてみてください。
■対象の事業者と助成上限額について
業務改助成金の目的は、最低賃金の引き上げにあります。事業場内の最低賃金を一定以上引き上げた中小企業と小規模事業者が対象で、生産性向上のためにかかった設備投資などの費用の一部を助成する制度です。事業場内の最低賃金の引き上げ額によってコースが分けられ、各コースの中でも何人分の労働者の賃金を引き上げるのかで助成上限額が変わります。こちらの表で確認しましょう。
- ※出典:厚生労働省「[2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
■生産量要件(表内※1)
10人以上の上限額区分で申請するには生産量要件を満たす必要があります。直近3カ月の売上高や生産量(額)といった指標が、前年または前々年の同じ月と比較したとき30%以上下がっている事業者が対象です。加えて、事業場内最低賃金が900円未満の事業場に該当しなければなりません。
■生産性要件(表内※2)
助成金申請時から直近の決算書とその3年度前の決算書を比較し生産性の伸び率が一定程度の水準を超えている場合などで、生産性要件を満たしたと見なされます。生産性要件を満たすと助成率が割り増しされるので重要なポイントです。「生産性」とは、企業の労働者1人当たりの付加価値のことを指しています。
■支給の要件
申請するにあたっての要件は、必要な申請書の提出以外ではこのようになっています。
・最低賃金引き上げ計画を策定する
・引き上げ後の賃金を支払う
・生産性向上のために設備などを導入し、その費用を支払う(業務改善を行う)
・解雇や賃金引き下げといった不交付事由がないこと
■生産性向上に資する設備や機器導入の具体例
厚生労働省公式HPの中で以下のような例が挙げられています。
・POSレジシステムの導入による在庫管理の短縮
・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
・専門家の業務フロー見直しによる顧客回転率の向上
■手続きの流れ
※出典:厚生労働省「[2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
業務改助成金の申請手続きはこのような流れで行います。
①助成金交付申請書の提出後、労働局から通知
都道府県労働局へ業務改善計画と賃金引上計画を記載した申請書類(様式第1号)を作成、提出します。申請書類の内容が適正と認められた場合、労働局が通知します。
②業務改善計画、賃金引上計画を実施
申請書に記載した内容に基づき、設備投資などの業務改善と事業場内最低賃金の引き上げを実施します。
③事業実績報告書の提出後、労働局から通知
労働局へ報告書(様式第9号)を作成、提出します。業務改善計画の実施結果や、賃金引き上げ状況の記載が必要です。報告書の内容が適正と認められた場合、助成金額を確定し、労働局が通知します。
④助成金の支払い
助成金額の通知を受けた事業者が、請求書(様式第13号)を提出して手続きを完了させてください。
8月からの要件の緩和・拡充の詳細
8月からの特例によって緩和・拡充された項目をピックアップして説明します。変更点を詳しく知りたいという方は是非読んでみてください。
※出典:厚生労働省「業務改善助成金の特例的な要件緩和・拡充」を加工して引用
000809294.pdf (mhlw.go.jp)
表中の赤字部分が8月から緩和・拡充された内容にあたります。特例のうち、全事業者が対象の内容から見ていきましょう。
■45円コースの新設
従来の30円コースと60円コースの間に45円コースを新設しています。選択肢を増やして使い勝手を良くする狙いがあります。
■同一年度内の複数回申請
さらに同一年度内で2回賃金を引き上げするケースも想定し、申請を2回まで可能としました。
続いて、特に業況が厳しい中小企業と小規模事業者が対象とされる特例を見てみましょう。
■対象人数の拡大と助成限度額の拡大
賃金を引き上げる労働者数について「10人以上」のメニューを増設しました。対象の労働者数を増やすことによって、助成金の限度額が従来の450万円から600万円に拡大されます。助成額を大きくし、より積極的な制度の利用を促していると考えられます。
■設備投資の範囲拡充
こちらは表中に記載されてない内容です。従来では生産性向上に資する設備投資の対象外であった自動車やパソコンもこの特例によって対象となるケースがあります。賃金引き上げ額30円以上の場合において、以下2点も補助の対象です。
・乗車定員11人以上の自動車及び貨物自動車等 ・パソコン、スマホ、タブレット等の端末及び周辺機器(新規導入に限る) |
特例の適用には、事業活動の状況に関する申出書の提出も必要なので注意しましょう。
まとめ
業務改助成金は中小企業と小規模事業者を国が支援する制度です。事業場内の最低賃金を引き上げた場合に、生産性向上のための設備導入などの費用の一部を国が助成するといった内容でした。
コロナ禍で企業も労働者も経済的に厳しい状況が続いており、社会全体の経済水準も下がり最低賃金の伸び率も低くなっていると予想できます。そこで業務改助成金においては、この8月から特例として要件緩和・拡充されたと考えられます。生産性向上を目指すことは企業の利益の拡大や労働者の雇用状況を改善していく力となるでしょう。業務改助成金を上手く利用し、生産性向上を目指してみてください。
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