「人生100年時代」と言われる日本。2030年には、人口の実に1/3近くが65歳以上の高齢者になると予測されています(*1)。
目次
政府も国民も「老齢になっても働く」で一致する日本
さまざまな調査や数字から見えてくる未来、それは「大勢の高齢者がパートタイムで働く世界」です。
日本政府も、高齢者が働ける土壌を整えています。例えば、令和3年に施行した「高年齢者雇用安定法」は、70歳までの就業機会を確保、事業主への努力義務を設けるものです。(*2)
一方で、国民の側も「いつまでも働きたい」気持ちは同じ。政府の調査によると、8割の人が70歳以降も働くことを望んでいます(*3)。
60〜64歳が希望する就業形態として多いのが「パートタイム就労」です。65歳以上労働者の多くも「自分の都合の良い時間に働きたい」と理由で非正規を希望しています。(*4)
「高齢者たちがパートタイムで働く未来」がすでに官民両方のコンセンサスなのです。
では、実際に高齢者たちがパートタイムで働く世界はどのようなものになるのでしょうか。
働き続ける高齢者の増加は、何も日本だけではありません。すでにたくさんの高齢者が働く米国に目をむけてみましょう。
映画「ノマドランド」が日本でも話題です。原作はジェシカ・ブルーダー「ノマド 漂流する高齢労働者たち」。原作で著者が取材したのは、主に高齢労働者たちの働き方です。本書によると、2016年には、65才以上のアメリカ人が900万人以上働いています。これは、10年間で60パーセントも増加しているんだそうです。(*5)
なぜアマゾンはあえて高齢者を雇うのか?
背景には、不動産の高騰や生活費が高騰による中間層の崩壊など、米国独自の問題があります。しかしながら、IT化やグローバル化により、単純労働をする高齢者が増えている状況はおそらく同じです。
では、彼らは実際に、どんなふうに働いているのでしょうか?
アメリカでは、不動産が高騰しており、本書では、キャンピングカーで生活しながら移動して働く高齢者たちが数多く紹介されています。
興味深いのは、大企業が好んで高齢者を雇うことです。
なぜ、高齢者に限って募集するのでしょうか。
例えば、アマゾンはキャンピングカーで生活する高齢労働者に「キャンパーフォース」と名前をつけて、彼らを歓迎しています。
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集まってくる人の多くは六〇代から七〇代で、昔ならとうにリタイヤしているか、定年間近の高齢者だ。(中略)彼らの雇い主は、アマゾン・ドット・コムだ。
アマゾンがノマドを採用するのは、同社のキャンパーフォース・プログラムの一環だ。キャンパーフォースは繁忙期限定のノマドによる労働チームで、フルフィルメント・センター(FC)と呼ばれる倉庫のいくつかで働いている。 (*6)
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アマゾンの倉庫の他にも、森林局や陸軍工兵隊の下請け企業、農場やキャンプ場などを維持管理している人たちもいるようです。
初め、著者のジェシカ・ブルーダーは「アマゾンが何故高齢者を雇いたがるのか?」と疑問を持つのです。ところが、人々は、一様に、高齢者を雇うことは企業にとってメリットがあると強調します。
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アマゾンのキャンパーフォース責任者も、高齢者には高い職業倫理があるという信念を強調する。『ワーキャンパー・ニュース』が主催したあるオンライン・ジョブ・セミナーで、キャンベルズビルのキャンパーフォース責任者、ケリー・カルロスは「八〇代のメンバーの中には、目を見張るような働きをしてくれる人が何人もいます」と語っている。… (*7)
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だが、一方で、高齢者を雇うことによる「雇用税額控除」にも触れられており、企業側にも税制のメリットがあるようです。
なお、高齢者の雇用を歓迎しているのは、アマゾンだけではありません。農業や、キャンプ場、工場など、さまざまな職域で高齢者が働いています。
例えば、本書では、人材派遣会社エクスプレス・エンプロイメント・プロフェッショナルズの業界執行役員スコット・リンドグレンの言葉を紹介しています。
「ワーキャンパーのみなさんの高い労働倫理に、我社は拍手を惜しみません」 (*8)というのです。
シニア求人に魅力のある「つながりを求める人たち」
では、シニアの側は何を求めて仕事をしているのでしょうか。
日本では、高齢化社会は、同時に一人暮らしの人が多い「ソロ社会」になるとも指摘されています。「企業戦士」が定年後に家庭に帰って、つながりを失ってしまう問題は、メディアなどで指摘されてきました。
要するに「つながり」を求めて、働く人々も出てくるのです。
例えば、アマゾンはキャンパーを採用している企業や官公庁の中で、最も過激な求人を行っていると紹介されていますが、彼らが使っている1つのテクニックが「つながりの創出」です。キャンピングカーの集まるショーや大会に求人窓口を求め、宣伝グッズを配布。人員を紹介すると紹介謝礼を受け取る仕組みもあります。そして、目に見えない報酬を強調するのです。
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キャンパーフォースで得られる目に見えない報酬が強調される。「キャンパーフォースの仲間に囲まれて、一緒に楽しみながら友だちをつくり、旧交をあたためてください。 (*9)
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もう一つは「働く人のプライド」です。彼らは「ハウスレス」と自らをよび、「ホームレス」と言われるのを嫌がるといいます。
日本でも、多数の高齢者が働く風景が当たり前になる日がやってくるのは、間違いなさそうです。
(*1) 国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(平成29年推計)報告書 p81
http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_ReportALL.pdf
(*2)
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html
(*3)70歳以降も働きたいシニアが8割もいる背景
https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h26/sougou/zentai/pdf/s2-1-1.pdf
p21-22
(*4)経済産業省 2050年までの経済社会の構造変化と政策課題についてhttps://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/001_04_00.pdf
*17ページ、23ページ、24ページ
(*5) -(*9)「ノマド 漂流する高齢労働者たち」
著者
のもときょうこ プロフィル
早稲田大学法学部卒業。損保会社を経て95年アスキー入社。雑誌「MacPower」「ASAhIパソコン」「アサヒカメラ」編集者、「マレーシアマガジン」編集長などを歴任。著書に「日本人には『やめる練習』が足りていない」(集英社)「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)ほか。編集に松井博氏「僕がアップルで学んだこと」ほか。
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