課題解決
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「自己効力感」とは?アルバイトの自主性を高めるためにコツを押さえよう

アルバイトには、できれば指示待ち人間にならずに自主的に考えて仕事をしてほしいものです。
そこで必要なのが「自己効力感」を持たせることです。
また、職場で自己効力感を持たせることは、アルバイトの離職防止にもつながります。

人を前向きに行動させ、困難に強くする自己効力感とはどのようなものか、どのようにすれば自己効力感を持たせることができるのか、その重要性について確認していきましょう。

「自己効力感」とは何か

「自己効力感」とは心理学用語で、ある行動をうまくできるという「自信」の事を言います。セルフ・エフィカシーとも呼ばれます。

そして、ある行動への自己効力感が高いと、その行動を行う可能性が高くなり、行動のための努力を惜しまず、失敗や困難を伴っても諦めにくい、と考えられています*1。

「自分はここまでしかできない」という自己評価を下していると、その範囲を超えるパフォーマンスはできません。しかし「自分はもっとやれる」という自己評価をできているひとは、実際に実現する可能性が高まります。

日常の中ですと、筋力トレーニングをすると決めたとしましょう。「自分は3日坊主だ」と自己評価している人と、「できる」と信じている自己効力感の高い人とでは、後者の方が長続きする可能性が高まる、と例えることもできるでしょう。

■ 自己肯定感との違い

似たような言葉に「自己肯定感」があります。
こちらは、「自尊心」といったニュアンスの強い言葉です。

自己肯定感も非常に大切なことですが、時々「ダニング=クルーガー効果」というのを発揮してしまう人がいます。
能力の低い人ほど自分を過大評価してしまうという認知バイアスのひとつです。

「自己効力感」は、肯定・否定の対象は自分自身ではなく「行動」だというところがポイントです。

 

自己効力感を高めるための要素

自己効力感には、大きく4つのポイントがあります。

① 実際に自分でやって、成功や失敗を直接体験してみること(遂行行動の達成)

② 他人の成功や失敗の様子を観察することによって、代理性の経験を持つこと(代理経験)

③ 自分にはやればできる能力があるのだ、ということを、他人から言葉で説得されたり、その他いろいろなやり方で社会的な影響を受けること(言語的説得)

④ 自分自身の有能さや長所、欠点などを判断していくためのより所になるような生理的変化の体験(つまり生理的症状)を自覚すること(情動喚起)

<引用「人と組織を変える自己効力」林伸二、同文舘出版  p24-25>

①は「成功経験」とも呼ばれます。そして②については、性別や年齢などが自分と似ていると思われる「モデル」となる人が、ある行動をうまく行っているのを見たり聞いたりすることで、「自分にもうまくできそうだ」と思うこと、とも解説されています*2。

③については実際に言葉で「できる」と励ますこと、そして④については、本人が上手くいったときの何らかの生理的変化、「感触」のようなものを覚え、そこに向けて気分を作っていく作業とも言えるでしょう。

「できる」と思わなければ先に進めない研修

筆者はひところ、人材開発の担当をしていたことがあります。
研修を実施する研修会社からプレゼンテーションを受けることも多かったのですが、最も印象に残っている新入社員研修の提案があります。
新入社員のグループを実際の大きな帆船に乗せ、数日間航海するというものです。

もちろん、入社前に帆船の操作をしたことがあるという人はほとんどいないでしょう。最初は研修担当者が操作を手伝いますが、少しずつその手を離し、最終的には新入社員だけで帆を張り、操舵し、目的地にたどり着かなければならないというものです。

そんなことができるのか?

筆者も一瞬思ったのですが、どのグループも最後は自分たちだけで航海し、目的地点にたどり着くのだといいます。

「やらなければどうにもならない」という環境に強制的に放り込まれているから、という厳しさもあるでしょう。しかし、船に慣れてくると、高さ30メートルあるマストのてっぺんまで登るチャレンジも実施されます。

参加者の「できる」という気持ちは日増しに強くなっていますので、このような大胆なチャレンジにも挑むことができるのだといいます。
最初は船酔いも酷く辛い体験でしかないのですが、大きな成功経験を得ていくのです。

そして社会人として生活する中で、「あのつらい研修を乗り越えたんだから、仕事で多少のことがあっても自分は大丈夫」と思う効果は大きいことでしょう。

もちろん、普段のアルバイト勤務でここまで苛酷な環境を強いるわけにはいきません。パワハラになってしまっては元も子もありません。

ただ、この研修では、参加者は「できる」という強い自己効力感を得ることができるのです。「ほめ合う」ようになることも大きな要素でしょう。文字通り「やればできる」を地で行くような研修です。

「まずやってみる」ことの重要性がわかります。

自己効力感を計測するスケール

さて、自己効力感がどのくらいあるかをテストする手法のひとつを、ベルリン自由大学が32カ国語で公開しています。
日本語版は下のようなもので、1から4の尺度で測り、合計点数が高いほど自己効力感が高いということになります(図1)。

図1 自己効力感のスケール(日本語版)
(出所:「Japanese Adaptation of the General Self Efficacy Scale」ベルリン自由大学)
http://userpage.fu-berlin.de/~health/japan.htm

もちろん、何点以上あれば合格、不合格、というものではありませんが、同じ人物が時間を経てどのように成長していくのかを見ることが可能です。

実際、自己効力感の研究は、例えば特定の疾患の治療過程にある人、高齢者などのリハビリといった現場で実施されています。この場合は、シチュエーションに見合った尺度を作成し、被験者の様子を観測しています。

上記の質問も、現場に応じた具体的なシチュエーションや言葉に置き換えて会話してみると良いでしょう。

管理者の自己効力感

青山学院大学の名誉教授である林伸二氏は、管理職もまた自己効力感を高める必要があると説いています。

あるところで、自己効力感の異なる管理者を協業者に評価させたところ、評価の高い管理者と低い管理者ではこのような違いがあったと言うことです。

確かに、同僚から仕事ができる(生産性が高い)と評価された管理者はそうでない管理者よりも、自分の能力に高い自信を持ち、仕事上関わるさまざまな人(上司、同僚、部下、顧客など)を基本的に信頼し、仕事への集中力が高かった。
しかも彼らは他人からの批判を「当然あっておかしくないもの」と考え、それを自分の改善の糧にしていた。他方、同僚から仕事ができないと評価された管理者は能力が低くないにもかかわらず、自信がなかった。(中略)しかも他人からの批判にはきわめて敏感で、どんなものでも自分を傷つけ苦しめるものだと見なし、自分という人間を否定しようとするものだと考える傾向があった。

<引用「人と組織を変える自己効力」林伸二、同文舘出版  p52 下線は筆者追加>

ここで注目したいのは下線部で、評価の低かった管理者は自己効力感が低いことによって「能力が低くないのに自信がなかった」という点です。もったいない状況だと言えるでしょう。

また、評価の低かった自己効力感の低い管理者は、自分の頑張りに対して賞賛や金銭という報酬を求める傾向が強かったといいます。
自分の能力が何か目に見えるものに変換されないと安心できないという心理が考えられます。

管理者の自己効力感

自己効力感が低いように見えるアルバイト、あるいは自分自身の自己効力感が低いのではないかと感じる場合、それは目標が大きすぎることも考えられます。

自己効力感に最も繋がりやすいのは、やはり成功経験ではないでしょうか。よって、大きな目標もまず分解し、まず小さなもの、中期的なものと順に並べ、ひとつずつこなすことで成功経験を積み上げることができるでしょう。

計画的に成功経験を積み上げていくことで自己効力感を向上させ、より大きな目標を達成できるようにしていくといった方法は有効であると考えます。
自己効力感は自分で積み上げていくことができるのです。

 

*1、2
「セルフ・エフィカシーを高めるポイント」厚生労働省e-ヘルスネット

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-07-002.html

<清水 沙矢香>
2002年京都大学理学部卒業後、TBS報道記者として勤務。
社会部記者として事件・事故、科学・教育行政その後、経済部記者として主に世界情勢とマーケットの関係を研究。欧米、アジアなどでの取材にもあたる。
ライターに転向して以降は、各種統計の分析や各種ヒアリングを通じて、多岐に渡る分野を横断的に見渡す視点からの社会調査を行っている。
https://twitter.com/M6Sayaka

 

 

 

 






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