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学生のアルバイト選びの基準は? 若者の様々な傾向を知って離職防止策を考える

マイナビが全国の大学1~4年生を対象に実施したアンケート調査では、コロナ禍をきっかけに「アルバイト選びの基準が変わった」と約3割の学生が回答しています(図1)。

 

図1 コロナ禍が大学生のアルバイト選びに与えた影響
(出所:「『2021年 大学生のアルバイト実態調査』を発表」株式会社マイナビ)
https://www.mynavi.jp/news/2021/04/post_30724.html

そして、その具体的な内容は以下のようになっています(図2)。

図2 コロナ禍をきっかけにしたアルバイト選びの変化
(出所:「『2021年 大学生のアルバイト実態調査』を発表」株式会社マイナビ)
https://www.mynavi.jp/news/2021/04/post_30724.html

感染対策という基本的な部分に加え、「働き方」「安定性」をより重視する傾向にあることがわかります。
アルバイトのシフト減少や非正規労働者の失業など、コロナ禍で度々発信されるニュースへの不安もあることでしょう。

 

「連れションバイト」「連れション就職」「連れション離職」

一人が始めると、他もそれに触発される。

Z世代研究で知られる博報堂出身の原田曜平氏は、書籍のなかで若者の行動傾向のひとつを「連れション」という言葉で指摘しています*1。
仲間を誘って、一緒に働きに来てくれる。それ自体は悪いことではないかもしれません。
しかし同時に「連れション離職」というものがあることに注意しなければなりません。

筆者が長く得意にしているある飲食店で、このようなことがありました。
もともと数年単位で店長が替わる店ではありましたが、飲食業界では、どこかの社員として働くことから始め、いずれ自分も独立開業したいと考える従業員がいても何ら不思議はありません。
また、アルバイトにも様々な事情があります。永遠にいられるわけではありません。
筆者が知る歴代の店長の数人は実際に、独立開業を果たしています。

しかし、ある年のことです。
店長が店を卒業するという話は聞いていましたが、いざその時になると、一緒にいたアルバイトも一緒に、全員辞めるという事態になってしまったのです。
経営者としては、アルバイトの離職までは想像していなかったようです。
この出来事が店に与えるダメージはいかほどでしょうか。

まず、急ぎで確保できる人材の数は限られています。スキルを問うこともできないでしょう。実際、直後になんとか確保した人材は、学業を理由に数ヶ月で辞めてしまいました。店を回すにも、他の系列店から臨時的に人を当てたり、普段接客をしないスタッフにも接客を強いたりすることになりました。

さらに困ったことには、厨房のメンバーも大きく替わってしまったことです。これは店の味を維持するのには厳しい状況でもありました。
好きなメニューがなくなった。そんな理由もあって離れていった常連客もいました。
つまり彼らアルバイトは、「その店長だから忙しくても頑張れていた」のです。その店長がいなければ、きついだけの仕事はできないということでしょう。あるいは、それに耐えるには給与が見合わないと感じていたのかもしれません。

 

上層部が直接関与することの弊害も

また、他の飲食店ではこのようなことがありました。
1か月ほどの間にアルバイトの早期離職が相次いだのだといいます。最も短くて2日間での離職でした。

現場の店長はゆっくり着実に仕事を教えるため、自分が忙しさを被っても教育上必要なこととして働いていたそうですが、様子を覗きに来た経営者が事情を知らないまま、その従業員がサボっている、というような指摘を続けてしまったのです。
もちろん店長としては「気にするな」と声をかけます。しかし圧に耐えられずすぐに離職してしまったと言います。

飲食業界では、緊急事態宣言の解除の時期を見通せなかったこともあり、アルバイト採用を控えたことから、宣言の解除後に急に人手が足りなくなっている状況があります。
経営側はそこに焦りを感じ、「いきなりできる」従業員を求めていたようです。
しかしそんなに現場は甘いものではなく、経営者の思惑通りに動くものではなかったということです。
これもコロナ禍がもたらした、一つの失敗の形と言っても良いでしょう。

未経験の異常事態に焦る気持ちは良くわかりますが、それは現場も同じです。
だからこそ、上層部・経営者こそがまず気持ちを落ち着け、原点に戻り人材の採用・定着に取り組みましょう。

 

事前説明の重要性

さて、最初にご紹介したマイナビの調査に話を戻します。
アルバイト選びの基準が変わった、という項目から共通点のあるものをピックアップしてみましょう。

・感染対策を行なっているか。もし感染したときの対応。
・フルタイムで働けるか。休業の際に会社から手当がでるか。
・シフト管理をしっかりしていて、時短などでも満足できる給与を確保できるかなど。
・コロナへの対応が充実しているか。リモートができる仕事であるか。

これらの項目に共通するものは、「詳細な事前説明の重要性」です。
もし感染したときはどう対応する会社なのか。
事前に対応について説明、できれば文書を交わすというところまで徹底すれば、人の定着に大いに役立つでしょう。
「感染してから考える」と言われてしまうと、不安が残り別の職場を探し始めることにもなりかねません。

働きたくても仕事が少ない、あるいはシフトを減らされたために働けなかったという学生もいます。
よって給与や休業手当に敏感になるのは別におかしいことではありません。
「次に緊急事態宣言が出たらどうするのか」を考えて会社として確たる方針を持ち、アルバイト希望者に示すことで安心や信頼に繋がるでしょう。

 

先の見えない時代だからこそ、確たる方針と居場所作りを

事業者は当然、忙しいときにはアルバイトを増やし、また、今回のコロナ禍のように、売り上げが大幅に落ち込む局面では人件費をなるべく削りたくなるものです。

しかし、学生アルバイトの中には、いまは「交際費」ではなく「衣食住」という基本的な所に支払うお金のために働きたいと考えている人も少なくありません。
そのため、何ヶ月契約なのか、休業手当はどうなるのか、といった金銭面の条件は最初に詳細に話しておく必要があります。

休業中であっても、例えば飲食店であればまかないを提供する、小売店であれば在庫整理の際に商品を入手しやすくする特典を提供する。
そういった「現物支給」ですら貴重になっている局面に、学生やアルバイトは立たされていると考えてみてはいかがでしょうか。

人手の調整弁として一方的に利用するという発想では、本当の意味で人はついてきません。そのような「他には無いなにか」がある職場は、きっと支持指示を得られるでしょう。

*1「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?」原田曜平 p72-73

 

 


【著者プロフィール】

<清水 沙矢香>
2002年京都大学理学部卒業後、TBS報道記者として勤務。
社会部記者として事件・事故、科学・教育行政その後、経済部記者として主に世界情勢とマーケットの関係を研究。欧米、アジアなどでの取材にもあたる。

ライターに転向して以降は、各種統計の分析や各種ヒアリングを通じて、多岐に渡る分野を横断的に見渡す視点からの社会調査を行っている。

https://twitter.com/M6Sayaka

 

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