人材育成・マネジメント
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「ワンオペバイト」。それは「丸投げ」ではありませんか?

年率約3%の最低賃金の上昇、労働力人口の低下など、人材の採用環境は厳しさを増しています。
経済産業省主催の「コンビニオーナーヒアリング」では、「早朝、深夜の時間帯などでは、人がギリギリでワンオペをしている」という苦しい状況の意見がオーナー側から多数寄せられています。*1
もはや「ワンオペ」と呼ばれる、アルバイト1人で業務を切り盛りする働き方も珍しく無くなってきたと言って良いでしょう。

このような中、店長などの現場リーダーは、アルバイトの「ワンオペ」とどう向き合っていけばいいのでしょうか。

妻がアルバイトを始めてすぐの「ワンオペ」で、お客様に怒られた話

仕事の都合で名古屋に赴任したときのこと。
わたしの妻は、「時間があるから」ということで、近くのショッピングモール内のケーキ屋でアルバイトを始めました。

しかし、新しいアルバイトを始め、楽しそうにしていたのは最初の数回の勤務だけでした。
3回目以降の勤務から、妻が午前中の1人営業の時間帯を任されるようになったのです。

お店は慢性的な人手不足で、朝9時から12時までは1人で営業するのが固定的になっていました。
これまでは、店長がこの時間帯のシフトに入っていたようですが、店長の休みの確保や店長業務(発注などの店舗管理)などもあったのでしょう。
「できるよね、お願い」と妻がその時間帯のシフトに入ることになりました。

妻は、今でも「新人アルバイトにワンオペはきつい」と言います。

「3回目の勤務でワンオペ固定はきついでしょ」
「やっぱり問題とかあったの?お客さんに怒られたりとか?」
「たくさんあったよ……ワンオペが始まってすぐあったのは、クレジットカードで払ったお客さんへの払い戻し問題。やり方を知らないことに、問題があって初めて気づいたから」
「で、どうしたの?」
「まずお客さんに謝って、隣のお店の人に助けてもらったよ……忙しい中だったから、舌打ちされたしね……」

他に、こんなこともあったそうです。
■ エコバッグ割引対象商品の割引方法がわからず、お客様に怒られる。
■ 「『お寂し見舞い』でお願い。」というお客様の言葉が聞き取れず、何度も聞き返した挙句、お客様に怒られる。(「お寂し見舞い」(おさびしみまい)とは愛知県、岐阜県の一部に特有の文化。通夜で、参列者が遺族に贈る食べ物の包み方のこと)

1人で営業するにあたり、特別な準備や備えはなく、「一通り教わっただけ」だったのは心細かったでしょうし、そのあとのフォローも十分ではなかったため、不満もあったようです。
妻は、半年経たずに退職し、アルバイト先を変えました。

新人アルバイトに「ワンオペ」を任せるなら、「仕組み」でサポート

妻は「新人アルバイトにワンオペはきつい」と言います。
では、どうすればよかったのでしょうか。

新人アルバイトに1人での営業を任せるのは、店長としても「苦肉の策」だったと思いますが、一番の問題は、「一通り教えた」というように、「人」(妻)に頼ってしまったということではないでしょうか。
現場店舗はギリギリの状況かもしれませんが、だからこそ、「人」ではなく「仕組み」で新人アルバイトをサポートするのが重要です。

これは、新人アルバイトでも対応できるようにするための環境づくりなのですが、例えば、
■ 店長や社員の連絡先を共有しておき、困った時にすぐに連絡できるようにしておく
■ クレジットカードの取り扱いなど、トラブル対処方法のメモを貼ったり、マニュアルを準備したりしておく
■ 1人での営業を任せる前の「教育リスト」を作り、漏れなく教育する
なども考えられるでしょう。
経験や知識のない新人アルバイトを、こういった環境でサポートするイメージです。

また、アルバイトを始めて早々の「ワンオペ」となると、「コマのように使われた」という印象が残りやすいものです。
実際、妻は「店長は助けてくれなかったし、先輩のアルバイトも冷たかった」と言います。

新人アルバイトであっても、ある程度の経験値を積んだアルバイトであっても段階的に教育し、「責任が重すぎる」と感じさせないようにする必要がありそうです。

新人アルバイトは、仕事の責任の重さに敏感だが、慣れていくうちに責任のある仕事にやりがいを感じるようになる

各種データからも、「新人アルバイトに仕事を任せるときは、慎重になった方がいい」ということがわかります。

マイナビの主婦(夫)アルバイト調査*2によれば、「新人アルバイトは、初めての仕事がうまくいくかどうかを心配している」ということがわかります。


株式会社マイナビ「主婦(夫)アルバイト調査」2019年5月
https://www.mynavi.jp/news/2019/05/post_20209.html

新しくアルバイトを始める際の不安として、赤枠「仕事を覚えられるか」、「責任が重くないか」が多く挙げられています。
新人アルバイトは、働く上で「大きな責任を負わされること」に負担を感じやすいということです。

また、同調査*3によれば、「アルバイトが仕事に慣れていく中では、ある程度責任のある仕事を任せた方が、長く働ける職場づくりにつながる」ということがわかります。


*アルバイトが現在の職場の特徴を挙げ、その中で長期就業意向のあり、なしを区分
株式会社マイナビ「主婦(夫)アルバイト調査」2019年5月
https://nalevi.mynavi.jp/data/6671/


*アルバイトが現在の職場の特徴を挙げ、その中で長期就業意向のあり、なしを区分
株式会社マイナビ「主婦(夫)アルバイト調査」2019年5月
https://nalevi.mynavi.jp/data/6671/

新しくアルバイトを始める際(最初のグラフ)には、仕事の責任やきつさを心配する人が40%強いました。

しかし、現職場で就業中のアルバイトの回答(下のグラフ)を見ると、赤枠「楽な仕事である」という理由で長期就業意向ありとしているのは11.9%に過ぎません。
一方、長期就業意向の理由として、青枠「やりがいを感じる」を重視しているアルバイトは、赤枠「楽な仕事である」の約2倍の23.4%にも上ります。

以上のことから、アルバイトは経験を積んでいく中で、少しずつ責任の大きな仕事をこなしていくことでやりがいを感じていること、そして、それが「長く働ける職場づくり」につながりやすいということがわかります。

まとめると、
■ 新人アルバイトは、慣れない仕事に負担を感じやすいので、できる限り1人で営業させないこと。万が一、1人営業を任せる場合でも、相応の準備が必要
■ 経験に応じ、少しずつ責任の大きな仕事を任せて、アルバイトスタッフのやりがいにつなげるべき
ということが言えるでしょう。

 

まとめ

新人アルバイトは、同じ仕事をしても負担を感じやすいものです。
1つ仕事を任せても、そこから芋づる式にわからないこと(負担に感じること)が出てくることもあるでしょう。

山登りに例えれば、鍛えた人は大きな荷物を背負って登れますが、初心者は、地上での歩行訓練から始めます。

店長などの現場リーダーは、新人アルバイトの立ち位置まで目線を落とし、一緒に階段を上るように段階的に教育しつつ、仕事を任せていくのがいいのではないでしょうか。

「新人アルバイトを仲間として迎える」ためには、このような細かな配慮が必要なのだと思います。

(*1)
出典:経済産業省ウェブサイト「コンビニオーナーヒアリング(第11回)議事要旨」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/new_cvs/pdf/hearing_11.pdf

(*2)
引用)株式会社マイナビ「主婦(夫)アルバイト調査」2019年5月
https://www.mynavi.jp/news/2019/05/post_20209.html

(*3)
引用)株式会社マイナビ「主婦(夫)アルバイト調査」2019年5月
https://nalevi.mynavi.jp/data/6671/

 

【著者】
めんおう

専業ライター。
大学卒業後、防衛省、民間企業を経てフリーランスへ転向。インターネット、働き方、英語、取材などを中心に活動。
ブログ:めんおうブログ(https://www.zinseitanosiku.com/
Twitter:https://twitter.com/mennousan

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