調査資料
/

新型コロナウイルスが就業者数に与えた影響を見る

2019年に発生した新型コロナウイルス感染症は世界中で流行を見せ、2020年は様々な場面でその影響を目にすることとなりました。
「コロナ禍」と呼ばれるこの社会現象は、人材面においても大きな影響を与えました。社会全体として外出自粛や密となる場の回避が必要となり、リモートワークや時間差出勤といった対策をとった企業も多く見られました。

一方で、リモートワークに移行できなかった業種や企業においては、従業員個人の判断により休業や退職という手段を取る人材も現れました。加えて、経済活動の低迷に伴う企業の業績悪化などもあり、人員整理を行った企業のニュースも聞かれました。このような状況は、社会全体の就業者数にも影響を与えたと考えられます。

新型コロナウイルス感染症の流行は、日本で働く人材にどのような影響を与えたのでしょうか。総務省統計局による「労働力調査」の結果から、コロナ禍における就業者数の変化について紹介します。

就業者数の推移 非正規雇用は引き続き減少

まずは、社会全体の就業者数がどのような推移を見せているのかについて見ていきましょう。次のグラフは、20191月から2020年10月までの就業者数の推移をまとめたものです。

出典:総務省統計局「労働力調査」を加工
https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html

20191月以降、就業者数は増加傾向にありました。しかし、日本において新型コロナウイルス感染患者が発見された20201月に大きく減少、緊急事態宣言が発令された4月には更に大きく減少しています。1月の時点では前年同月比ではプラスでしたが、4月には前年同月比においても大きくマイナスになったことも特筆すべきでしょう。その後、20205月には緊急事態宣言が解除となります。その影響か、5月には就業者数も同年前月比でプラスとなり、10月に至るまで徐々にではありますが回復傾向となっています。ただ前年同月比ではマイナスの値が続いています。

一方で、雇用形態別で見てみると、異なる変化が見えてきます。次のグラフは、就業者数の前年同月比の増減を正規雇用・非正規雇用に分けてまとめたものです。

出典:総務省統計局「労働力調査」を加工
https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html

正規雇用では、20205月に−1と一時的な減少を見せていますが、6月以降は増加傾向にあり、同年10月以降はずっとプラスとなっています。一方、非正規雇用を見てみると、2019年は全期間で前年同月比プラスとなっていました。しかし、2020年には減少傾向を見せています。特に、3月を境に前年同月比はマイナスを記録し続け、10月においても回復には至っていません。

宿泊・飲食・生活関連サービスにおいて大幅減

就業者数の変化について、業種別にも見ていきましょう。次に紹介するのは、業種別に見た就業者数の前年同月比増減数のグラフです。

出典:総務省統計局「労働力調査」を加工
https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html

2020年10月時点での主要14業種において、増加となった業種は9業種、残りの5業種で減少となっています。増加となっているのは「医療・福祉」「不動産・物品賃貸」「卸売・小売」「情報通信」「金融・保険」「建設」「製造」「運輸・郵便」「教育・学習支援」でした。

一方、減少幅が大きいのは「宿泊・飲食サービス」「その他サービス」で、減少幅が小さかったのは減少幅の大きかった3業種の変化値は特に大きく、全体の就業者数に影響を与えていると考えれます。

全体を通してみると、社会的インフラや生活する上で最低限必要な産業においては就労者数は増加しているかもしくは減少幅が小さいことがわかります。一方、「宿泊・飲食サービス」」といった業種においては、感染防止のため対面接客を避けた方がいること、また、コロナ禍における時短営業要請や外出自粛の動きよる結果と考えることができます。

休業者数のピークは4月 徐々に減少傾向

コロナ禍において、一旦休職という選択をした労働者も見られました。次は、社会全体における休業者数の推移について見ていきます。

出典:総務省統計局「労働力調査」を加工
https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html

グラフを見ると、休業者数のピークは緊急事態宣言直が発令された20204月、その後5月・6月にそれぞれ減少し、10月には170万人となっています。これは、前年の数値に少しずつ戻りつつあると思われます。5月の緊急事態宣言解除によって営業再開をした企業や店舗が増えていったことが影響していると考えることができます。

出典:総務省統計局「労働力調査」を加工
https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html

業種別に見ると20204月時点では「宿泊・飲食」や「卸売・小売」において休業者数が多いことがわかります。これらの業種は顧客と対面で関わる場面が多く、自治体からの休業要請にともない臨時休業をした企業・店舗の従業員であるという見方もできます。

2020年10月時点では、休業者数はまだ例年並みとなっています。今後、対面業務が中心となる業種においてのコロナ禍での営業状況や、感染拡大状況によって経済活動の変化がカギとなりそうです。

まとめ

新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、社会全体に大きな変化が生じました。外出自粛による経済活動の低下や、感染防止のための休業判断など、人材に関わる影響も大きく見られています。結果として、2020年度上半期においては就業者数や休業者数は大きく変化を見せました。しかし、20205月の緊急事態宣言解除の後、10月までの数値をみると少しずつ回復に向かっています。これから始まるwithコロナ時代に向けて、就業者数がどのように変わっていくのか、どのような働き方が選ばれていくのか、注目していく必要がありそうです。

 

あなたにおすすめ記事


アルバイト採用のことなら、マイナビバイトにご相談ください。

0120-887-515

受付時間/平日9:30~18:00

当サイトの記事や画像の無断転載・転用はご遠慮ください。転載・転用についてはお問い合わせください。

掲載料金・求人掲載のお問い合わせ