企業にとって、スタッフの給与をどの程度に設定するかは難しい問題の一つです。高すぎれば当然人件費として企業の負担となりますが、安すぎるとスタッフの流出や質の低下につながる可能性があります。現場では、常にそのバランスを取りながら、スタッフの給与の検討をされていると思います。
もちろん、一度決めた給与も、雇用環境の変化やスタッフの状況に応じて適宜変更が必要です。今回は、実際のアルバイト採用担当者へのアンケート調査からわかった、最新のアルバイト昇給に関する状況と見通しについて紹介します。
目次
直近半年間では、半数近くの企業がアルバイト給与を昇給
下記のグラフは、「直近半年間に、非正規社員の給与を変更しましたか」という設問に対する回答をまとめたものです。
出典:2019年5月 株式会社マイナビ 社長室 リサーチ&マーケティング部 アルバイトリサーチチーム「給与に関する業種別企業調査」
全体では、46.7%の担当者が直近半年間でアルバイト給与を上げたと答えています。なんと、半数近くの企業でアルバイト給与の昇給がおこなわれたことが分かります。対して、下げたと答えた担当者はたった3.6%。
昇給したと答えた割合が最も多かった業種は「警備・交通誘導」でなんと69.9%、約7割もの担当者がアルバイトの給与を昇給したと回答しています。次いで「保育」が61.6%、「販売・接客(コンビニ・スーパー)」が59.4%という結果でした。
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昇給の理由は「人材確保が難しくなったため」
実際、昇給を行った背景としてはどのような理由があるのでしょうか。次に紹介するグラフは「非正規社員の給与を上げた理由として当てはまるものをすべてお選びください」という設問への回答割合を示しています。
出典:2019年5月 株式会社マイナビ 社長室 リサーチ&マーケティング部 アルバイトリサーチチーム「給与に関する業種別企業調査」
最も多く選択された理由は、「人材確保が難しくなったため」で、69.2%という結果になりました。次に多かった理由「既存社員のモチベーションアップのため」とその次点である「市場動向・同業他社動向を踏まえて」がいずれも36%台ですので、大きな差があります。
業種別に見た場合にも、ほとんどの業種で「人材確保が難しくなったため」を選択した担当者の割合が最も多くなっています。最多となったのは飲食業の81.1%。昇給をおこなった割合が最も高かった警備・交通誘導でも77.6%と多くの担当者が人材確保をその理由として挙げています。
昇給額は時給46~186円
次のグラフは、業界ごとに変更前と変更後の時給平均、それぞれの差額をまとめたものです。
出典:2019年5月 株式会社マイナビ 社長室 リサーチ&マーケティング部 アルバイトリサーチチーム「給与に関する業種別企業調査」
昇給額が最も小さかったのは「販売・接客(コンビニ・スーパー)」で46円、対して最も大きかったのは「建築・土木作業員」で、186円でした。その差はなんと141円。実際の昇給額には業界ごとに大きな差があるということがわかります。
まとめ
今回の調査結果から、全体で半数近くの企業がアルバイト給与の昇給を行っていたことが分かりました。理由として人材確保が圧倒的に多く挙げられており、アルバイト労働市場における人員確保の難しさが浮き彫りになりました。
アルバイト人員確保のためには、スタッフの満足度の向上を欠かすことはできません。昇給もそのひとつの手法です。他の施策も含め、どのようにスタッフ満足度を向上させ、質の高いスタッフを確保するかが、アルバイト人事担当者にとって重要な責務となるでしょう。
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