社会において男女が平等に働き、活躍できる時代に向かって社会は日々変化を続けています。共働き世帯が多くなった現代において家庭と仕事をどのように両立していくかは重要なことです。働きながら家族のサポートをおこなう方のための制度が「育児・介護休業法」です。これらの制度は、働く人材が家族を守り、安心して家庭と仕事を両立できるよう施行されたものです。
今回、育児・介護休業法が改正され、この2つの休暇制度の内容が変更されることになりました。施行日は令和3年(2021年)1月1日です。改正内容やその目的などを解説していきます。
目次
育児・介護休業法とは
今回改正がおこなわれたのは、一般的に育児・介護休業法と呼ばれる法律です。正式には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます。(この記事では以下「育児・介護休業法」といいます)
この法律は男女の共同参画が社会的に広がりを見せたことを受けて制定された法律です。介護や育児をおこなう労働者が時間的制約がある中でも仕事と家庭を両立できる業環境を整備することを目的としています。また、社会情勢や働き方の変化に伴い過去にも改正がおこなわれています。(※1)
この記事を読んだ人におすすめ!
介護・育児休業法改正のポイント
介護・看護休暇の対象となる家族は配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫のいずれかとなっています。1年に5日まで、対象となる家族が2人以上いる場合は1年に10日まで取得することができます。
子の看護休暇は小学校就学前の子どもを育てている方が、子どもの看護のために取得できる休みのことです。子どもの看護とは、子どもが病気やけがをした場合の看護のほか、予防接種や健康診断へ連れて行く場合も該当します。
2021年1月からの改正は次の2点がポイントです。
いずれも、現行の制度と比較し、労働者にとって活用しやすい制度となるように改正されたものです。自社の労働者に対して活用周知や取得希望に対応できるようにしておきたいところです。
出典:厚生労働省 リーフレット「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!」を加工(※2)(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000582033.pdf)
それでは、それぞれの変更点についてみていきましょう。
①時間単位での取得可能
まず1つ目の改正点は、「介護休暇・子の看護休暇を時間単位で取得できるようになる」という点です。これまで、これらの休暇を取得するには1日単位もしくは半日単位で取得する必要がありました。そのため、実際に必要な休暇が1〜2時間といった短時間であっても、半日分の休暇を取得する必要がありました。しかし、今回の改正ではそれが「時間単位での取得」に変更になりました。そのため、始業から1時間休暇を取得し、朝のうちに家族を病院へ通院させてから出勤する、といった使い方が可能となります。
②すべての労働者が対象
2つ目はこれまで、介護休暇や子の看護休暇を取得することができる労働者は「1日の所定労働時間が4時間を超える者」という制限がありました。しかし、今回の改正でその制限が撤廃され、すべての労働者が取得可能となります。短時間だけ働いている人や、日によって労働時間が異なる人も取得可能となります。
日によって労働時間が異なる場合の取り扱いは?
今回の改正によって、介護休暇・看護休暇の取り方に自由度が増したことで労働者が利用しやすくなります。では、雇用・管理側の視点で注意すべきポイントをみてみましょう。
日によって所定労働時間数が異なる人の場合、何時間を1日とするのか、判断が難しいケースがあります。時間数・日数の計算次第で労働者にとって有利になることも不利になることもあります。厚生労働省が出しているガイドライン(※3)には、次のようなケースについて述べられています。
「日によって所定労働時間数が異なる労働者が、休暇を取得する日の所定労働時間数と同じ時間数の看護・介護休暇を取得する場合には、 日単位として取り扱うべきか、時間単位として取り扱うべきか。」
1日の所定労働時間数(計算の基準となる平均時間数)が7時間だったとして、所定労働時間が8時間の日に8時間分の休暇を取得したい場合は…
・1日とした場合…介護休暇1日分に相当
・8時間とした場合…介護休暇1日+1時間分に相当
このケースにおいては時間単位で取り扱う方が、労働者にとって不利になってしまいます。
厚生労働省では、時間数や日数に関する取り扱いについて次のように定めています。
「時間単位で看護・介護休暇を取得する場合の「時間」は、看護・介護休暇を取得しようとする日の所定労働時間数未満の時間としており、休暇を取得する日の所定労働時間数と同じ時間の看護・介護休暇を取得する場合には、日単位での看護・介護休暇の取得として取り扱うこととなる」
上記のケースにおいて「休暇を取得する日の所定労働時間数」は8時間なので、1〜7時間の範囲内においては「時間単位」での取得となり、8時間の場合は「日単位」での取得となります。
まとめ
現代社会における働き方や家庭のあり方は多様化しています。家庭も仕事も、働く方にとってはどちらも大切なものです。企業や経済を支える彼らが安心して働き、そして同時に家庭を守ることができるよう、社会や企業のあり方も常に変化を求められています。
今回の育児・介護休業法の改正は、まさにそのような社会のニーズに応える形で実施されています。企業内で働く人材がより制度を活用できるように、雇用・管理側も制度を正しく理解し、スムーズな運用を実現したいところですね。
【参考】
厚生労働省
※1:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000355354.pdf
※2:厚生労働省 リーフレット「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000582033.pdf
※3:厚生労働省「子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000582061.pdf
この記事を読んだ人におすすめ!
マイナビバイト掲載のご依頼や採用に関するお悩み、お気軽にご連絡ください!
新しくスタッフ採用をご検討している方、「マイナビバイトの掲載料金が知りたい」「マイナビバイトに掲載する流れを知りたい」という採用担当の方は以下よりお問い合わせください。
マイナビバイトでは、応募の先の採用・定着まで伴走して、課題の解決に寄り添います。
「アルバイト・パート採用を考えているけど、どのように広告を出したらいいかわからない」
「これまでのやり方ではなかなか人材が集まらなくて困っている」
「同じ業界の採用事例を知りたい」など、掲載よりもまずは採用に関して相談をしたいという採用担当の方も、ぜひ以下よりお問い合わせください。