2020年4月から同一労働同一賃金に関する法律が施行されました。(中小企業は2021年4月~)正規雇用と非正規雇用との間にある不合理な格差是正を目指す制度です。適用に向けてさまざまな取り組みがされている同一労働同一賃金ですが、各企業の対応状況はどのようなっているか、そして課題点・影響は何があるのでしょうか?アンケート結果をもとに解説していきます。
目次
適用開始時期別における対応状況
同一労働同一賃金の適用に向けて、多くの企業が何らかの対応・準備予定をしているとわかりました。適用時期・待遇項目別に詳しく解説します。
出典:2020年 株式会社マイナビ
「人材ニーズ調査~「パートタイム・有期労働法」および「同一労働・同一賃金」ガイドライン適用の対応状況について~」 〈調査期間 2020年4月6日(月)~ 2020年4月7日(火)〉
こちらは、同一労働同一賃金の適用開始年別(2020年・2021年)に対応状況をまとめたグラフです。この結果を見ると、全体では「すでに対応済み」が46.1%「一部対応済みで、現在準備を進めているところ」が31.4%と、合わせて77,5%。つまり、約8割の企業がなんらかの対応を実施している結果でした。適用開始日が2020年~の場合、約9割がなんらかの対応を実施しています。その9割の中には「一部対応済みで、現在準備を進めているところ」が約3割含まれており、準備を進めながら施行開始日を迎えた企業も一定数いることがわかりました。一方、適用開始日が2021年~の場合、5割がなんらかの対応を実施している結果でした。しかし、約3割が「対応予定だが未着手」と準備・対応ができていない企業もいる現状です。
出典:2020年 株式会社マイナビ
「人材ニーズ調査~「パートタイム・有期労働法」および「同一労働・同一賃金」ガイドライン適用の対応状況について~」〈調査期間 2020年4月6日(月)~ 2020年4月7日(火)〉
こちらは、同一労働同一賃金の適用に向けて、どのような対応状況なのか各項目別(【基本給】【賞与】【通勤手当】【諸手当】【福利厚生】【退職金】)にわけたグラフです。
この結果を見ると、全体では【基本給】【通勤手当】の項目が「非正規の基準を正社員のものにあわせて改訂済み・予定」を選んだ企業が約半数でした。企業の各項目における対応状況として、「正社員の基準を非正規のものにあわせて改訂済み・予定」が約1割に対し、「非正規の基準を正社員のものにあわせて改訂済み・予定」が約4割から5割と、正社員の待遇にあわせて適用をさせる企業が多い傾向です。一方、「どうするか決まっていない」の対応状況としては【退職金】(23.3%)【賞与】(27.8%)の項目が高い結果でした。
担当者が感じている課題点
同一労働同一賃金の適用を進める上で「コストの課題」「定義があいまい」「他社員とのバランス」「能力・責任の差と評価」が課題に感じるようです。自由記述より一部抜粋したアンケート結果をもとに解説します。
出典:2020年 株式会社マイナビ
「人材ニーズ調査~「パートタイム・有期労働法」および「同一労働・同一賃金」ガイドライン適用の対応状況について~」〈調査期間 2020年4月6日(月)~ 2020年4月7日(火)〉
こちらは、同一労働同一賃金の適用を進める上での課題を、業種・上場・非上場別にまとめた表です。
課題点の一例として以下が挙げられます。
「コストの課題」では、必要資金の把握、人件費増加による経営の負担・雇用継続が難しくなるなど、資金・人件費への懸念点が挙げられました。「定義があいまい」の課題では、誰がどんな基準で正規雇用・非正規雇用の差別化をするのか、具体的にどのように評価したら良いかわからないと言う声もあります。同一労働の定義・判断基準の不明確さが課題と感じている担当者が多いようです。
「他職員とのバランス」では、同一労働同一賃金の適用による、一律に決定する事への抵抗感や、スタッフへのモチベーション維持、制度の周知徹底と理解・納得が得られるかどうかの懸念点が挙げられました。「能力・責任の差と評価」では、正規雇用・非正規雇用における、能力・責任の判断が難しいという声もあります。さらに役職や評価・仕事量・責務差をどう明確に分けたら良いか、判断基準のバランスに課題を感じると回答を得られました。
このように、業種や上場・非上場を問わず、同一労働同一賃金の適用に向けて、コスト面・“同一労働”と賃金面のバランスや判断基準が難しいと言った課題があります。
同一賃金同一労働におけるプラスの影響とは
同一労働同一賃金の適用で、企業側にはモチベーションアップ・採用が前向きになるなどプラスの影響もあるようです。753件の自由記述より一部抜粋して紹介します。
出典:2020年 株式会社マイナビ
「人材ニーズ調査~「パートタイム・有期労働法」および「同一労働・同一賃金」ガイドライン適用の対応状況について~」〈調査期間 2020年4月6日(月)~ 2020年4月7日(火)〉
こちらは、同一労働同一賃金の適用で、企業にどんなプラスの影響があったのか業種・上場・非上場別にアンケート結果をまとめたものです。この結果を見ると、「モチベーション」「採用」にプラスの影響が挙げられました。「モチベーション」では、雇用形態による不合理な待遇差がなくなるので、平等公平性が保たれるという回答内容でした。そして、非正規雇用の士気が高くなる、正規雇用のプロ意識が目覚め始めるなど、仕事への責任感・モチベーションアップが見込めるなどの回答を得られました。「採用」では、待遇差がなくなる事で、人材確保・定着しやすくなるという意見がありました。また、スタッフの採用活動に前向きになり、優秀なスタッフの雇用継続になるという声もあります。
「その他」に、待遇差の解消により公平でフラットな職場・業務効率化のきっかけになるなど、働く環境の魅力アップに繋がったという影響が挙げられました。
まとめ
同一労働同一賃金の適用に向けて、各企業の対応状況・課題点・影響を紹介しました。適用開始日が2020年~の企業について、約9割の企業がなんらかの対応を実施していますが、準備を進めながら施行開始日を迎えた企業も一定数ある現状です。「正規雇用・非正規雇用の差別化」「人件費やコスト」「責任の明確化」など、さまざまな課題点がある一方、モチベーションアップ・採用に前向きになるというプラスの影響もあります。
「同一労働同一賃金」に関する他の記事を読む!
マイナビバイト掲載のご依頼や採用に関するお悩み、お気軽にご連絡ください!
新しくスタッフ採用をご検討している方、「マイナビバイトの掲載料金が知りたい」「マイナビバイトに掲載する流れを知りたい」という採用担当の方は以下よりお問い合わせください。
マイナビバイトでは、応募の先の採用・定着まで伴走して、課題の解決に寄り添います。
「アルバイト・パート採用を考えているけど、どのように広告を出したらいいかわからない」
「これまでのやり方ではなかなか人材が集まらなくて困っている」
「同じ業界の採用事例を知りたい」など、掲載よりもまずは採用に関して相談をしたいという採用担当の方も、ぜひ以下よりお問い合わせください。