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「考えるのが不得意な人たち」に対してのマネジメントのポイント

世の中には、「考えるのが苦手な人」が、それなりの数、存在しています。

彼らは悪人でも、怠け者でもありません。
しかし「込み入ったことを考えさせると手が止まってしまう」という特性を持っているので、彼らを上司として使う立場になったときには、少し注意を要するのです。

例えば、昔こんな事がありました。

あるマネジャーが、新しく加わった部下にこんな指示を出したのです。
「今度、お客さん同士の集まりがあるので、招待状を作って、送って欲しいのだけど。」

その部下は、配属直後で、まだ担当のお客さんがいなかったため、マネジャーは「時間もあるし、招待状の手配くらいならできるだろう」との判断で依頼したのです。

しかし後日、マネジャーの見立ては、かなり甘かったことが発覚しました。
依頼した「招待状づくり」が、全く進んでいなかったのです。

マネジャーは当然、「なんでもっと早く言わないんだ。どういう進め方をしたんだ。」と、部下に事情を聞きました。すると、部下はいいました。
「すいません、招待状の文面をどうすればいいかわからなくて。」

マネジャーは「文面」と聞いて、ますます部下に詰め寄りました。
招待状の文面を決めるのは、それほど難しくないからです。
「文面て……そんなに時間かからないだろう。」

さらに、マネジャーは部下に確認しました。
「文面以外の仕事は進んでるんだよね。」

「……いえ。」

「誰に送るかとか、紙の手配とか、発送の手続きとか、そういうのも全くやってない?」

「……すいません」

なんと彼は、最初に「文面」を考えようとして失敗し、そこで「考えるのをやめてしまっていた」のでした。
しかも、それを言い出しづらく、時間だけが経ってしまったとのことです。

マネジャーは、それを聞き、唖然としました。

「招待状を出す、という簡単な仕事もこなせないのか」
「あれほど、報告連絡相談は大事だと言ったのに」
そう彼は思ったそうです。

しかし、いまさら言っても、仕事は進みません。
もうあまり日数も残されていないので、マネジャーはすぐさま彼に指示を出し直しました。

・誰に招待状を出すのか、営業全員から、データを出してもらうこと
・招待状の資材を去年手配した人に聞き、同じで良いので調達すること
・招待状の文面は去年のデータを参照して、日付と内容を修正し、部長にレビューしてもらうこと
・封入の仕事を、アシスタントさんとアルバイトに依頼して、時間を確保してもらうこと
・発送の手配を、アシスタントさんに依頼すること

そして、最後に付け加えました。

・何を作業すべきかわからなくなったら、すぐにマネジャーに聞くこと

こうして、改めて作業の組み立てをやりなおし、明確に「タスク」に分けて仕事を与えたところ、ギリギリではありますが、きちんと仕事が遂行されたとのことでした。

この経験から、マネジャーは、彼を「抽象的な指示では仕事が出来ない人」と評価しました。同時に、彼のような人物に対するマネジメントを改めた、と言います。

彼は、このように言いました。

「あんまり考えるのが得意じゃない人には、最終的な要望だけを伝えるのではなく、仕事を細かくタスクに分けてからでないと、動けないかもしれない。残念ながら」と。

そのマネジャーはそれまで「抽象的な指示」でもそれなりの仕事をする人、もしくは困ったらすぐに相談してくる人に囲まれて仕事をしていました。

クライアントにはしばしば、仕事ができない人がいましたが、彼からすれば、それは単に「怠けている」だけで、まさか「抽象的な指示では仕事ができない」とは夢にも思わなかったのです。

しかし現実には、あらゆる組織に「抽象的な指示では仕事ができない人」が存在しており、とても身近な自社の中にも、そういう人が存在していたのです。

「あんまり考えるのが得意じゃない人たち」へどのように接するか
私見ですが、数多くの会社で、考えるのが得意ではない人たちを見てきますと、彼らは概ね、以下の特性を持っているようです。

・抽象的な指示を、タスクに落とし込めない
・タスクの優先度づけが苦手
・相談したくても、何がわからないかを言語化出来ず、放置しがち
・なにか一つがトラブると、すべての仕事で手が止まってしまう
・文章がかけない

したがって、これら一つ一つに対して、ある程度の補助がないと、仕事を任せるのは難しいでしょう。

とはいえ「ひたすら封筒に手紙をつめる」といった、単純作業は嫌がらない人も多く、作業や仕事を全くしない、というわけでもないのです。

したがって、彼らへは以下のような「仕事の振り方の工夫」が重要になります。

1.タスクは可能なかぎり、具体化すること
タスクに分割して仕事に対処すること、あるいは課題を切り分けて、問題の根本解決を図ることなどは、いずれも彼らの苦手とするところです。

したがって、そういったことは、依頼者がやるか、考えるのが得意な人にまかせ、彼らには出来得る限り具体化された、実作業を与えましょう。そうすれば、ある程度、お互いに満足の行く結果が得られます。

2.振る仕事は一度に一つにするか、タスクの優先度は必ず示す
彼らに複数のタスクを与えたとき、「重要な仕事」ではなく、「手のつけやすい方」から始めてしまうことがよくあります。

したがって、彼らには基本的に一つの仕事が終わったらもう一つの仕事を与える、という形で仕事をふるようにすると、パフォーマンスを保てます。

また、どうしても都度の指示が難しい場合は、「これから取りかかれ」と明確に指示を出さねばなりません。

3.細かな声掛けが重要
「質問ができる能力」=「言語化能力」ですが、彼らは文章を書くことが苦手であり、かつ言語化を「面倒」と感じる傾向にあるため、困ってもなかなか相談してきません。

なので、仕事を振ったら、こちらからこまめに様子を聞かないと、ぎりぎりになって「何もやってない」といった、大どんでん返しが待っていたりします。

「相談してね」といっても、相談はしてこない、こちらからのこまめな声掛けをデフォルトとしたほうが良いのです。

4.報告を受けるなら、直接話すか電話
彼らに対する指示は文書でもいいのですが、彼らの報告を受け取るときは、直接話すか、電話のほうが良いようです。

というのも、彼らの文章は多くの場合、冗長で的を外していることが多い上に、文章が苦手なため、報告書を書くために彼らに膨大な時間を使わせている可能性が高いからです。

以上のように、彼らの弱点を補うように、マネジメント側で動くことができれば、アイデア出しやお客さんとの会話、単純作業など、各自の得意なことでは、それなりのパフォーマンスを発揮してくれる可能性があります。

「アイツラはだめだ」と切り捨てずに、ぜひ、良い活用方法を、マネジメントの手法を通じて模索してみてください。


【著者プロフィール】

安達裕哉

◯Twitter https://twitter.com/Books_Apps

元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者(http://tinect.jp)/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

 

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