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【看護師が解説】新型コロナワクチンの効果と副反応 接種するかどう判断する?

2021年6月現在、医療従事者や高齢者を中心に新型コロナウイルスのワクチン接種が進められています。
今後、多くの人たちに接種が進められていきますが、自分は接種するか迷っている人も多いのではないでしょうか。

ワクチン接種が進められている国では少しずつ以前の生活に戻りつつあり、希望を感じる一方で副反応のリスクは心配という人もいるかも知れません。

そこで今回は、新型コロナワクチンの効果や副反応について現時点で判明していることを基に、ワクチン接種を判断する視点について解説します。
ワクチン接種を迷っている方の参考になれば幸いです。

 

目次

ワクチンとはどういうもの?新型コロナワクチンの概要

新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンとの違い

新型コロナワクチンの効果は本当にあるのか?

新型コロナワクチンの接種を判断するための視点

まとめ

 

ワクチンとはどういうもの?新型コロナワクチンの概要

まず、ワクチンや免疫について解説します。

ワクチンとは、ウイルスや細菌からの感染を予防するために作られたものです。
ワクチンを接種すると、体の免疫獲得機能が働き、病気の発症を予防したり重症化を防いだりできます。

ワクチンは、病原体をもとに作られますが、ワクチンを接種したからといって感染がおきるわけではありません。
以下の図のように、病原体を弱くしたり、病原体のタンパク質を利用したり、さまざまな方法で作られています。

引用)厚生労働省 「新型コロナワクチンQ&A ワクチンにはどのようなものがあるのですか。」
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0018.html

日本で薬事承認され、2021年6月現在で接種できる新型コロナワクチンは、ファイザー社と武田/モデルナ社のものです。
アストラゼネカ社は薬事承認済みですが、公費で接種できるワクチンとして承認されていません。

ファイザー社と武田/モデルナ社のワクチンは「mRNAワクチン」で、ウイルスの一部であるタンパク質の設計図を利用するワクチンです。
このワクチンを接種すると、体内で新型コロナウイルスのタンパク質が作られます。
その後、タンパク質への抗体が作られ、免疫を獲得するという仕組みです。

 

新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンとの違い

ワクチンと聞いて多くの人がイメージしやすいのが、インフルエンザワクチンです。
ここでは、新型コロナワクチンの特徴を理解するため、なじみのあるインフルエンザワクチンと比較してみましょう。

  新型コロナワクチン インフルエンザワクチン
種類 mRNAワクチン 不活化ワクチン(注射)
生ワクチン(鼻腔スプレー)
接種回数 2回 ※ファイザー社は3週間、武田/モデルナ社は4週間間隔をあけて2回目を接種する 13歳以上:1回接種
13歳未満:2回接種
効果の持続期間 不明 1シーズン(例年12月~4月が流行期間)*1
費用 無料 医療機関ごとに異なる
※全額自己負担
※65歳以上の方、60~64歳で条件に該当する方は定期接種
副反応 接種部位の痛みや疲労など:50%以上*2 局所反応:10~20%
全身反応:5~10%*1

※こちらは記事公開時の情報です

新型コロナワクチンの特徴について、もう少し詳しく解説します。

①2回接種する理由
新型コロナワクチンは2回の接種が必要ですが、その理由は1回の接種より高い効果が期待できるためです。

厚生労働省によると、ファイザー社のワクチンが最も高い効果を発揮するのは、2回目を接種後7日程度経ってからです。
1回目の接種後から2週間程度は、ワクチンを受けていない方と同じくらいの頻度で発症してしまうことが論文等でも報告されています。*3

武田/モデルナ社のワクチンも、十分な免疫を確認できたのは2回目接種後14日以降でした。*3
これらのデータから、新型コロナワクチンの効果を最大限発揮させるためには2回接種が必要であることが分かります。

②効果の持続期間について
インフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行するウイルスを予想して作るので、毎年接種します。
新型コロナワクチンは、まだ接種が始まったばかりということもあり、どのくらいの期間効果が持続するのかは明らかになっていません。

③副反応について
インフルエンザワクチンの副反応は、局所反応(注射部位の痛みや赤みなど)が10~20%、全身反応(発熱やだるさなど)が5~10%というデータがあり、どちらも2~3日程度でなくなります。*1

新型コロナワクチンの副反応は、以下の通りです。
・接種部位の痛みや頭痛など:50%以上
・筋肉痛、寒気、発熱、接種部位の腫れなど:10~50%
・吐き気や嘔吐:1~10%
・アナフィラキシー症状(急性のアレルギー反応):稀な頻度*2

インフルエンザワクチンの副反応と比較すると副反応が出る確率が高いですが、大部分は接種後数日以内に回復しています。*2

 

新型コロナワクチンの効果は本当にあるのか?

では、新型コロナワクチンの効果はどのくらいなのかみていきましょう。

新型コロナワクチンの効果は、発症の予防です。
感染予防効果については、明らかになっていないません。
つまり、ワクチンを接種すれば発症するリスクを抑えられるが、感染する可能性はあるということです。

新型コロナワクチンの種類別の発症予防効果は、ファイザー社が約95%、武田/モデルナ社が約94%といわれています。*4
なぜ感染予防効果が明らかになっていないかというと、発症予防効果に比べて実証しにくいためです。
特に新型コロナウイルスは発症しない感染者が多いので、実証が難しくなっています。

しかし、2021年5月10日に国立感染症研究所から希望のもてる発表がありました。
ワクチンを接種した医療従事者約110万人に対して、COVID-19と診断された症例の調査を行ったところ、報告率は1回目接種日から12日前後を境に低下する傾向がみられ、接種後0~13日の報告率と比較すると、14~20日で0.42倍、21~27日で0.39倍、28日以降で0.14倍でした。*5
つまり、ワクチンを接種してから日にちが経過するにつれて、COVID-19と診断される人が少なくなっていったということです。
この調査の目的は「臨床的効果を迅速に評価すること」ではありますが、新型コロナワクチンに一定の効果があると期待できます。

では、インフルエンザワクチンの効果をみてみましょう。
国内の研究によると、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。*1
調査対象の年齢層や人数など条件が異なるので、単純に比較するのは難しいのですが、新型コロナワクチンには高い発症予防効果があることが分かります。

また、変異株への効果も気になるところです。
ファイザー社や武田/モデルナ社のワクチンでは、変異株の新型コロナウイルスにも作用する抗体がつくられた、といった実験結果も発表されています。*6

 

新型コロナワクチンの接種を判断するための視点

新型コロナワクチンの接種は義務ではないので、打たないという選択そのものが問題になることはありません。
逆に言うと、一人ひとりが接種するかどうかを判断する必要があります。

新型コロナワクチンを接種するかどうか迷っている人のために、判断するためのポイントをまとめました。

①年齢
ワクチンの種類によって、接種できる年齢が異なります。
ファイザー社は12歳以上、武田/モデルナ社は18歳以上が対象です。

②接種できない条件に当てはまっていないか
厚生労働省は、以下に該当する人は接種できないとしています。
・明らかに発熱している方
・重い急性疾患にかかっている方
・ワクチンの成分に対し、アナフィラキシーなど重度の過敏症の既往歴のある方
・上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある方*7
迷う場合は、かかりつけ医に確認しましょう。

③効果と副反応について
これまで説明した通り、新型コロナワクチンには高い発症予防効果があります。
一方で、副反応のリスクもあるのは事実です。
副反応のリスクは、1回目の接種よりも2回目の接種後の方が高くなります。
これは、1回目の接種で多少免疫ができることで、2回目接種後に免疫反応が起こりやすくなるためです。

この効果と副反応のリスクを天秤にかけて、どちらを優先するのか判断します。
例えば、新型コロナウイルスに感染して重症化するのが怖いので、副反応があっても数日で治まるのであれば接種しようという方もいるでしょう。
または、持病があり副反応の影響がどの程度あるのか不安なので、かかりつけ医に相談してから慎重に判断したいという方もいると思います。

体調に不安がある人やどうしても判断に迷う人は、かかりつけ医に相談してみましょう。

 

まとめ

新型コロナワクチンは高い発症予防効果があり、日本でも接種した人に一定の効果があることが分かりつつあります。
すぐにコロナ禍前のような生活に戻れるわけではありませんが、ワクチンは新型コロナウイルス終息の希望です。

しかし、副反応のリスクもあります。
自分の体調や体質を考慮し、どこまでリスクをとれるのか判断してワクチンを接種するかどうか判断する必要があります。
迷ったときにはかかりつけ医に相談しながら、自分にとってベストな選択をしましょう。

【参照サイト】
*1
参考)厚生労働省 「インフルエンザQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
*2
参考)厚生労働省 「新型コロナワクチンQ&A これまでに認められている副反応にはどのようなものがありますか。」
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0002.html
*3
参考)厚生労働省 「新型コロナワクチンQ&A ワクチン接種後に新型コロナウイルスに感染することはありますか。」
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0016.html
*4
参考)厚生労働省 「新型コロナワクチンQ&A どの会社のワクチンが一番効果がありますか。」
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0013.html
*5
参考)国立感染症研究所 「新型コロナワクチンBNT162b2(Pfizer/BioNTech)を接種後のCOVID-19報告率に関する検討(第1報)」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2551-lab-2/10358-covid19-46.html
*6
参考)厚生労働省 「新型コロナワクチンQ&A 変異株の新型コロナウイルスにも効果はありますか。」
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0012.html
*7
参考)厚生労働省 「新型コロナワクチンQ&A ワクチンを接種することができないのはどのような人ですか。」
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0025.html

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