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急に「バイトを辞めたい」と言われないために。雇用主とアルバイトスタッフの間に起こり得るトラブルと対応策

2020年4月に「パートタイム・有期雇用労働法」が改正され、アルバイトスタッフをはじめとした非正規雇用労働者の労働環境を改善しようという機運が高まっています。雇用主とアルバイトスタッフとの間で起こり得るトラブルを避け、アルバイトスタッフが働きやすい職場にするためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。アルバイト経験者を対象に実施した調査を元に、雇用主とアルバイトスタッフとの間で起こり得るトラブルの具体的な内容とその対応策について紹介します。

<アンケート調査概要>

調査対象:アルバイト経験を持つ10代、20代の男女
調査人数:220人(有効回答数:171)
実施時期:2020年4月
調査方法:株式会社ワード(インターネット調査を実施)
調査範囲:全国

 

目次

コミュニケーションが原因で起こる職場トラブル

雇用主とアルバイトスタッフの間でよくあるトラブル&対応策とは?

まとめ

コミュニケーションが原因で起こる職場トラブル

アルバイト経験を持つ10代、20代の男女171人に、アルバイト先での人間関係について聞きました。

■人間関係で嫌な思いをした人の半数はアルバイトを辞めてしまう!?
アルバイト経験者に「アルバイト先の人とのコミュニケーションにおいて、嫌な思いをしたことはありますか」と質問したところ、「ある」と答えた人は63.7%でした。

Qアルバイト先の人とのコミュニケーションにおいて、嫌な思いをしたことはありますか?

また、「嫌な思いをさせられた相手(複数回答可)」として最も多かったのは「先輩」68.8%で、次いで「責任者(雇用者)」44%、「同僚」18.3%、「その他」9.2%となっています。この結果から、先輩や責任者といった自分より立場の強い相手とのコミュニケーションで嫌な思いをしている人が圧倒的に多いことが分かります。

Qアルバイト先の人とのコミュニケーションにおいて嫌な思いをさせられた相手は誰ですか?(複数回答可)

さらに、「コミュニケーションにおいて嫌な思いをしたことで、そのアルバイトを辞めましたか?」と尋ねたところ、47.7%が「辞めた」と回答しました。アルバイトスタッフにとって、職場でのコミュニケーションは離職の原因になり得ることが分かります。

Qコミュニケーションにおいて嫌な思いをしたことで、そのアルバイトを辞めましたか?

■具体的にはどのような態度が不快感を与える?
それでは、アルバイトスタッフはどのようなことで嫌な思いをしているのでしょうか。アルバイトを「辞めた」と回答した人の理由を見てみると、次のような意見が目立ちました。

・先輩の言い方がきつかった(女性、25~29歳、飲食店での接客)
・責任者(雇用者)が仕事が忙しいときに機嫌が悪く、常に怒ったように言われる(女性、20~24歳、レジ)
・初日から希望したキッチンではなくホールの穴埋めをやらされ、右も左もわからない状態なのに、先輩にいやな目で睨まれ、怒られた(男性、~19歳、飲食店)
・先輩に「なぜできないのか」などとわざと聞こえるように嫌味を言われた(女性、25~29歳、工場)
・(アルバイトを)始めて間もなく、知らないことも多いのに、先輩に役に立たないと嫌味を言われた(女性、20~24歳、ブライダル)

厨房や工場をはじめとした危険を伴う職場では、大声で注意したり、怒ったりしなければいけない場面も考えられます。
しかし、常に怒鳴り散らしたり、自身の機嫌で怒ったりするのはよくありません。
また、「こんな簡単なこともできないなんてお前はダメだ」「どういう育てられ方をしたのか」など、相手の人格を否定するような暴言を吐いたり、他のアルバイトスタッフの前で必要以上に1人を怒り続けたりすると、モラルハラスメントやパワーハラスメントにあたり、訴えられる可能性もあります。
人を傷つけてしまうのはもちろん、会社の信用を失うことにもなりかねないので、絶対にやめましょう。

一方で、

・距離感が近い(男性、〜19歳、スーパーのレジ)
・根掘り葉堀り、しつこくいろんなことを聞かれた(女性、25〜29歳、飲食店)
・先輩にしつこく食事に誘われた(男性、20〜24歳、パン屋)

など、コミュニケーションを取ろうと積極的に話しかけることが、相手に不快感を与えることもあるようです。
積極的に話しかけていく姿勢は素晴らしいですが、打ち解けていない状況でプライベートの話などはしにくいものです。
少なくとも、アルバイトスタッフがある程度職場に慣れ、関係性が深まった上でおこなうことが望ましいでしょう。
もちろん個人差があるので、それぞれに適切な距離感を見極めてコミュニケーションをとることも大切です。

そのほか、アンケートの結果では、陰口や嫌がらせ、いじめを受けたという意見も複数見受けられました。

・先輩に影でコソコソと悪口を言われる(女性、25~29歳、居酒屋の接客)
・陰口を言われるなどのいじめ(女性、25~29歳、工場)
・嫌な顔をされたり、嫌がらせ(男性、25~29歳、工場)

このような理由で退職者を出さないためには、責任者自身が日頃の接し方を見直すと同時に、先輩に陰口を言われたり、いじめられたりしているスタッフの状況も把握しなければなりません。
2020年4月に改正された「パートタイム・有期雇用労働法」では、企業は非正規雇用労働者が利用できる相談窓口を設置し、それを労働条件通知書などの書面に明記しておくことが定められています。
アルバイトスタッフが悩みを相談しやすい環境を整えるべく、自社の体制を確認してみましょう。

雇用主とアルバイトスタッフの間でよくあるトラブル&対応策とは?

雇用主とアルバイトスタッフがトラブルになる原因は、コミュニケーション以外にも考えられます。ここでは、よくあるトラブルとその解消法を2つ紹介します。

■「シフト」や「時給」が面接時の話と違う
アルバイトスタッフの勤務シフトについては、面接時に話し合われるケースが一般的です。
しかし、実際に働き始めると、「面接では火曜・木曜の固定シフトという話だったのに、金曜もシフトを入れられた」「試用期間3か月後に時給が50円上がると聞いていたのに、いつまでたっても上がらない」といったトラブルが起こることは多いようです。
反対に雇用主側にも、「夜のシフトにも入れると聞いて採用したのに、採用後に18時以降は出られないと言われた」など、不利益が起こる可能性も考えられます。

このような場合、口約束だけでは「言った」「言わない」という水掛け論になってしまいます。トラブルを避けるためには、労働条件通知書や雇用契約書に契約内容を記載しておく必要があります。
そもそも、労働条件を書面で明示することは労働基準法によって義務付けられており、アルバイトスタッフも例外ではありません。交付していない場合は、雇用主に対して30万円以下の罰金が科せられるので、必ず作成しておきましょう。

■急に「バイトを辞めたい」と言われる
アルバイトスタッフから急な退職を申し出られるケースも珍しくありません。
雇用主とアルバイトスタッフが合意に至れば当日に退職することもできますが、急に辞められると業務に支障が出ることもあるでしょう。民法上では労働者は「2週間前までに退職の意思を伝える」という決まりになっています。
そのため、雇用主は退職を申し出られた後2週間までであればアルバイトスタッフに出勤するよう求めることができます。
加えて、労働条件通知書や雇用契約書に退職時のルールとして「辞める場合、1か月前までに伝えること」といった具体的な記載があれば、その内容に従って出勤を求めることも可能です。
ただし、就業規則や雇用契約書でルールを設けたからといって、アルバイトスタッフがどうしても退職したいと申し出た場合は、1か月を強制することはできません。万が一の時に備えて、自社のルールを見直しておきましょう。

もちろん急な退職者を出さないためには、普段からスタッフの様子を気にかけ、フォローする体制を整えておくことが大切です。特に接客業などの場合は、職場の環境だけでなく来店客からひどいクレームを受ける可能性もあります。そのような時に雇用主や現場の責任者がアルバイトスタッフの変化を感じ取れるように、普段から人間関係を作っておくことを心がけましょう。

 

まとめ

アルバイトスタッフが働きやすい職場にするためには、雇用主自身が日頃の接し方を見直すとともに、トラブルを防ぐための体制整備が必要になります。今回紹介した内容をもとに、ぜひ一度自社のアルバイトスタッフに関する労働条件などを見直してみてください。

<取材協力・監修>
溝手社会保険労務士事務所
社会保険労務士 溝手 康暖(みぞて やすはる)氏
https://moshparty26.wixsite.com/mizotesroffice

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