調査資料
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介護業界における人材動向

少子高齢化が進む日本では、介護業界の人材不足が深刻化しています。そのため、介護関連職種の平均有効求人倍率は上昇傾向にあります。今回は介護関連職種の男女比や正規/非正規の割合の調査データをもとに介護業界の求人・就労状況についてみていきます。

目次

介護関連職種の有効求人倍率の推移

都道府県別にみる介護人材の有効求人倍率

介護職従事者の推移と内訳

まとめ

介護関連職種の有効求人倍率の推移

厚生労働省の「職業安定業務統計」によると、直近5年間の2013年~2018年の介護関連職種の有効求人倍率は3.9倍で推移しており、すべての職種を合計した平均有効求人倍率の推移が1.61倍ですから、他の職種と比較しても高い水準で伸びていることがわかります。2013年から毎年の推移をみると、約0.4倍ずつ上昇しています。有効求人倍率の高さは、業界の活況度も示しますが、人材不足の状況も否めません。介護業界における倍率の顕著な伸びは、人材不足の深刻さと対策が急務となっていることを物語っています。

※介護関連職種とは、「福祉施設指導専門員」、「その他の社会福祉の専門的職業」、「家政婦(夫)、家事手伝」、「介護サービスの職業」の合計です。

 

出典:厚生労働省「職業安定業務統計」を加工(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1b.html) ※実数値

 

出典:2010年と2015年は総務省「国勢調査」、2016年は総務省「人口推計(平成28年10月1日確定値)」
2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」を加工

 

人手不足の背景として75歳以上の人口が増え続けることが予想されています。2025年には団塊の世代が75歳(後期高齢者)に入るため、75歳以上の人口が2,000万人を突破し、2030年あたりまでは2,260万人まで増加する見込みです。全体人口の4人に1人が後期高齢者の状況となり、介護が必要となる可能性の高い人が増えていきます、現状の有効求人倍率を見ても、介護業界における採用はすでに厳しい状況にあることがわかりますが、今後はさらに人材不足の状況が深刻化していくだろうという懸念があります。

都道府県別にみる介護人材の有効求人倍率

厚生労働省の「介護サービス施設・事業所調査」によると、2019年1月には、介護関連職種の有効求人倍率の全国平均はさらに上昇し、4.24倍になっています。15もの都道府県で平均倍率超えをしており、もっとも倍率の低い高知県でも2.34倍と、47すべての都道府県が2倍以上を記録しており、全国的に人手不足の状況にあることがわかります。

 

出典:厚生労働省「職業安定業務統計」を加工(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1b.html)
※上記の数値は原数値である。
※上記の数値は、平成23年改定「厚生労働省編職業分類」に基づく以下の職業分類区分の合計である。
※介護関係職種:「福祉施設指導専門員」、「その他の社会福祉の専門的職業」、「家政婦(夫)、家事手伝」、「介護サービスの職業」の合計。
※常用とは、雇用契約において、雇用期間の定めがない、または4ヶ月以上の雇用期間が定められているものをいう。
※パートタイムとは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用されている通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短いものをいう。(パートタイム労働法第2条より)

 

また、都道府県ごとの倍率を比較してみても、かなりの差があることがわかります。トップの東京都は7.27倍、もっとも倍率の低い高知県は2.34倍と、4.9倍の差が出ています。上位に挙がるのは、東京、愛知、大阪と主要都市とその近辺エリアが多く。下位に挙がっているのは、東北や九州などの地域が多いようです。

介護職従事者の推移と内訳

高齢者人口が増え、施設やサービス市場の拡大に伴い、介護職種に携わる人の数も、加速度的に増えています。2000年時点では54.9万人だった介護関連職種の従事者数も、2016年には183.3万人と3.3倍にまで増加しています。しかし、高まる人材需要に実際に携わる人材の数が追いついていない現状があります。この状況を受け、政府は、外国人の介護職人材の受け入れを強化しています。2019年からの5年間で、最大6万人の外国人介護職人材の増加が見込まれています。あらゆる分野での外国人の受け入れが活発化していますが、業種別の見込み数としては介護関連職が最多となっています。

 出典:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/24-22-2.html)
(注1)平成21年度以降は、調査方法の変更による回収率変動等の影響を受けていることから、厚生労働省(社会・援護局)にて推計したもの。 (平成20年まではほぼ100%の回収率→(例)平成28年の回収率:訪問介護90.8%、通所介護86.8%、介護老人福祉施設92.2%)
・補正の考え方:入所系(短期入所生活介護を除く)・通所介護は①施設数に着目した割り戻し、それ以外は、②利用者数に着目した割り戻しにより行った。
(注2)各年の「介護サービス施設・事業所調査」の数値の合計から算出しているため、年ごとに、調査対象サービスの範囲に相違があり、以下のサービスの介護職員については、含まれていない。(特定施設入居者生活介護:平成12~15年、地域密着型介護老人福祉施設:平成18年、通所リハビリステーションの介護職員数は全ての年に含めていない)
(注3)介護職員数は、常勤、非常勤を含めた実人員数である。(各年度の10月1日現在)
(注4)平成27年度以降の介護職員数には、介護予防・日常生活支援総合事業に従事する介護職員数は含まれていない。

 

出典:総務省統計局「平成29年就業構造基本調査」を加工
(https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/gaiyou.html)

 

介護職に携わっている人の属性について、性別、正規/非正規の内訳を見ていきましょう。男女比で見ると女性の割合が多く、男性の約3倍の人数です。正規/非正規別で見ると、正規が53%、非正規が46%となっています。これらを合わせて分類してみると「女性」で「非正規」の人の割合がもっとも高くなっています。介護業界の人材確保においては、就労人数を増やすという点では、定年を過ぎても元気に働ける人や、主婦(夫)などが柔軟な働き方ができる環境を整備することが必要になってくると考えられます。フルタイムでは難しくても、週に数日、短時間であれば就業可能という生活環境にある人材層をうまく取り込んでいくことが、介護業界の人手不足解消において不可欠と考えられます。

まとめ

介護施設やサービス分野のマーケットの拡大により、介護関連職種に携わる人の数は増加はしていますが、まだまだ必要人数には追いついていないという現状があります。介護分野の人材確保は社会的な急務であり、政府も外国人人材の受け入れを推進し法規制を整備したり、介護職種についての賃金の見直しをおこなうといった施策により、人材を充実させるための後押しをしています。

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