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コロナで変わった雇用状況。労働時間や給与に与えた影響とは?

新型コロナウイルスは私たちの生活様式を大きく変化させました。そのため、経済に大きな影響を及ぼし、企業の雇用状況にも大きな変化がありました。特に非正規雇用の状況が多く悪化していることが報じられています。

実際にどのような変化が生じたのか、コロナショック以前の数値と比較していきます。

コロナショック前後の雇用者数の推移

下の図1は2017年から2021年の5月までの雇用形態別雇用者数の推移を表しています。

図1 雇用形態別雇用者数(対前年同月増減)
出典:*1 独立行政法人労働政策研究・研修機構(2021)国内統計:雇用形態別雇用者数
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c21.html

 

正規雇用では大きな影響は見られませんが、非正規雇用者では最初の緊急事態宣言が発出された2020年4月以降大きく減少しています。

令和3年(2021年)6月の厚生労働省の発表では、2020年の正規雇用者の平均雇用者数は3,549万人で前年比+33万人、非正規雇用者数は2,066万人で前年比-97万人となっており、非正規雇用者は雇用状況の点で大きな影響を受けていることがわかりました。*2

図1のグレーの線が非正規雇用者数の推移ですが、明らかに2020年は数値が悪化しています。2021年に入り、数値は回復傾向にあるように見受けられますが、今後の新型コロナウイルスの影響によって変化することが予想されます。

失業者が求職する背景となる、求職理由にも変化が見られます。(図2)

図2求職理由別完全失業者数(原数値)
出典:*3 独立行政法人労働政策研究・研修機構(2021)国内統計:完全失業者
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c03.html

自己都合による退職が横ばいであるのに対し、勤め先や事業の都合によって新たな職探しをしている人が2020年4月で急激に増加していることから、新型コロナウイルスによる影響で会社都合により新たに職探しをする必要に迫られた人が多いことがわかります。

産業別の就業者数の増減率では対面サービス業の「生活関連サービス・娯楽」「宿泊・飲食」が大きく減少しています(図3)。

図3主な産業別就業者の増減率(月次、原数値、前年同月比)
出典:*4 独立行政法人労働政策研究・研修機構(2021)国際比較統計:産業別就業者数
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/f/f05.html

特に「宿泊・飲食」では人々の外出自粛をはかるための緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による休業要請や時短営業による影響でマイナスの影響が長期化しています。2021年5月の労働力調査によると「宿泊・飲食」を支える労働者の72.8%が非正規雇用者となっており、2019年と2020年の比較では、宿泊・飲食業に従事する非正規雇用者が21万人も減少しました。

「宿泊・飲食」の業界を支えてきた非正規労働者の多くは女性です。
子育てをしながらこれらの職業に就業している場合、人が多く集まる職場への復帰を不安視する声も多くみられ、結果として再就職には至らず女性労働者の非労働力人口が増加していることも指摘されています。

働きたい意欲がある場合であっても子どもたちの保育園や学校の休園・休校、給食がない分散登校により自宅で子どもの世話をする必要があり、家を出られず働けない人も存在しています。

 

飲食・サービス業従事者の労働時間と給与額の変化

地域によっては外出抑制のため、宿泊・飲食・サービス業の事業者は自治体からの時短営業の要請を受けました。これに伴い、人々の労働時間と賃金はどのように変化したのでしょうか。

図4は飲食・サービス業従事者の月間実総労働時間を2019年と2020年で比較したものです。

図4飲食・サービス業従事者の月間実総労働時間
出典:*5  厚生労働省 労働統計要覧「産業別月間実労働時間数」よりデータを引用し作成
https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyr_d.html

 

特に大きく影響を受けた対面サービス業の「飲食・サービス業」で月間の実総労働時間が昨年対比で大きく減少しており、一般雇用者で月間20時間、非正規雇用者で月間8.2時間の減少となりました。特に一般雇用者では、所定外労働時間が昨年に比べて26.7%減少しています。

労働時間の減少は、月間給与額にも影響しました(図5)。

図5飲食・サービス業従事者の月間現金給与総額
出典:*6  厚生労働省 労働統計要覧「産業別月間現金給与総額」よりデータを引用し作成
https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyr_e.html

 

新型コロナウイルスが労働市場に与えた影響は「働く場所もなくなり、働く時間も少なくなり、労働による所得も減った」ということがわかります。

一方で、在宅時間が長くなり一般向けの宅配やデリバリーサービスの需要は急増したため、失業者や収入がダウンした人々は、フードデリバリー等の配達員に転じた人も多いようです。

新型コロナウイルスによる雇用危機は今度どうなるか

対面サービス業の雇用状況が新型コロナウイルスにより悪化したのは国内のみではなく、アメリカでも同様に見られる現象でした(図6)。

図6主な産業別就業者の増減率(月次、原数値、前年同月比)
出典:*4 独立行政法人労働政策研究・研修機構(2021)国際比較統計:産業別就業者数
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/f/f05.html

 

日本と同様に新型コロナウイルスで「宿泊・飲食」の雇用者数が大きく減ったアメリカでは、2021年4月を境に雇用者数が対前年比で大きく回復しています。2021年7月時点でワクチン接種率が全国民の約50%に達しており、大規模な外出抑制を実施する必要がなくなったためであると考えられ、まずは国自体のコロナショック回復が雇用の回復には欠かせないと考えられます。

日本国内では、2021年6月に厚生労働省が「非正規雇用労働者等の雇用の安定に向けた施策の現状と今後の方向性」を打ち出しており、その中でも話題となったのが最低賃金の引き上げです。

全国平均で930円、28円増が審議会で決定しており、最も高値となったのは東京で1,013円から1,041円への引き上げとなりました。労働者とっては生産性向上につながる施策ではあるものの、事業者にとっては人件費の増加となるため景気の動向や労働需給の状況次第では雇用量に対してもマイナスに影響する可能性があり、事業者への経済支援も同時に行っていく必要があるでしょう。

*1 独立行政法人労働政策研究・研修機構(2021)国内統計:雇用形態別雇用者数
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c21.html

*2 厚生労働省(2021) 「非正規雇用労働者等の雇用の安定に向けた施策の現状と今後の方向性」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/corona_hiseiki/dai3/siryou1.pdf

*3 独立行政法人労働政策研究・研修機構(2021)国内統計:完全失業者
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c03.html

*4 独立行政法人労働政策研究・研修機構(2021)国際比較統計:産業別就業者数
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/f/f05.html

*5  厚生労働省 労働統計要覧「産業別月間実労働時間数」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyr_d.html

*6  厚生労働省 労働統計要覧「産業別月間現金給与総額」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyr_e.html

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