※以下の内容は、2022年12月13日に行なわれたマイナビバイトウェビナー「育児・介護休業法の対応ポイントを解説!『産後パパ育休』はアルバイトも対象?」を基に構成しております。
※令和4~5年の育児介護休業法改正の部分をピックアップしてお伝えしています。
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目次
育児休暇、産後パパ育休改正の概要
育児休暇や産後パパ育休の改正は「少子高齢化に伴う労働人口の減少」「育児休暇取得促進(特に男性)」「女性の雇用継続」などの社会課題を解決することを目的とし、さらに柔軟で利用しやすい制度の実現のため施行されました。
2022年4月から段階的に改正が施行され、事業者は様々な実務対応が求められています。
では改正のポイントをひとつずつ解説していきます。
2022年4月1日改正施行のポイント
2022年4月の改正に対して事業者は以下のような対応が必要となります。
(2)個別の周知・意向確認 (3)就業規則の変更・労使協定の見直し |
どのような改正があったのか、内容を細かく見ていきます。
改正内容は大きく分けて3つに分かれます。
育児休業を取得しやすい雇用環境整備の措置の義務付け
事業主は①〜④のいずれかの対応を実施しなければならなくなりました。
① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施 ② 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口の設置) ③ 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供 ④ 自社の労働者への育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知 |
②の「育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備」が比較的多くの企業で導入されているように思いますが、実質的に対応が可能な窓口が設置されていること、従業員に周知されていることが必要であることに注意が必要です。
労働者個別の周知と意向確認の措置の義務付け
事業主は、本人または配偶者の妊娠・出産の申し出をした労働者に対して、➀〜④の全てについて個別周知をし、休業取得の意向確認をしなければいけなくなりました。
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個別の周知および意向確認は原則、面談(オンライン可)・書面交付で行い、本人が希望した場合にはFAX ・電子メール等での対応も可能です。
有期雇用労働者の取得要件の緩和
アルバイトなどの有期雇用労働者が育児休業を取得する際の条件が、「引き続き雇用された期間が1年以上」という期間の要件が撤廃され、「子が1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない」という要件のみになりました。
ただし、正社員などと同様に、例外として労使協定を結んでいれば、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は育児休業の取得対象から除外することも可能です。
なお、介護休業についても、「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件が撤廃され、「介護休業開始予定日から93日経過日から6か月を経過する日までに契約が満了することが明らかでない」という要件のみとなっています。
2022年10月改正施行のポイント
2022年10月の改正に対して事業者は以下のような対応が必要となります。
(2)労使協定の見直しや締結(必要に応じて) |
こちらもどんな改正があったのか、内容を細かく見ていきます。
大きく分けると5つの項目になります。
産後パパ育休(出生時育児休業)
【変更点】
改正前の育児休業とは別に「産後パパ育休」(出生時育児休業)が創設されました。
【対象者】
女性は産後休業を取得しているため、多くの場合、産後パパ育休制度(出生時育児休業)は男性が対象となります。
詳細の対象者の要件は以下のようになります。
ただし労使協定を締結することにより、以下の労働者は対象外にすることも可能です。 |
【期限】
・子の出生後8週間以内に通算4週間(合計28日)まで
・出生後8週間を超える期間での休業や取得期間が通算4週間(合計28日)を超える休業はできない
※通算4週間(合計28日)は暦日でカウント
引用)2022年12月13日ウェビナー資料より
【特徴と注意点】
〇従来の育児休業とは別に取得が可能
〇労働者の申し出期限は休業開始日の2週間前まで
〇2回までの分割利用が可能(はじめにまとめて申告が必要 )
※まとめて申告されていない場合、事業主は後からの申し出を拒むことができる
〇産後パパ育休中の就業が可能(あらかじめ労使協定の締結が必要)
※本人と会社の同意によるため、休業中の就業を認めないことも可能
育児休業の分割取得
【変更点】
改正前は1歳までの育児休業について原則1回のみの取得でしたが、分割して2回まで取得可能になりました。
したがって、産後パパ育休(出生時育児休業)と通常の育児休業をそれぞれ2回ずつ分割することで、合計4回の育休を取得することが可能となりました。
引用)2022年12月13日ウェビナー資料より
【変更における特徴と注意点】
〇通常の育児休業を分割取得する場合は、まとめて申し出る必要はない
※出生時育児休業と異なる
〇1歳6か月、2歳までの育児休業は分割取得できない
→※改正前と同じ ・分割取得が可能になったことに伴い、休業開始予定日の繰上げ変更、休業終了予定日の繰下げ変更も1回の休業につき、繰上げ1回、繰下げ1回ずつ可能となる
1歳以降の育休制度(1歳6ヶ月、2歳までの育休)の柔軟化
【変更点】
(1) 改正前の1歳以降の育児休業は、開始日に子が1歳、1歳6ヵ月に達する日に限定されていましたが、開始日が柔軟化されました。
ただし、変更後においても子が1歳に達する日又は1歳6ヵ月に達する日においていずれかの親が育児休業中であることが必要です。
(2) 改正前は1歳以降の再取得は不可とされていましたが、特別な事情がある場合に限り、1歳以降の育児休業が再取得可能となりました。
※特別な事情
他の子の産前・産後休業、出生時育児休業(産後パパ育休)、介護休業又は新たな育児休業の開始で育児休業が終了したケースで、産休等の対象だった子等が死亡等した場合等をいう
(1)の改正により、育児休業を夫婦で交代しながら取得できるようになりました。
引用)2022年12月13日ウェビナー資料より
育児休業給付
【変更点】
育児休業の分割取得に応じて育児休業給付金の申請も可能になり、産後パパ育休(出生時育児休業)の給付金も申請可能になりました。
【変更における特徴と注意点】
〇1歳未満の子について、原則2回の育児休業まで給付が受けられる
〇3回目以降の育児休業については、給付を受けられない
※例外事由に該当する場合は、回数制限が除外され給付可能
〇育児休業の延長事由があり、かつ、夫婦交代で育児休業を取得する場合(延長交代)は、1歳〜1歳6か月と1歳6か月〜2歳の各期間において夫婦それぞれ1回に限り給付を受けられる
【産後パパ育休(出生時育休)給付金の支給要件】
〇休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上
〇休業期間中の就業日数が、最大10日以下であること
※給付金の支給額は休業開始時賃金日額の67%
育児休業の社会保険料免除要件の見直し
【変更点】
改正前はその月の末日が育児休業期間中である場合に該当月の給与・賞与において免除となっていましたが、改正前の要件に加え、以下の2点が要件として加わりました。
〇同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合、免除
〇賞与の保険料は、連続して1か月を超える育児休業を取得した場合に限り、免除
【『給与(月額)』における社会保険料免除要件】
〇その月の末日が育児休業期間中である場合
または
〇一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が 14 日以上 の場合
※「14日」は同一月内であることが必要
※「14日」には土日等の休日、年次有給休暇なども含む
※「14日」は産後パパ育休(出生時育児休業)における就業日数は除く
(時間単位での就業の場合は、その時間数を1日の所定労働時間で除した数)
引用)2022年12月13日ウェビナー資料より
【『賞与』における社会保険料免除要件】
〇賞与の保険料は、その月の末日が育児休業期間中である場合、かつ、連続して1か月を超える育児休業を取得した場合に限り、免除
※連続した1か月とは暦によって計算し、土日祝も含まれる
(例) 11月16日から12月15日までの育児休業を取得した場合は、ちょうど1か月となるため賞与保険料の免除対象にはならない
参考)厚生労働省「育児休業等期間中の社会保険料免除要件が見直されます」 をもとに作成
2023年4月1日改正施行のポイント
年一回の男性労働者の育児休業取得状況の公表の義務化
2023年4月の改正に対して事業者は以下のような対応が必要です。
※常時雇用する従業員数が1,000人を超える企業が対象
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まとめ
今回は育児・介護休業法の改正の中で主に「育児」に焦点を当て、対応方法のポイントを詳しく解説しました。
育休制度は要件を満たせば、アルバイトなどの有期雇用労働者も対象となります。
育休の取得推進を行うことは結果的に労働力の確保にもつながるので、実務対応が多く難しい部分も多いかもしれませんが、法令を遵守した対応を行っていただけますと幸いです。
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