「雇用しているアルバイト同士のケンカが絶えない」
「アルバイト間の仲が悪くて仕事に支障を来している」
こんなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
深刻な人手不足が続く中、アルバイトのケンカは経営にダメージを与えかねません。
なぜなら、せっかく雇用したアルバイトが辞めてしまう、職場の雰囲気が悪くなって定着率が下がる──といった問題につながる可能性があるのが、アルバイトのケンカだからです。
そこで本記事では、アルバイトのケンカが起きたら管理者としてどう対応すべきなのか、見ていきましょう。
目次
アルバイト同士のケンカが起きたときの注意点
まずはアルバイト同士のケンカが起きたときに注意したい3つのポイントから解説します。
1つめの注意点は「管理者がまず冷静になる」ことです。
というのは、管理者の態度次第で、状況は好転することも悪化することもあるためです。
アルバイトのケンカには、職場での怒鳴り合い、長期にわたる冷戦、無視・冷たい態度の応酬など、さまざまなタイプがあります。
どんなケンカであれ、管理者は一貫して冷静沈着なスタンスを維持しましょう。例えば、管理者の以下の態度は、状況を悪化させやすいNG例といえます。
▼ NG例
・片方の当事者に共感して肩入れした言動をする
・「ここは学校ではないんだ!」とケンカに対して感情的に怒る
・「みんな仲良くしよう!」と感情論に訴える
・オロオロとうろたえて当事者の機嫌を取ろうとする
アルバイトのケンカには、それぞれの事情や経緯があります。事情や経緯を無視して感情的になっても、何も解決しません。
それどころか、ただでさえ感情的になっている当事者たちの感情を、さらに煽ることにつながります。
管理者としては熱くなったり動じたりすることなく、とにかく冷静さを保つことが大切です。
■アルバイト個人の資質のせいにしない
2つめの注意点は「アルバイト個人の資質のせいにしない」ことです。
その理由は、アルバイト同士のケンカを当事者の人格や性質のせいにして片づけてしまうと、ビジネス上の経営課題の解決には結び付かないためです。
結果として何度も同じ問題が繰り返され、労力を奪われ続けることになりかねません。
アルバイトのケンカが起きたら、アルバイトの資質に原因を求めたい気持ちを抑え、
「仕組みに問題があるのでは?」
と、仕組み(=構造、環境、仕事のやり方など)に目を向ける姿勢を持ちましょう。
補足として、これはアルバイトのケンカ以外でも有益な視点となります。
あらゆるミスやエラーを、個人に対策を求めるのではなく「仕組み」で解決していけば、強い店舗・強い職場の構築につながるからです。
■暴力行為があった場合は弁護士に相談する
3つめの注意点は「暴力行為があった場合は弁護士に相談する」ことです。
アルバイトのケンカの中で暴力行為があった場合には、法的に正しく処理する必要性が出てきます。暴力行為が起きた経緯、事情、場所などの状況によっては、労災認定となることもあるためです。
顧問弁護士などに相談したうえで、適切な対応を行いましょう。
雇われ店長の場合・アルバイト管理者の上に責任者となる上司がいる場合などは、適切に報告を上げ、指示を受けるようにしてください。
アルバイトのケンカを収める4ステップ
ここまでにご紹介した注意点を踏まえつつ、実際にアルバイトのケンカを収める流れを4ステップで見ていきましょう。
1つめのステップは「当事者の話を中立の立場で個別に聞く」です。
▼ ポイント
・当事者同士を一緒にせず、それぞれ個別に話を聞く
・管理者側の意見や主張は挟まず、当事者の言い分だけを傾聴する
・この場では指導や叱責を行わない
まずは状況を正しく把握するために、当事者の言い分をそれぞれ聞きましょう。
重要なのは「ただ聞くことだけ」に徹することです。否定も肯定もせず、意見を言いたくなっても挟まず、メモを取りながら徹底的に傾聴します。
もし「それは違うだろう」と反論したくなる話が出てきたとしても、この場では指導や叱責は一切行いません。それよりも、当事者の言い分をすべて吐き出させることを優先します。
余談になりますが、実際の現場では、当事者から徹底的に話を聞くだけで解決するケースも見られます。
当事者の視点からみれば、溜まっていたストレスを吐き出すとともに、「私に時間を割いて、しっかり話を聞いてくれた」という満足感から、態度の軟化につながるのです。
■ステップ2:客観的な第三者の情報を収集する
2つめのステップは「客観的な第三者の情報を収集する」です。
▼ ポイント
・中立な立場を取っている人からの情報を重視する
・ファクト(事実)を明らかにする目的で話を聞く
ステップ1で傾聴した当事者たちの話を補完するために、客観的な第三者の話も聞きましょう。
当事者のどちらか一方に肩入れしている人ではなく、中立な立場を取っている人の意見をより重視すると、判断を誤りません。
加えて、話を聞くときには「ファクト(事実)は何なのかを明らかにする」という目的を持って聞くことが大切です。
ケンカに至る経緯、事情、状況を詳細に把握することが、このステップで第三者から情報を収集する目的です。
この目的意識が不明瞭なままに漠然と第三者から話を聞くと、話題が愚痴・文句・個人攻撃などに飛びやすく、収拾がつかなくなります。
■ステップ3:日を改めて当事者に指導できる部分は指導する
3つめのステップは「日を改めて当事者に指導できる部分は指導する」です。
▼ ポイント
・人格を否定することは言わない
・どう改善すべきか当事者自身で考えるように誘導する
・仕事のやり方などに関するフィードバックはできるだけ具体的にする
・管理者側への要望もヒアリングする
アルバイト同士のケンカは人間関係にまつわる部分も多いものです。改善を求める際、ともすれば性格や人間性を否定することになりかねません。
しかし、どんな状況であるにせよ、人格の否定とつながる発言はしないよう、細心の注意が必要です。
では理想は何かといえば、「どう改善すべきか当事者自身で考え、答えを導き出すこと」といえます。
例えば、
「今後、今回のような事態を避けるためには、どうすれば良いと思いますか?」
と問いかけて、答えを押しつけるのではなく一緒に考えるスタンスで話し合いをしましょう。
一方、仕事のやり方などに明らかな改善点が発見されている場合には、できるだけ具体的に伝えると効果的です。
その際も一方的に上から目線で伝えるのではなく、
「私は●●に改善したほうが良いと感じるのですが、あなたはどう思いますか?」
と問いかけるスタンスで話すと、受け入れられやすくなります。
なお、話し合いの最後には、管理者側への要望をヒアリングすることも忘れないでください。
「今後、今回のような事態を避けるために、してほしいことはありますか?」
と問いかけることで、管理者側でできることは何か、ヒントが得られます。
■暴力行為があった場合は弁護士に相談する
4つめのステップは「ケンカが起きにくい仕組みに変える」です。
▼ ポイント
・ステップ1〜3で収集した情報を元に、仕組みの問題点を明らかにする
・問題点を改善する方法を考えて実行する
ステップ1〜3の実践によって、手元にはさまざまな情報データが集まっています。
これらの情報を基に、
「仕組みが悪いせいで今回のケンカが起きていたとしたら、何が問題だったのか?」
と考え、現在の仕組みが持つ問題点を明らかにしましょう。
問題点が明らかになれば、あとはそれらの問題点を改善する方法を考えて実行あるのみです。
例えば、ある飲食店の例を見てみましょう。
▼ 仕組みの問題点の発見と改善策の例
【問題点】ホールスタッフとキッチンスタッフの意識が異なるため、対立しやすい
【改善策】ローテーションで両方経験するように仕組みを変える【問題点】多忙によるストレスがスタッフに蓄積している
【改善策】ゆとりを持って仕事を回せるように配置を変える【問題点】休憩室がたまり場となっており、輪に入れなかった人が孤立しやすい
【改善策】休憩中の人のみしか利用できない休憩室に環境を変える
上記はあくまでも一例ですが、それぞれの状況に合わせて適切な改善を積み重ねることで、やがて根本的にアルバイトのケンカが起きにくい仕組みを構築できます。
最後に
最後にひとつ付け加えるなら、「ケンカを起こしにくいアルバイトを採用する仕組み」を作ることも、ケンカが起きにくい店舗・職場を構築するうえで重要な視点となります。
相性が良い人材・悪い人材は各店舗・職場によって異なるため、「どんな人物ならケンカを起こしにくいか」は一概にはいえません。
これまでの経験データを基に相性の良い人材・悪い人材の共通項をつかんでおくと、アルバイト採用の際に役立ちます。
雇用から管理まで仕組みを整えることで、アルバイトに関するトラブルを減らしていきましょう。
【著者プロフィール】
三島つむぎ
ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。
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