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「RPA」とは何か|「作業ロボット」の一つ先を行く導入事例を含めて簡単に解説

「人間の仕事はロボットに奪われる」
そのような話を聞いた人も多いかと思いますが、実際にはどこまでの話でしょうか。

実際、AIやロボット技術の進化で、人の手によらずに行える仕事は増えています。少子高齢化・人口減少という問題を抱える日本の場合はこれらの技術で人手をカバーすることも重要課題になっていきます。

また、新型コロナのパンデミックで非接触の重要性が増す中、AIロボットは有効な手段となり得ます。

そのうちの一つ、「RPA」について、導入事例も含めてここでご紹介します。

目次

産業ロボットとRPA

RPAの導入事例とコスト

作業量削減のツール、とだけ考えると企業は成長しない

産業ロボットとRPA

人間の仕事は、どこまでAIやロボットで代替可能になるのでしょうか。興味深い研究結果があります。

■日本人の労働人口の半分はAI・ロボットで可能?
幅広い産業で見られるようになったAIやロボットですが、野村総合研究所が2015年に発表した研究結果によると、10~20年後には日本の労働人口の約49%が、技術的にはAIやロボットで代替可能になるというということです(図1)。

図1:AIやロボット等での代替可能性が高い労働人口
(出所:「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」野村総合研究所)
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2015/151202_1.pdf

日本国内の601の職業に関するデータを用いて分析されたものです。

実際、工場や倉庫などでロボットが活躍しているだけでなく、AIを利用したチャットボットによる顧客対応や、不動産などの価格査定などの場所にもAIが利用されるようになりました。

そして、NEDO=新エネルギー・産業技術総合開発機構によると、こうしたロボット産業の市場は今後大幅に拡大していくと予測されています(図2)。

図2 ロボット産業の市場予測
(出所:「2035年に向けたロボット産業の将来市場予測」NEDO)
https://www.nedo.go.jp/content/100080673.pdf

■デスクワークも代替可能に
そのうちのひとつが、「RPA」と呼ばれるものです。

RPAは「Robotic Process Automation」の略で、これまで人間にしかできないと想定されていたパソコン作業などの業務をAIやロボットを利用して自動化する取り組みのことを指します。
工場で単純な動きを繰り返すロボットではなく、事務の仕事もAIやロボットで自動化するというイメージです。

中小企業の間では、その認知度は6割ほどになっています(図3)。

図3:中小企業でのITキーワードの認知率
(出所:「2018年版 中小企業白書」中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap4_web.pdf p256

帳簿入力や伝票作成、ダイレクトメールの発送業務、経費チェック、顧客データの管理、SFA(営業支援システム)へのデータ入力、定期的な情報収集などがあります。
おもに事務職が携わる定型的な業務が導入対象として挙げられます*1。

 

RPAの導入事例とコスト

RPAの導入効果として、総務省はこのような例を紹介しています(図4)。

図4 大手都市銀行でのRPA導入事例
(出所:RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」総務省)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html

労働時間が大幅に短縮されていることがわかります。

■RPA導入で経営に集中、売上高がアップ

また、中小企業白書ではこのようなRPA事例が紹介されています。

東京都内で保育士、栄養士の人材紹介などを行う企業の事例です*2。

この企業では、求職者の希望条件にあった施設を抽出し、該当する施設に個人が特定されない程度の求職者情報をFAXで一斉送信するという業務があります。

施設に関する情報の管理と抽出作業には表計算ソフトを使っています。しかし施設の抽出作業には数十個の条件を設定しなければならないため、FAX1件の送信につき5〜15分かかっていました。

この作業は事務員1人で行っていましたが、単純かつ大量の定型作業にやりがいを見いだせず退職してしまいました。社長自ら担当してみたものの、1か月に1000件のFAX送信が発生しており、FAX作業で1日4時間の対応を必要としていました。

そこでFAX自動送信に活用できるRPAを導入しました。複数のシステムを連携して自動化できる、というものでした。
その時間を経営者としての仕事に費やし、時間がないことで見送っていたグループ責任者との定期ミーティングなどを実現、売上高はRPA導入後に2.5倍に増加しています。

また単純な定型作業はその単調さゆえにミスが発生しがちですが、RPAではミスが起きず作業の正確性が増すという特徴もあります。

そして大がかりなシステム導入ほどの費用がかからないという利点もあります。
この企業の場合、初期導入費用が30万円、月々のランニングコストは月数万円です。

■月30時間の残業時間を削減
また、都内の経営コンサルタント会社では、ベンダーが主催するセミナーに参加し、1か月の無料体験期間を利用するところから始めています。
その後、まずは給与計算、その後は明細を作成して社員にメール送信する業務にもRPAを導入、さらに入金や納品の管理といった分野にも拡大していきました。

その結果、毎月1人あたり30時間の残業を削減しています*3。

 

作業量削減のツール、とだけ考えると企業は成長しない

ここまで見てきたように、RPAの最大の特徴は作業量の削減です。

しかし、世界的にITツールの導入が当たり前になりつつある中で、日本企業のあまり良くない点として、このような指摘があります。

独立法人経済産業研究所の上席研究員である岩本晃一氏によると、日本企業にはこのような傾向があるそうです。

筆者はよく地方に講演に行くが、その後の懇親会などで、「IoT、AIなどデジタル技術を用いて、どうすればコスト削減、人員削減ができますか」とよく聞かれるが、「どうすれば、新しい商品やサービスを開発し、新しいビジネスモデルを生み出すことができますか」と聞かれたことはない。
(中略)
私は「コスト削減や人員削減のような『守りの投資』と呼ばれるような投資でなく、新しい事業を始めて、売上を伸ばし、従業員の給与を上げ、ボーナスを配ってあげるような『攻めの投資』をしましょう。その方が、社員はわくわく感を感じますよ」と答えるが、なかなか賛同を得られない。

<引用:「日本はなぜデジタル分野で世界に大きく遅れたか」独立行政法人経済産業研究所>
https://www.rieti.go.jp/jp/columns/s20_0012.html

GAFAのようなビジネスモデルが日本から生まれないのはこのような発想が原因ではないかと岩本氏は指摘しています。

日本と米独のIT投資への意識の違いは、下の図のように表現されています(図5)。

 

 

図5 日本企業のIT投資と米独のIT投資
(出所:「日本はなぜデジタル分野で世界に大きく遅れたか」独立行政法人経済産業研究所)
https://www.rieti.go.jp/jp/columns/s20_0012.html

確かにRPAは作業量削減、結果として人員削減のツールにもなり得ますが、そのような発想だけで安易に飛びつくと、従業員に大きな負の副作用が出てしまうのです。

そうではなく、定型的な業務を自動化した分、浮いた時間でどんな新しいことができるか、便利なツールでどんな新しいことができるかといった考えを持たなければなりません。

IT補助金などを積極的に活用し、「攻めのIT投資」を進める必要があります。

また、RPAの導入にあたって重要なのは「一気にすべてを解決しようとしないこと」です。
大がかりに考えてしまうと難しく考えてしまい、二の足を踏んでしまいます。
まず局所的な業務課題を絞り込んで「お試し感覚」から始め、効果を見てRPAを拡大していくという順序で考えると良いでしょう。

 

*1「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」総務省
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html

*2「2018年版 中小企業白書」中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap4_web.pdf p268

*3「ユナイテッド・アドバイザーズ株式会社 ITツールで生産性向上事例」IT補助金事務局
https://www.it-hojo.jp/h29/doc/pdf/h29_businessconsultant_unitedadvisors.pdf

<清水 沙矢香>
2002年京都大学理学部卒業後、TBS報道記者として勤務。
社会部記者として事件・事故、科学・教育行政その後、経済部記者として主に世界情勢とマーケットの関係を研究。欧米、アジアなどでの取材にもあたる。
ライターに転向して以降は、各種統計の分析や各種ヒアリングを通じて、多岐に渡る分野を横断的に見渡す視点からの社会調査を行っている。
https://twitter.com/M6Sayaka

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