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今がつらいなら「マインドフルネス」で心と脳に極上のストレスケアを

「もう、心がヘトヘトに疲れてしまった——」
仕事のトラブル・育児の多忙・プライベートの悩みなど、私たちの毎日には、心の負荷となる事柄が山積みです。

そこへコロナ禍、ステイホーム、リモートワーク……と、慣れない変化が重なって、ふと気付けばメンタルの不調を抱える人が増えています。

そこで今すぐにできるストレスケアとしておすすめなのが「マインドフルネス」です。

「マインドフルネスって最近よく聞くけど、やったことはない」
という方も、ぜひこの機会にマインドフルネスにチャレンジしてみませんか。

マインドフルネスとは?基礎知識

マインドフルネスとは、「“今”ここの瞬間」にすべての意識や注意を向け、自分が“今”していることや、“今”の心身の状態に完全に集中することです。

スピリチュアルや自己啓発の分野と捉えられがちですが、マインドフルネスは科学的な裏付けのあるプログラムです。

■マインドフルネスは心理療法で実績のあるメンタルケア方法

マインドフルネスによるストレス低減プログラムを開発したのは、マサチューセッツ大学医学部名誉教授のジョン・カバットジン博士です。

マインドフルネスは、ストレスによる心身の疾患に適用され、不安やうつの改善に効果があることが実証されています。さらに脳科学や免疫学でも、効果が実証されつつあります。*1

心理療法の分野では、認知療法や行動療法の著名な第一人者たちがマインドフルネスを取り入れたことで、広く浸透しました。*2

カバットジン博士がマインドフルネスのプログラムを開発したのは1970年代ですから、実に40年以上の実績があるのです。

■ルーツは東洋思想にあり米国でプログラム化

マインドフルネスを学んでいくと、仏教・禅・ヨガなどとの共通点に気付くかもしれません。

それもそのはずで、カバットジン博士がマインドフルネスのルーツとしているのは、日本の禅や仏教における瞑想、ヨガに見られる自己探求と癒しの伝統などの「東洋思想」です。

東洋思想が米国で科学的に体系化・プログラム化され日本へ再輸入されている、ともいえるでしょう。

■近年ではGoogleはじめ企業での導入が増加

心理療法の分野では長年の実績があるマインドフルネスですが、近年、一気に注目が高まっています。特筆すべきは、ビジネス分野での活用が急拡大していることです。

特に、Googleが社員研修としてマインドフルネスに基づくプログラムを取り入れたことが、大きな話題となりました。

Googleでは、マインドフルネスによってEQ(心の知能指数)を向上させれば、
「優れた職務遂行能力、抜群のリーダーシップ、幸せのお膳立てをする能力」
が高まるとしています。*3

マインドフルネスの世界的流行の背景には、ストレスケア手法としての有用性はもちろん、仕事の生産性を高める効果も期待できることが挙げられるのです。

 

マインドフルネスの実践方法

次にマインドフルネスの実践について見ていきましょう。

■無意識の自動操縦状態から抜け出す

実際に取り組む前に、マインドフルネスの基本的な考え方を押さえておきましょう。

前述のとおり、マインドフルネスとは「“今”ここの瞬間」に意識を向け続けることです。

私たちは無意識のうちに、“今、目の前にある以外のこと”を考え続けています。例えば、過去の後悔、自責の念、未来への不安、苦手な人のこと、明日の心配事などです。

マインドフルネスの重要なポイントは、過去や未来についての思いがひっきりなしに行き来している心の状態から抜け出すこと、といえます。

無意識の自動操縦状態で思い煩い続ける心に気付き、「“今”ここの瞬間」に集中する。結果、“今、目の前にある体験”の意味や価値を十分に味わえるようになるのです。

そのための手法として「瞑想」があります。

■マインドフルネス瞑想の実践例

ただし「瞑想」といっても、座禅を組んで長時間じっとしている必要はありません。

マインドフルネス瞑想は、食べているときでも、歩いているときでもできるのです。

▼ マインドフルネス瞑想の例

食べる瞑想 ひとつのおにぎりを観察しながら食べます。
歩く瞑想 当たり前のようにしている歩行の動きを分割的に意識し、観察します。
呼吸瞑想 無意識にしている呼吸を意識的に観察します。
座る瞑想 安定した姿勢で座り、呼吸、心身の状態を観察します。
ヨーガ瞑想 ヨーガのポーズで各部位の微細な感覚に注意を集中します。
ボディスキャン瞑想 つま先から頭の上まで、スキャンするように注意を移動し各部位の微細な感覚を味わいます。

*4

■基本となる「呼吸瞑想」

誰もが今すぐできる基本の瞑想は「呼吸瞑想」です。

あなたの呼吸は今、どんな状態でしょうか。浅いのか、深いのか。

次の吸う息が来たら、空気が鼻または口を通って喉を通り、肺に到達してお腹が膨らむのを感じます。吐く息が来たら、お腹がへこんで、空気が鼻や口から出ていくのを観察します。

呼吸をコントロールする必要はありません。ただ、観察するだけです。

呼吸に注意を集中したこの瞬間、私たちは「“今”ここの瞬間」にいて、過去や未来への思い煩いから解放されています。マインドフルネスの状態です。

マインドフルネスの状態を常にキープできるよう、日々練習していくことが、マインドフルネスの実践となります。

誰もが今すぐできる極上の休息がマインドフルネス

ストレスにまみれて疲労困憊のとき、周囲から「休んだ方がいいよ」と言われても、どうすれば休めるのかがわからない。

体だけでも休めようとベッドに入っても、頭の中は嫌な気持ちでいっぱい。過去の後悔や自分を傷つけた人の言葉、心配事や不安が延々と回り続けて、気持ちが休まらない——。

そんなとき、具体的に自分でできるストレスケア方法がマインドフルネスである、といえます。

ただ漠然と布団にくるまるのではなく、例えば、頭と枕が接触している感覚、腕に触れているシーツの肌触り、背中の温かさ……といった具合に、体の感覚を味わいます。

自分の吐く息と吸う息を観察し、肺・腹部・横隔膜や喉・肩・あごの微細な動きに気付きます。

たとえ短い時間でも、苦悩から解放される「空き」を作ることで、脳や心がスーッと休まることを感じられるはずです。

「マインドフルネス瞑想」という言葉から、怪しいイメージを抱く人も小難しいイメージを抱く人もいるでしょう。

しかし実体はとてもシンプル。自分自身に対して、意識的であり続けるチャレンジが、私たちに深い安らぎを届けてくれるのです。

さいごに

マインドフルネスの練習を続けていくと、日常生活のなかでも、マインドフルネスでいられる時間が増えていきます。

筆者自身は長年ヨガに取り組んでおり、結果としてマインドフルネスと似通った練習を積んできました。

“練習”という言葉を使いましたが、マインドフルネスは誰もが反復練習によって上達できる点が大きな魅力であると感じます。

最初は「何を言っているかわからない」と思っても、そこをこらえて観察する習慣を続けていくと、「“今”ここの瞬間」にいられる時間がのびていくのです。

“今”にいるときだけは、過去の嫌なことも未来の不安も忘れられます。心の疲弊を感じたら、ぜひマインドフルネスに、チャレンジしてみてください。

*1
参考)ジョン・カバットジン「マインドフルネスストレス低減法」p391

*2
参考)ジョン・カバットジン「マインドフルネスストレス低減法」ⅱ-ⅲ

*3
参考)チャディー・メン・タン「サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法」p38 Kindle 版.

*4
参考)長谷川洋介,貝谷明日香「知識ゼロからのマインドフルネス心のトレーニング」p24-25


【著者プロフィール】

三島つむぎ
ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。

 

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