リモートワークになって通勤から解放されたものの、ダラダラしてしまい仕事が進まない、うまくコミュニケーションが取れないーーと悩む人は多いようです。
リモートワークには、長所と短所があります。
書籍「ゼロから始めるテレワーク実践ガイド」には、実際にリモートワークをしている人が感じる短所として、
「勤労意欲が維持できない」
「当初は緊張感があり仕事がはかどったが、慣れてくると勤務時間中に SNSを確認したり、音楽を流したり、オフィスではできない自由なスタイルに緩んできてしまった。オフィス勤務に比べ80%くらいの効率になった」(*1)
などの声が紹介されています。
他には、自宅に小さな子どもがいて集中できないとか、インターネットの回線速度が遅くて、仕事が妨害されるという声もありました。
何よりも大きいのがこの「勤労意欲」。
自己管理できず、監視がないとダラダラしてしまう癖があると、効率は上がりにくいというのです。
ではどうしたら、リモートワークで自己管理ができるでしょうか。
目次
仕事とプライベートをどう分けるか
一つの方法として、自宅を仕事場にする場合、環境をある程度整えることが挙げられます。
例えば、本書では、
・着替える・身なりを整える ・仕事をする環境に移動する |
などをすすめています。
本書のアンケートでも多くの人が、着替えたり化粧をしたり、髭を剃ったりし、プライベートから仕事への切り替えを意識して実践しています。(*2)
また自宅の仕事環境を働きやすいように、整えることも効果があります。
人間はどうしても目の前のものに反応します。漫画雑誌やお気に入りの本があったり、食べ終わりの食器などが散乱した空間では、集中するのが難しくなる人もいるでしょう。
もし自宅にある程度のスペースがあるならば、プライベートのものが目に入らないよう、場所を分けてしまうのも1つの方法です。「この机に座ったら仕事」とオンオフを分けるのです。
どうしても自宅で作業が捗らない場合、近所のコワーキング・スペースやレンタルオフィスなどを利用する方法もあります。
ただし、共通の無線LANなどを仕事に使用する場合は、会社の機密情報が漏れないよう、十分に気を付ける必要もあり、お金もかかるので、生活に余裕がある場合に限ります。
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時間の管理を自分でやるには?
自宅で働き慣れていない人がついやってしまうことーーそれは、なんとなくパソコンを開いて、メールやSNSを見たり、ネットサーフィンなどをして、ダラダラしてしまうことです。これは成果報酬の働き方では致命的です。
私のお勧めは、時間割を作って、仕事に集中する時間を決めることです。
まずはやるべきことを紙に書き出します。
・会議 ・資料づくり ・取引先に進捗状況を電話 ・経費精算 ・請求書の作成 ・見積もり作成 |
それぞれに優先順位をつけておきます。
会社から特に就業時間を決められていない場合、これにプライベートの予定も一緒に書いておき、朝、じっくりと予定を作るのも一つの手です。
・会議 ・資料づくり ・取引先に進捗状況を電話 ・経費精算 ・請求書の作成 ・見積もり作成 ・洗濯機をかける ・肉を解凍する ・郵便物を出す |
プライベートの予定にも、それを行うのに最適な時間があります。例えば、「洗濯機は、朝のうちにかけて干しておこう。郵便物は、郵便局が混まない午後早い時間に行こう」などと、「その仕事が捗りやすい時間帯」を考えつつ、パズルのように予定を組み合わせ、優先順位を決めていくのです。
この優先順位づけでは、集中すべき仕事と、邪魔が入ってもできる仕事を分けること。これは特に、自宅に子どもがいる場合に有効です。
集中してこなすべき仕事、例えば、資料の作成や見積もり作成・原稿執筆などがあるのなら、できるだけ邪魔が入らない時間にまとめて行うのです。
また、電話を掛けるなどの似たような仕事は、まとめて一気に行うようにします。
私はこの予定作りに時間をかけています。
集中するべき仕事と、邪魔が入ってもできる仕事を分ける
職種にもよりますが、仕事は概ね
1.集中して一人で完成させる仕事 2.相手がある仕事 3.集中しなくてもある程度できる仕事 |
に分けられます。
ポイントは、一つ一つの仕事を順番に行うこと。そして、それ以外のことは一切しないように、工夫することです。
集中して仕事を行う時間は、SNSの通知は全てオフにすることをお勧めします。メールは時間を決めて一気に確認します。できるなら、SNS系のアプリは全て削除してしまうと、仕事に集中できるでしょう。
会社によってはSlackを常にオンにするところもあるでしょうが、メンバーに「午前中はメッセージを読めませんから、緊急事態は電話してください」などと言っておくのも一つの方法です。会社で会議室にこもって作業するイメージです。
「相手がいる」作業は、相手の状況を考えます。電話をかける場合は、「連絡がつきやすい」時間があると思います。その時間を把握し、まとめて行ったほうが効率が良いのです。
メールの返事をするのも、相手の作業の時間を考慮すると、最大限の時間を使ってもらえます。
一方で、経費精算、請求書作成など集中しなくてもある程度できる仕事は、多少邪魔が入ってくる時間や、自分が少し疲れていてもできる時間にします。
人によって、何が集中しなくてもできるかは、差があるかもしれません。
例えば、ワーキングマザーなら、子供がいない午前中に、取引先への資料作成など集中したい仕事を終わらせ、子どもが帰ってくる午後には、経費精算をするーーのようなイメージです。
こうして、ある程度自分のリズムを知って作ってルーチン化しておくことで、効率よく仕事ができるようになります。
上司や取引先との確認は「マメすぎるくらい」でOK
リモートワークをしていて、最も多いミスがコミュニケーション不足です。
本書では、コミュニケーションツールを使い、同僚や上司との連絡が途絶えないようにすることを勧めています。特にSlackなどのチームコミュニケーションを使うことを勧めています。(*3)
筆者はすでに10年ほどリモートワークをしていますが、どうしてもお互いの仕事が見えない環境では、相手に「きっとやってくれるだろう」「伝わっているだろう」と勝手に期待してしまうケースが多いのです。
顔を合わせないまま、締め切りギリギリになって「あの仕事そういえばどうなった?」「いえ、細かい指示がないのでそのままです。まずいですか?」などとなると悲惨です。
これを防ぐには、少ししつこいかな、と思われるほどに情報共有することです。
例えば、朝、仕事をする前に、「今日は、これとこれをやります」とチャットで共有しておくと、やり残しや締め切り忘れが防げます。
特にマネジャー側は相手の進捗情報をある程度把握しておくことで、このミスが防げます。作業をする側は、60〜70パーセントの状態で一度共有しておくと、大きな方向の違いなどを防げます。
以上、いくつかのTIPを見てきましたが、仕事のやり方は人・職場によって千差万別。一旦試して「違うな」と思ったら他のやり方を試してみることです。一旦自分なりのやり方が見つかったら、毎日続けてルーティンにしてしまうと、「考えず」にできるようになります。
リモートワークでの仕事の効率化、コミュニケーション力の向上のために、ぜひ意識してみて下さい。
(出典)
(*1)-(*3)「ゼロから始めるテレワーク実践ガイド・ツールとアイデアで実現する『どこでも仕事』完全ノウハウできるビジネスシリーズ」(インプレス)
【著者プロフィール】
のもときょうこ
早稲田大学法学部卒業。損保会社を経て95年アスキー入社。雑誌「MacPower」「ASAhIパソコン」「アサヒカメラ」編集者、「マレーシアマガジン」編集長などを歴任。著書に「日本人には『やめる練習』が足りていない」(集英社)「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)ほか。編集に松井博氏「僕がアップルで学んだこと」ほか。
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