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非正規雇用とはどのような働き方?なぜ増えた?現状とメリット・デメリットを把握しよう

現在、非正規雇用労働者は労働者全体の3分の1以上を占めています。
非正規雇用は多様な働き方を実現する一方で、さまざまな問題点も指摘されています。

本稿では、非正規雇用とはどのような働き方なのかを押さえた上で、推移と現状、メリットとデメリットを明らかにします。

 

非正規雇用とは

~非正規雇用の定義~
まず、非正規雇用とはどのような働き方でしょうか。
ここでは厚生労働省の定義をご紹介します(図1) *1:p.4、*2。

図1 厚生労働省による雇用形態の法制上の定義
出典:*2 厚生労働省(2012)「『望ましい働き方ビジョン』の概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025zr0-att/2r98520000026fpj.pdf

この図では、「正規雇用」、「多様な正社員」、「非正規雇用」の3つの雇用形態を定義していますが、図中の①ー③のすべてを満たす者を「正規雇用」、それ以外を「非正規雇用」と定めています。

~非正規雇用の形態別種類~
次に、非正規雇用の形態別種類は、以下のような分類が一般的です *3。

パート
アルバイト
契約社員
派遣社員
嘱託社員

ここで注意しなければならないのは、以上のような雇用形態の非正規雇用労働者(以降、「非正規労働者」)のなかには、正規雇用労働者(以降、「正規労働者」)よりも高度な内容の職務に従事している人もいるということです *1:p.6。
また、労働者としての能力という点でも、正規労働者の方が非正規労働者より優れているとは限りません。

正規雇用と非正規雇用を区別する基準は専門性や能力ではなく、あくまで雇用形態であることを押さえておきたいと思います。

 

非正規労働者の推移と現状

次に、非正規労働者の推移と現状をグラフで把握しましょう(図2・図3)。

図2 正規労働者と非正規労働者の推移
出典:*3 厚生労働省(2020)「非正規雇用の現状と課題」(「多様な人材活用で輝く企業応援サイト」へのリンク)
https://tayou-jinkatsu.mhlw.go.jp/

非正規労働者は、全体的にみると、1994年(平成6年)から現在まで緩やかに増加し、2019年には2,165万人で、労働者全体の38.3%に上っています。

次に雇用形態別の推移をみましょう。

図3 雇用形態別非正規労働者数の推移
出典:*3 厚生労働省(2020)「非正規雇用の現状と課題」(「多様な人材活用で輝く企業応援サイト」へのリンク)

https://tayou-jinkatsu.mhlw.go.jp/

この図をみると、薄い青色部分のパートとその上のアルバイト、つまり短時間労働者が増加傾向にあることがわかります。
2019年、パートとアルバイトは合わせて1,519万人で、非正規労働者の70.2%という高い割合を占めています。
このことは何を表しているのでしょうか。
非正規雇用のメリットとあわせて考えてみたいと思います。

 

非正規雇用のメリットとデメリット

ここでは、非正規雇用のメリットとデメリットについてみていきます。

~非正規雇用のメリット~
まず、非正規雇用のメリットは、自由度の高い働き方ができるという点です。
その理由は、以下の4点に集約されます。

労働時間の調整が可能であること
転勤・異動がないこと
責任が軽いこと
副業がしやすいこと

こうしたメリットは、希望するワークライフバランスに合わせて、仕事と生活の両立を図る際に有益です。

ここで、年齢別に非正規労働者数と割合をみてみましょう(図4)。

図4 年齢別 非正規労働者数と割合
出典:*3 厚生労働省(2020)「非正規雇用の現状と課題」(「多様な人材活用で輝く企業応援サイト」へのリンク)

https://tayou-jinkatsu.mhlw.go.jp/

最も高い割合を占める年齢層は45歳~54歳で20.2%、次が55歳~59歳の20.1%、そして65歳以上の18.0%がそれに続いています。
このうち65歳以上が増加傾向にあることから、非正規雇用は高齢者就労の受け皿になっていることが窺われます。

次に男女別の割合をみてみましょう(図5)。

図5 男女別 非正規雇用率の推移
出典:*4 内閣府男女共同参画局(2020)「ひとりひとりが幸せな社会のために パンフレット2020」
https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/pamphlet/pdf/panphlet_part03.pdf

非正規雇用率はグラフの横軸が示す期間中、一貫して女性の方が高く、2019年は男性の22.8%に対して女性は56.0%に上っています。

その要因は何でしょうか。
それを探るために、男女別・年齢階層別のグラフをみてみましょう(図6)。

図6 男女別・年齢階層別 非正規雇用率の推移
出典:*4 内閣府男女共同参画局(2020)「ひとりひとりが幸せな社会のために パンフレット2020」
https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/pamphlet/pdf/panphlet_part03.pdf

在学中を除くと、15~24歳と65歳以上では男女差が少ない一方で、25歳から64歳までは男女差が大きくなっています。

ここで、さらに女性の就業状況を表すグラフをみましょう(図7)。

図7 女性の就業率(左図)と就業希望者の内訳(右図)(2018年)
出典:*5 内閣府男女協働参画局(2019)「男女共同参画白書 令和元年版」
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r01/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-09.html

図7は先ほどの図6の1年前のデータですが、左図は女性の就業率を表すもので、「M字曲線」と呼ばれるものです。
この就業率をみると、20歳頃から60歳頃までは、青線の就業率と赤線の就業希望者の割合に差があることがわかります。

右図は、就業希望者の内訳ですが、就業を希望している未就業の女性のうち73.1%が非正規雇用を望んでいます。
また、就職を希望しているのに求職しない理由として最も割合が高いのは、「出産・育児のため」で32.6%と、約3分の1に上ります。

さらに、先ほど図6でみたように、25歳から64歳までは非正規雇用の男女差が大きいことを考え合わせると、出産・育児期にある女性がワークライフバランスをとるために、非正規雇用という働き方を選択していることが窺えます。

ここで、非正規労働者として働く理由を年代別にみてみましょう(図8)。

図8 非正規労働者として働く理由
出典:*6 内閣府(2017)「平成29年度 年次経済財政報告」 p.97
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je17/pdf/p02013.pdf

図8は左が男性、右が女性ですが、左図と右図では縦軸の数値の目盛幅が異なることに注意が必要です。

右図の女性では、25~34歳と35歳~44歳の年齢層では「家事、育児、介護等と両立しやすいから」という理由が最も多く、先ほどの考察に符合します。
一方、男性では、「家事、育児、介護等と両立しやすいから」という理由はどの年齢層にもほとんどみられず、同じ非正規雇用でも、男女の役割分担がその選択理由に反映していることが窺えます。

また、男女ともに、年齢層によって非正規労働者として働く理由の構成比が異なります。
このように、非正規雇用は、ライフステージによってさまざまな理由から選択される働き方で、特に女性はワークライフバランスに関連していることがわかります。

~非正規雇用のデメリット~
次に、非正規雇用のデメリットを3点に絞ってみていきたいと思います *1:pp.8-9。

雇用が不安定であること
非正規雇用は正規雇用と比べて雇用調整の対象にされやすく、雇用が不安定だという問題があります。

例として、新型コロナの影響をみてみましょう(図9)。

図9 就業において新型コロナの影響を受けたと回答した非正規労働者の割合
出典:*7 マイナビ(2020)「新型コロナウイルスによる非正規雇用への影響調査【就業者篇】を発表」
https://www.mynavi.jp/news/2020/06/post_23554.html

上の図9は非正規労働者を対象にしたマイナビの調査結果ですが、新型コロナの影響を受けたと答えた人の割合は全体の50.4%と約半数に上ります。

ところが、新型コロナの影響を受けたと回答した非正規労働者のうち、勤務先からなんらかの補償を受けた人はわずか18.2%にすぎませんでした(図10)。

図10 新型コロナウイルスの影響を受けて勤務先から何らかの補償を受けた非正規労働者の割合
出典:*7 マイナビ(2020)「新型コロナウイルスによる非正規雇用への影響調査【就業者篇】を発表」
https://www.mynavi.jp/news/2020/06/post_23554.html

以上のことから、非正規労働者の危うい立場がみえてきます。

(2) 低賃金であること
非正規雇用は正規雇用に比べて低賃金であることがわかっています(図11)。

図11 正社員・非正社員の総時給の推移
出典:*6 内閣府(2017)「平成29年度 年次経済財政報告」 p.95
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je17/pdf/p02013.pdf

正規労働者と非正規労働者の総時給の差は近年やや縮まってきてはいるものの、2016年時点で1,200円弱という大きな格差がみられます。
このことは、非正規雇用は、単独で生計をたてるための働き方としては厳しいことを示唆しています。

(3) 職業キャリアの形成が不十分であること
非正規雇用は正規雇用と比べて能力開発の機会が不足しています(図12)。

図12 事業所における職業訓練の実施状況
出典:*8 厚生労働省(2020)「非正規雇用の現状と課題」 p.6
https://www.mhlw.go.jp/content/000679689.pdf

図12中の「計画的なOJT」とは、日常の業務に就きながら段階的、継続的に行われる職業訓練のことです。
一方、「OFF-JT」とは、業務命令に基づいて、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練・研修のことです *8:p.6。

この図から、正規労働者(正社員)以外の対象に教育訓練を実施している事業所は、計画的なOJT、OFF-JTのいずれの場合も非常に低い割合であることがわかります。

そのため、非正規雇用はスキルの蓄積がしにくく、培ったスキルがあったとしても社会的に評価されにくいため、希望の職業や正規雇用へのステップアップが難しいという側面があります。

こうした状況から、正規労働者として働くことを望みながら、その機会を得ることができずに、非正規雇用で働く「不本意非正規雇用」の問題が生じています(表1)。

表1 不本意非正規雇用の割合

出典:*8 厚生労働省(2020)「非正規雇用の現状と課題」 p.4
https://www.mhlw.go.jp/content/000679689.pdf

この表から、不本意非正規雇用のうち、最も割合が高いのは25歳~34歳という若い年齢層であるという深刻な状況がみえてきます。

 

 おわりに

これまでみてきたことから、非正規雇用はライフステージに合わせた自由な働き方を実現する一方で、処遇や賃金、キャリア形成などに不安要素があることが明らかになりました。
また、いわゆる不本意非正規雇用労働者として働かざるを得ない若い人々が一定数いるという深刻な状況もわかりました。

こうした状況をふまえ、非正規雇用が労働者にとってより望ましい働き方になるよう、国や雇用主の適切な対策や対応が望まれます。

*1
厚生労働省(2012)「『望ましい働き方ビジョン』 ~非正規雇用問題に総合的に対応し、労働者が希望する 社会全体にとって望ましい働き方を実現する~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025zr0-att/2r98520000026fpp.pdf
*2
厚生労働省(2012)「『望ましい働き方ビジョン』の概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025zr0-att/2r98520000026fpj.pdf
*3
厚生労働省(2020)「多様な働き方が求められる背景>非正規雇用の現状と課題」
https://tayou-jinkatsu.mhlw.go.jp/
*4
内閣府男女共同参画局(2020)「ひとりひとりが幸せな社会のために パンフレット2020:就業の分野における男女共同参画」
https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/pamphlet/pdf/panphlet_part03.pdf
*5
内閣府男女協働参画局(2019)「男女共同参画白書 令和元年版>女性の就業希望者の内訳(平成30(2018)年)」
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r01/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-09.html
*6
内閣府(2017)「平成29年度 年次経済財政報告:第2章 働き方の変化と経済・国民生活への影響」
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je17/pdf/p02013.pdf
*7
マイナビ(2020)「新型コロナウイルスによる非正規雇用への影響調査【就業者篇】を発表」(2020年6月12日)」
https://www.mynavi.jp/news/2020/06/post_23554.html
*8
厚生労働省(2020)「非正規雇用の現状と課題」
https://www.mhlw.go.jp/content/000679689.pdf

プロフィール
横内美保子(よこうち みほこ)
博士(文学)。元大学教授。大学における「ビジネス・ジャパニーズ」クラス、厚生労働省「外国人就労・定着支援研修」、文化庁「『生活者としての外国人』のための日本語教育事業」、セイコーエプソンにおける外国人社員研修、ボランティア日本語教室での活動などを通じ、外国人労働者への支援に取り組む。
Webライターとしては、主にエコロジー、ビジネス、社会問題に関連したテーマで執筆、関連企業に寄稿している。

Twitter:https://twitter.com/mibogon

 

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