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アルバイトとパートの違いとは?法律上の位置づけと待遇に関する誤解

「アルバイト」と「パートは、どちらも正社員の補助的な業務をこなす労働者というイメージが一般的かと思いますが、両者の違いはどこにあるのでしょうか。

また、「アルバイト」「パート」の待遇は正社員に及ばないケースが大多数ですが、これは本当に法律上問題ないのでしょうか。

今回は、アルバイト・パートの法律上の位置づけと、待遇に関するよくある誤解について解説します。
これからアルバイト・パートとして働こうとお考えの方や、アルバイト・パートを雇い入れようとお考えの事業主の方は、ぜひ参考にしてください。

アルバイトとパートの違いとは?

「アルバイト」と「パート」という2つの言葉は、何らかの意図を持って区別して用いられているように思われます。

しかし法律的には、両者の間に差はないというのが実態です。

●一般用語としての「アルバイト」「パート」
「パート」は一般的に、普段は主婦(主夫)として生活をしている方が、生活費の足しにするために短時間働きに出ることを指して用いられることが多い言葉です。
これに対して「アルバイト」は、高校生や大学生、あるいは定職についていないフリーターなどが行うものというイメージが定着しています。

●法律上はどちらも「短時間労働者」
アルバイトとパートは、どちらも「働く時間を選んでシフト制で働く人」という実態に変わりはありません。

法律上は、アルバイトとパートはいずれも「短時間労働者」(パートタイム・有期雇用労働法2条1項)としてカテゴライズされており、両者に違いはありません。
なお、アルバイト・パートはいずれも労働基準法上の「労働者」でもあり、同法に基づき労働者としての保護を受けます。

 

アルバイト・パートの労働実態

アルバイト・パートは正社員よりも簡単な業務をこなす一方、賃金などの待遇は正社員よりも劣るというイメージをお持ちの方が大多数かと思います。

以下では、アルバイト・パートの働き方の実態について、データを参照してみましょう。

●正社員と同じ職務をこなすアルバイト・パートもいる

(引用:「平成28年パートタイム労働者総合実態調査の概況」(厚生労働省))
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/16/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/16/dl/jigyousho2-5.pdf

上記の各表は、平成28年に実施された、正社員およびパートタイム労働者(アルバイト・パートの両方を含みます)の雇用管理の現状や働き方の実態などに関する調査結果です。

表15-1によると、事業所全体のうち、正社員と同等の職務をこなすアルバイト・パートがいる事業所は15.7%あります。
また、表15-2によると、正社員と同等の職務をこなすアルバイト・パートは、全アルバイト・パートのうち6.5%です。

このデータからは、アルバイト・パートは正社員よりも簡易的な業務をこなすことが多いのが一般的な傾向ではあるものの、中には正社員と同等の業務と責任を課されているアルバイト・パートもいることが分かります。

●アルバイト・パートの待遇は正社員とは異なるケースが多い


(引用:「平成28年パートタイム労働者総合実態調査の概況」(厚生労働省))
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/16/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/16/dl/jigyousho2-6.pdf

表16-1は、前述のものと同じ調査における、正社員と職務が同じパートの賃金算定方法に関する調査結果を示しています。

同表によると、正社員と職務が同じパートについて、基本賃金を正社員と同様の算定方法に基づいて計算するとした事業所はわずか16.2%にとどまります。
また、同じ調査のデータからは、正社員と職務が同じパートに対して賞与を支給している事業所は43.3%で、そのうち賞与を正社員と同様の算定方法に基づいて計算するとした事業所は17.1%にとどまっています。

これらのデータからは、アルバイト・パートが正社員と同じ業務をこなしているとしても、多くのケースでは正社員よりも劣った待遇しか受けられていないことが分かります。

 

「アルバイト」「パート」に関するよくある誤解

アルバイト・パートの方の待遇について、労働基準法その他の法令に基づくルールを誤解している事業者がしばしば見受けられます。

特に以下の点については、意識的かどうかを問わず、アルバイト・パート待遇について違法な取り扱いをしている企業が多いため、十分注意が必要です。

●アルバイト・パートは正社員よりも劣った待遇でも問題ない?
アルバイト・パートの方は、賃金などの待遇が正社員よりも低く抑えられる傾向にあることは事実です。
しかし、「同一労働同一賃金」の原則に従うと、「アルバイト・パートである」という理由だけで、正社員との間に不合理な待遇差を設けることは認められません(パートタイム・有期雇用労働法8条)。

たとえば、「業務が正社員よりも簡単」「責任が正社員よりも軽い」という理由で、アルバイト・パートの方の賃金などの待遇を低く抑えることは問題ありません。
しかし、正社員と同等の業務に従事しているアルバイト・パートの方に対しては、正社員と同等の基準に基づいて、与えるべき待遇を計算する必要があるのです。

なお、パートタイム・有期雇用労働法における「同一労働同一賃金」の原則は、中小事業主については2021年4月1日から施行されます。
中小事業主の範囲については、以下の厚生労働省の資料をご参照ください。

参考:「パートタイム・有期雇用労働法の施行にあたっての中小企業の範囲」
https://www.mhlw.go.jp/content/000596564.pdf

●アルバイト・パートの残業には割増賃金を支給する必要はない?
アルバイト・パートの方には、たとえ残業が発生したとしても、あらかじめ定められた固定の時給だけを支給すればよいと誤解している事業主も多いところです。

しかし、アルバイト・パートの方についても、正社員などと同様に、労働基準法上の時間外労働に関するルールの適用を受けます。

労働基準法上、1日の労働時間は原則として「1日8時間、1週間40時間」と決められています(労働基準法32条1項、2項。「法定労働時間」)。
これを超える労働をさせる場合には「36協定」の締結が必要であり、かつ25%以上の割増賃金を支払わなければなりません(同法36条1項、37条1項)。

たとえば、時給1200円で働くパートの方が1日9時間働いた場合、法定労働時間を超える1時間分については、時給1500円以上を支給しなければならないのです。

●アルバイト・パートを社会保険に加入させる必要はない?
正社員に近い形で働いているアルバイト・パートの方を、社会保険に加入させない違法事例もよく見られます。

アルバイト・パートの方であっても、以下の要件をすべて満たす場合には、社会保険(健康保険・厚生年金・介護保険)に加入させる義務があるので、事業者の方は特に注意が必要です。

・週の所定労働時間が20時間以上であること
・賃金月額が月8.8万円以上であること(賞与・残業代などは除く)
・1年以上の雇用期間が見込まれること
・従業員数が501人以上であること、または従業員が500人以下であって、社会保険への加入について労使での合意がなされていること
・学生でないこと

 

まとめ|アルバイト・パートも「労働者」として正当な待遇を受けるべき

アルバイト・パートの方の待遇は軽視されがちですが、法律上は労働者として手厚い保護が与えられています。

アルバイト・パートの方の待遇を不当に低く設定した場合、労働基準法やパートタイム・有期雇用労働法に照らして違法となる可能性があるので、事業主の方は十分に注意しましょう。
また、アルバイト・パートで働く労働者の方で、ご自身の待遇が低すぎるのではないかと疑問をお持ちになった場合には、一度専門家に相談してみることをお勧めいたします。

阿部 由羅
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。専門はベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。

https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

 

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