「せっかく採用したアルバイトが、すぐに辞めてしまう」
「面接の印象は、とても良かったのに……」
そんな悩みを抱えているのなら、“コンピテンシー面接”を取り入れることで解決できるかもしれません。
コンピテンシー面接は、多くの企業が正社員採用に導入していますが、アルバイト採用においても有益な手法です。
本記事では、コンピテンシーの基礎知識から面接への活用まで解説します。
目次
コンピテンシーとは何か?
まず、そもそも「コンピテンシー」とは何なのか、基礎知識からご紹介します。
■ハイパフォーマーに共通して見られる行動特性在
「コンピテンシー」とは、ハイパフォーマーに共通して見られる行動特性のことです。
ここでいう“ハイパフォーマー”とは、業務において継続的・安定的に良い成果を上げ続けている人材のこと。簡単にいえば「仕事のできる人・仕事で良い結果を出し続けている人」となります。
ハイパフォーマーは、学歴・スキル・知識などとは別に、「共通する行動特性」を持っており、その行動特性を「コンピテンシー」と呼びます。
コンピテンシーは、成果を上げる人材採用の重要なヒントとなる概念です。
■高い学歴や知能を持つ人が良い成績を上げるとは限らないという発見
より深くコンピテンシーを理解するために、コンピテンシーの概念が生まれたバックグラウンドに触れておきましょう。
コンピテンシー理論のベースとなっているのは、1970年代にハーバード大学のデイビッド・マクレランド教授らが行った研究です。
米国務省からの“学歴や知能レベルが同等の外交官でも、業績格差がつくのはなぜか?”という調査依頼に対し、
「業績の高さと学歴や知能はさほど比例することはなく、ハイパフォーマーには共通の行動特性がある」
と回答を出したのがルーツであるといわれています。*1
つまり、
「高い学歴や知能を持つ人が、必ずしも良い成果を上げるとは限らない」
という発見が、コンピテンシー理論の出発点となっているのです。
■目に見えないコンピテンシーを評価する重要性
「仕事ができる人を採用したい」と考えるのであれば、学歴・スキル・知識などの“目に見える部分”以上に重要なものがあります。
それが、“目に見えない部分”である「コンピテンシー(行動特性)」です。
というのは前述のとおり、学歴やスキルなど目に見える部分を評価して採用しても、その人がハイパフォーマーになるとは限らないからです。
ハイパフォーマー(仕事のできる人)を採用するためには、学歴やスキル以上に、コンピテンシーを評価することが有効です。
■コンピテンシーは業界・職種・職場によって異なる
もうひとつ重要な視点があります。「コンピテンシーは業界・職種・職場などによって異なる」のです。
例えば、前述のマクレランド教授の研究で判明した“米外交官のコンピテンシー”は、以下のものだったといいます。*1
● 異文化に対する感受性が優れ、環境対応力が高い
● どんな相手に対しても人間性を尊重する
● 自ら人的ネットワークを構築するのが上手い
職種や職場が違えば、コンピテンシーも違ったものとなります。
身近な例を挙げるなら、同じ飲食店(A店)内でも、“ホールスタッフのコンピテンシー”と“調理スタッフのコンピテンシー”は異なります。
あるいは同じホールスタッフという職種であっても、“A店のコンピテンシー”と“B店のコンピテンシー”はまた異なるのです。
しばしば、
「A店で仕事ができると評判だったスタッフをB店で採用したら、仕事がうまくできずに辞めてしまった」
といったことが起きます。この理由は、コンピテンシーは職場によって異なるからです。
自店で活躍してくれるスタッフを採用するためには、自店特有のコンピテンシーを把握する必要があります。
逆にいえば、自店特有のコンピテンシーさえ把握できれば、採用のミスマッチを大幅に防ぎやすくなるのです。
コンピテンシー面接に取り組む2ステップ
ここまでに解説したコンピテンシーの知識をもとに、実際にコンピテンシー面接に取り組む方法をご紹介しましょう。
ステップ1:求めるコンピテンシーを明らかにする
ステップ2:コンピテンシーを面接で評価する
■ステップ1:求めるコンピテンシーを明らかにする
最初に、採用する人材は、どんなコンピテンシーを持っていれば良いのか、求めるコンピテンシーを明らかにする必要があります。
そのために役立つのは、これまでに採用した人材の中から“ハイパフォーマー”をピックアップして行動特性を分析し、共通項を発見することです。
▼ コンピテンシーの例
● 常にレギュレーションを厳守して行動する
● 後になってではなくその場で意見を言う
● 多忙な時間帯でもパニックにならず落ち着いている
● 嘘をつかない
● 人の話をよく聞く
● 他のスタッフに対して協力的である
● 問題に直面したときには自ら解決策を考え出す
上記はあくまで一例です。
前述のとおり、コンピテンシーは各職場・各職種によって異なりますので、自社・自店の状況に合わせて、どんなコンピテンシーを求めるか明確にしていきましょう。
■ステップ2:コンピテンシーを面接で評価する
求めるコンピテンシーが明らかになったら、アルバイト面接の場で活用していきましょう。
応募者が求めるコンピテンシーを持つ人物か否かを、面接を通して評価します。
コンピテンシー面接のポイントは、“応募者が過去に実際にとった行動”を具体的に聞き出すことです。
「過去の行動という事実」から、履歴書や応募者の話す言葉からは見えないコンピテンシーを見極めます。
具体的には、見極めたいコンピテンシーに応じて、応募者の過去に関する質問を投げ掛け、エピソードを引き出します。
▼ コンピテンシー面接の例
● 求めるコンピテンシー:問題に直面したときには自ら解決策を考え出す
● 面接での質問
「過去に問題に直面したときのことを教えてください。どのようにして対応されましたか」
応募者が語る「実際にした行動」を細かく聞きましょう。必要に応じて、深掘りする質問を重ねます。
応募者の過去の行動が、求めるコンピテンシー(行動特性)と適合していれば、ハイパフォーマーとして活躍する可能性が高い人物です。
採用可否の判断基準として、考慮しましょう。
さいごに
コンピテンシー面接の導入が特におすすめなのは、
「今まで採用面接をなんとなく行っていて、判断基準に自信が持てなかった」
というケースです。
例えば、
「面接で話した感じ、いい人そうだった」
「過去に同業でのバイト経験がある」
「シフト条件が合う」
と採用を決めても、必要なコンピテンシーを持っていなければ、採用後の勤務がうまくいきません。
応募者の“過去の行動”に焦点を当ててコンピテンシーを見極めることで、
「面接で言っていた話と実際が違う」
といったトラブルも未然に防ぎやすくなります。
コンピテンシー面接を活用して採用のミスマッチを減らし、イキイキと活躍するハイパフォーマーのアルバイトを増やしていきましょう。
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