「求人を出しても、なかなか応募がこない」
「せっかく採用しても、すぐにアルバイトが辞めてしまう」
採用難といわれる現代では、アルバイト採用の悩みを抱える経営者や店長が増えています。
その解決策として有力な方法が「採用ブランディング」です。近年、企業の正社員採用の場で注目されている手法ですが、実はアルバイトの採用にも効果を発揮します。
そこで本記事では、採用ブランディングでアルバイトを採用する力(以下、採用力)を向上させる方法を解説しましょう。
目次
採用ブランディングとは?
まずは採用ブランディングの基礎知識からご紹介します。
そもそも「ブランディング」とは何か
“ブランド力を高めるための一連の取り組みのこと”と定義できます。
ブランド力とは、端的にいえば「より多くの人に、より強い信頼や愛着を感じさせる力」のことです。
ブランド力を高めるためには、ブランドとして一貫したメッセージを発信し、他社とは差別化された独自性によって人々の記憶に残り、品質や性能への信頼を醸成し、指名して購入したいほどの愛着心を抱いてもらうことが必要です。
これらの取り組みを総じて、ブランディングと呼びます。
採用ブランディングとは
採用ブランディングとは、これまで消費者・顧客に向けて行われてきたブランディングを、学生や求職者に向けて行うことです。
アルバイトの採用活動を例に挙げるなら、バイト先を探している人に「あの店で働きたい!」とポジティブな熱意を抱いてもらうために行う取り組みを、採用ブランディングと呼びます。
採用ブランディングに成功している事例として挙げられるのが、スターバックス コーヒーです。
求職者に「どうしても働きたい憧れのバイト先」と強い愛着心を感じさせるのは、まさにブランド力があるからといえます。
アルバイト採用にブランディングを取り入れるメリット
では、アルバイト採用にブランディングを取り入れると、どんなメリットがあるのでしょうか。大きく3つのメリットがあります。
▼ 採用ブランディングを取り入れるメリット
・採用にかかるコストを削減できる
・理念に共感した相性の良い人材を採用できる
・採用力向上の効果が中長期的に持続する
メリット1:採用にかかるコストを削減できる
1つめのメリットは「採用にかかるコストを削減できる」ことです。
というのは、求職者側から「あなたのお店で働きたいんです!」と飛び込んできてくれる状態を作るのが、採用ブランディングの目指すところです。
求人広告を打つにしても、採用ブランディングを実践したうえで展開すれば、費用対効果が良くなります。結果として、広告費などのコスト圧縮につながるのです。
メリット2:理念に共感した相性の良い人材を採用できる
2つめのメリットは「理念に共感した相性の良い人材を採用できる」ことです。
詳しい手法はこの後にご紹介しますが、採用ブランディングで鍵を握るのは、あるべき姿を明確にし、それをメッセージとして発信することです。
結果として、メッセージに共感した人材を採用できるのですが、メッセージに共感した人材というのは、その会社やお店で働くうえでの相性が良いのです。
即戦力として活躍する・長く働き続けるといった、採用者側から見て大変ありがたい特徴を持った人材が集まってきます。
メリット3:採用力向上の効果が中長期的に持続する
3つめのメリットは「採用力向上の効果が中長期的に持続する」ことです。
ブランディングがもたらす効果は一過性のものではありません。ひとたびブランドが確立されれば、その効果は年単位で継続します。
採用ブランディングにおいても同じことがいえ、一度向上した採用力は、中長期的に持続します。
こうして今まで採用に頭を悩ませていた時間が減れば、顧客への価値提供など目標に集中できる時間が増え、好循環が生まれるでしょう。
アルバイトの求人に採用ブランディングを取り入れる3ステップ
では、具体的にどのように採用ブランディングを進めれば良いのでしょうか。3ステップで解説します。
ステップ1:目指す「あるべき姿」を明確にする
1つめのステップは、目指す「あるべき姿」を明確にすることです。
これは、ブランディング活動によって人々に浸透させたい“ブランドの実体”を定義すること、ともいえます。
あるべき姿を明確にするフレームワークとしては、ピーター・ドラッカーが重要性を説いた*1MVV(Mission・Vision・Value)が有益です。
これらの概念は、多くの企業がコーポレートサイトなどに掲載しています。具体例を見たいときには、お手本にしたい企業やお店のWebサイトを探してみると良いでしょう。
例えばスターバックス コーヒーは、「Our Mission and Values」として行動規範を掲げています。
▼ 参考リンク
Our Mission and Values|スターバックス コーヒー ジャパン (https://www.starbucks.co.jp/company/mission.html)
特に採用ブランディングにおけるあるべき姿を明確にする際には、アルバイトのスタッフとどんな職場を作りたいか、ともにお客様へどんな価値を提供したいかに焦点を当て、あるべき姿を定義していきましょう。
ステップ2:現状を「あるべき姿」に近づける
2つめのステップは、現状をステップ1で定義した「あるべき姿」に近づけることです。
ただあるべき姿を定義しただけでは、まさに絵に描いた餅となってしまいます。現状とあるべき姿のギャップを埋める活動に取り組んでいきましょう。
例えば「笑顔があふれる職場」をあるべき姿として定義したならば、その実現に向けて行動することが大切です。
ありとあらゆるシーンにおいて、一貫して「あるべき姿」を実現しようとする継続的な活動こそが、ブランディングの実行となります。
ステップ3:「あるべき姿」をメッセージとして発信する
3つめのステップは、「あるべき姿」をメッセージとして発信することです。
会社やお店のWebサイト、店内の掲示物、お客様に配布するパンフレット、レシートへの印字など、自分たちがどんな思いで何を目指しているのか、メッセージとして発信しましょう。
もちろん、求人広告や求人ページにおいても、強くメッセージを打ち出しましょう。
このとき、ステップ2での「現状をあるべき姿に近づける努力」を実践していれば、あとはメッセージとして打ち出すだけで、採用力が目に見えて変化していることを実感できるはずです。
具体例としては、再びスターバックス コーヒーのアルバイト募集ページが参考になります。
「Our Mission and Valuesに共感し、仲間と共に人間らしく成長したい方を募集しています」とメッセージを発信し、共感する人を惹きつけています。
▼ 参考リンク
アルバイト|スターバックス コーヒー ジャパン(https://www.starbucks.co.jp/recruit/employment/barista.html)
さいごに
「ブランディング」と聞くと、「イメージを良くして好感度を上げるための手法」という印象を持っている方が多いようです。
それも間違いとは言い切れませんが、本来のブランディングとは実に奥深く、ビジネスや商売のあり方そのものに関わる活動といえます。
採用ブランディングの実践を通して、お店や会社のあるべき姿と徹底的に向き合うことは、結果としてやりがいを持ってイキイキと働ける職場を創造するでしょう。
そうなれば、あなたのお店や会社で働きたい!という人が、ひっきりなしに訪れるはずです。そんな魅力あふれる職場づくりに取り組んでいきましょう。
【著者プロフィール】
三島つむぎ
ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。
*1
参考)Drucker, Peter F『Managing in the Next Society』 . St. Martin’s Publishing Group. Kindle 版.
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