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コロナ禍が外国人労働者に与えた影響とは

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの国で出入国の規制をはじめとした感染対策が実施されています。日本においては、新型コロナウイルスの流行前から多くの外国人が労働者として活躍していましたが、出入国の規制に加え、国内の経済状況が変化したことによる影響を大きく受けています。本記事ではコロナ禍における外国人労働者の現状について紹介します。

目次

コロナ禍の2020年、外国人労働者数は過去最高を更新するも増加率は低下

国籍別では中国を抜いてベトナムが一位に

都市部から地方へ? 外国人労働者の多いエリア

まとめ

コロナ禍の2020年、外国人労働者数は過去最高を更新するも増加率は低下

202010月末現在での日本国内における外国人労働者数は1,724,328人と、過去最高数値を更新しました。しかし、増加率をみてみると前年に比べて低下しています。

出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめより引用
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16279.html

日本国内において、2012年以降外国人労働者数は増加を続けており、毎年過去最高人数を更新していました。特に2014年以降は毎年前年比10%を超えて増加しており、全体の労働者数は伸びを見せていました。しかし、2020年の増加率に注目してみると、4%と例年の増加率を大きく下回り、2019年の13.6%から9.6ポイント下がりました。20203月の検疫法に基づく入国制限が開始されたことを受け、増加率が鈍化したと考えられます。

出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめより引用
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16279.html

産業別の外国人労働者数についても、全体的に前年に比べ減少傾向にあることがわかります。特に「宿泊業、飲食サービス業」「製造業」「サービス業(他に分類されないもの)」といった分野で減少幅が大きいです。一方、「建設業」「医療、福祉」「卸売業、小売業」などの分野では前年比で増加を見せており、業種によって差があるようです。

国籍別では中国を抜いてベトナムが一位に

外国人労働者の国籍についても、前年に比べ2020年には変化がありました。

出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめより引用
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16279.html

2019年に最も多かった国籍は中国でしたが、2020年にはベトナムが中国を超えて1位となっています。中国は労働者数自体は多いですが、2020年の増加率は0.4%と鈍化しています。

出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和2年10月末現在)「参考-4」外国人労働者数(国籍別)
https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/000728549.pdf

ベトナムは2019年まで前年比2040%増と大きな成長を続けていました。2020年は前年比の伸びは鈍化したとはいえ、それでも10.6%と増加を見せています。一方中国はこれまで410%程度の増加を続けていたのが、2020年の前年比は0.3%と落ち込んでいます。
他国からの労働者数推移を見てみても、アジアを中心に複数国で前年比微増にとどまっていることがわかります。また、ブラジル・ベルー・韓国・G7/8+オーストラリア+ニュージーランドなどの国からの労働者は前年に比べて減少に転じています。

都市部から地方へ? 外国人労働者の多いエリア

外国人労働者が働く場所についても、前年比をみてみるとコロナ禍の影響を受けているようです。都道府県別の外国人労働者数、増加率についてみてみましょう。

労働者数が最も多かったのは東京都、それに愛知県・大阪府・神奈川県と都市部エリアが続く結果となりました。この傾向はコロナ禍前から大きく変化しておらず、現在も都市部で働く外国人労働者が多いことがわかります。一方で増加率に注目してみると、最も増加率が高かった都道府県は福井県という結果になりました。群馬県・大阪府・千葉県・和歌山県と続きます。とくにコロナ禍前から福井県では外国人労働者の受け入れに対して補助金制度を設ける取り組みをしており、労働環境の整備を強化していたことも増加率が伸びた要因だと考えられます。(※1)

増加率では都市部以外のエリアが伸びていることから、政府からの休業や時短要請を受けて都市部での雇用先が減少し、雇用先を求めて働く場所を移動した外国人労働者が一定数いたと考えられます。

出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめより引用
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16279.html

都道府県別の事業所数増加率を見てみると、1位の沖縄県をはじめ、労働者数が多くないエリアも上位に入っており、地域によっては外国人労働者の雇用機会は増えていることもわかります。

まとめ

日本国内における外国人労働者数の増加はコロナ禍の影響を受けてはいるものの業種、エリアによっては増加していることがわかりました。しかし、その増加率は前年までに比べると大きく鈍化を見せています。
2021年には新型コロナウイルスに対するワクチンの供給も開始され、社会的な情勢も変化していくと考えられます。今後入国制限の状況が変わることも想定される中、外国人労働者数がどのような推移を見せていくのか注目されます。

※1:
福井県 「外国人労働者受入環境整備事業補助金の受付を開始します。」
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/rousei/kigyoushien/gaikokujin-kankyoseibi.html

 

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