現在、日本における外国人労働者の数は増え続けています。街を歩いていても、店舗や施設で外国人のアルバイトスタッフから接客を受ける機会が増えたと感じる人も多いのではないでしょうか。
政府も新たな在留資格として「特定技能」の制度を新設するなど、さらなる外国人労働者の獲得に積極的です。そのため、現在見られている増加傾向は今後も続いていく可能性が高いでしょう。今後日本において労働力の確保を目指す場合、外国人労働者の存在は重要になりつつあります。
目次
外国人労働者数は過去最高を更新!
こちらは、2008年から2019年にかけての外国人労働者数の推移を示したグラフです。このグラフをみると、調査開始以来外国人労働者の数は緩やかに増え続けていることがわかります。
出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ」より引用して作成(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09109.html)
厚生労働省の発表によると、2019年10月末現在の外国人労働者数は1,658,804名。これは、調査開始以来過去最高の人数*1となっています。
これだけ外国人労働者が増えている背景には、次のような要因があります*2。
・高度外国人材や留学生の受け入れが進んでいる
・国内の雇用情勢改善に伴い、「永住者」や「日本人の配偶者」の立場の人材の就労が進んでいる
・技術実習生の受け入れが進んでいる
ただし、2019年4月より新設された「特定技能」での労働者は520名と、当初の想定であった最大4万人に対し大変僅少な規模に留まっています。そのため、今後制度や仕組みの整備が進むに従い、更に労働者数が増えていくものと考えられます。*2
前年と比較した増加傾向は?
過去最高の労働者数を記録した2019年ですが、実際にどのような国籍、あるいは立場での労働者が多いのでしょうか。こちらは、外国人労働者における国籍別労働者数・在留資格別労働者数のグラフです。
出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ より引用して作成(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09109.html)
現在最も多い国籍は中国、次いでベトナムという結果が出ています。これを前年からの増加率に注目してみると、ベトナムが最も多く、インドネシア・ネパールが続く、という結果になっています。特にベトナム・インドネシアからの労働力の増加率は大変高く、ベトナムは前年同月比+26.7%、インドネシアは同+23.4%となっています。
在留資格別では、永住者や日系人などの「身分に基づく在留資格」が最も多いものの、増加率では、続く「技術実習」「専門的・技術的分野の在留資格」の増加率が高く、今後も成長が期待されています。特に「技術実習」の増加率が高く、前年同月比+24.5%となっています。
一番増加率の高い都道府県は奈良県
実際に外国人労働者が働いている都道府県にも特徴が見られています。こちらは都道府県別外国人労働者数のグラフです。
出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ」より引用して作成
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09109.html)
外国人労働者数が多い都道府県は東京・愛知・大阪と、総人口が多い主要都市が上位に挙がっている現状が見て取れます。一方増加率に注目してみると、1位が奈良県、2位が沖縄県、3位が青森県という結果となっています。
現在外国人労働者数が多い都道府県と増加率が高い都道府県をそれぞれ上位10位までで比べると、重なりがまったくないという結果となりました。つまり、現状で既に外国人労働者数が多い地域では大きな人数変化はなく、むしろ現在比較的少ない地域において、その数が増えていることがわかります。今後もこの傾向が続く場合、国内の更に広い範囲において外国人労働者の存在が一般的になっていくと考えられます。
まとめ
日本国内における外国人労働者数が例年増え続けており、大変重要な労働力となりつつあることがわかりました。今回の統計情報からは更に、労働者の国籍・国内の受け入れ先都道府県のいずれも、現状上位の場所よりも別の場所の増加率が高い傾向も見られています。この傾向から、外国人労働者の数が増えるに従い、これまではあまり外国人労働者の数が多くなかった地域においても、今後雇用数が増えていく可能性が高いということができます。
また、新設された「特定技能」について今後も制度の利用が加速するように政府としても様々な取り組みを予定しているようです。この取り組みが奏功すれば、更に広い分野・土地において新たな外国人労働者の就業の可能性が広がり、現在の増加傾向のさらなる追い風になる可能性もあります。これから日本国内での雇用の獲得を考える際には、全国的に、外国人労働者の存在は見過ごせない存在、むしろ強い味方となっていく可能性が非常に高いと言えるでしょう。
参考:
※1:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09109.html
※2:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和元年 10 月末現在)https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/000590310.pdf
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