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Web面談の雰囲気を良くするには?円滑なコミュニケーションを図るポイントとマナーを解説 

コロナ禍を背景にテレワークが普及しました。ところが、引き続きテレワークを希望する社員が多い一方、一時期は実施していたテレワークを取りやめている企業も一定数あります。

テレワークを継続実施するうえでの最大の課題は、社内のコミュニケーションだと考えている企業も多くあり、画面を通したコミュニケーションにストレスを感じている社員もいます。

例えば、Web面談では、お互いの雰囲気が伝わりにくいため、直接面談に比べて誤解や行き違いが生じやすく、円滑なコミュニケーションに支障をきたす場合もあります。

でも、雰囲気は捉えどころのないもの。どう対処したらいいのでしょうか。

目次

テレワークの普及と画面を通したコミュニケーションによるストレス

Web面談ではなぜ雰囲気が伝わりにくいのか

Web面談における雰囲気づくりのポイント

おわりに

テレワークの普及と画面を通したコミュニケーションによるストレス

~テレワークの実施率とテレワーク希望者~

まず、テレワークの実施状況をみてみましょう(図1)。

図1 地域別テレワーク実施率
出典:*1 内閣府(2020)政策統括官(経済社会システム担当)「新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査」 p.15
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf

図1は、2020年5月25日~6月5日に実施したインターネット調査の回答をまとめたものです *2。
テレワークをしている人の割合は全国平均で34.6%、東京23区内では55.5%と過半数を超えています。

さらに、今後テレワークを希望している人は、約40%に上ります(図2)。


図2 テレワークを希望する人の割合
出典:*1 内閣府(2020)政策統括官(経済社会システム担当)「新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査」 p.26
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf

~テレワーク実施率の低下と継続のための課題~
一方、東京都に限った調査では、「一時期実施していたが、現在は取りやめた」企業が一定の割合あることがわかっています(表1)。

表1 テレワークを実施している企業の割合(東京商工会議所会員企業)
出典:*3 東京商工会議所(2020)「『テレワークの実施状況に関するアンケート』 調査結果」 p.6
https://www.tokyo-cci.or.jp/index.html

この表をみると、テレワークの実施を取りやめた企業は全体の22.1%。
微妙な数値ですが、無視できない割合かもしれません。

では、テレワークを継続実施する上での課題はなんでしょうか(表2)。

表2 テレワークを継続する上での課題上位5項目(複数回答)

出典:*3 東京商工会議所(2020)「『テレワークの実施状況に関するアンケート』 調査結果」 p.10
http://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1023299

回答者全体では、テレワークを継続実施する上での課題として「社内のコミュニケーション」と回答した企業が57.9%と、最も大きな割合を占めています。

では、就業者はどうでしょうか(図3)。

図3 テレワークで不便だと思う点(重要なこと上位3項目)
出典:*1 内閣府(2020)政策統括官(経済社会システム担当)「新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査」 p.27 を筆者が見やすく加工
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf

この図は、図1・2と同じ全国レベルの調査で、就業者のうちテレワーク実施者がテレワークで不便だと考える点を重要度の高い順に最大3項目、回答した結果です。
バーの青色は全体、オレンジ色は1位の割合を表しています。

図3からコミュニケーションに関連するものを抜き出すと、以下の3項目になります。

第1位:社内での気軽な相談・報告が困難
第3位:画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス
第5位:テレビ通話の質の限界(タイムラグ、音声や映像の乱れ等)

筆者も仕事でWeb面談を日常的に行ってますが、確かに直接対面のようにはいかないというのが実感です。

筆者だけではなく、直接対面でのコミュニケーションに比べて、Web面談では雰囲気が伝わりにくく、行き違いや誤解が生じやすいと感じている人が多いようです。
それはなぜでしょうか。

Web面談ではなぜ雰囲気が伝わりにくいのか

もともとコミュニケーションにおいて重要なのは言葉以外の要素だといわれています。
例えば、声や話し方、動作、顔の表情、アイコンタクト、服装やみだしなみ、接触、相手との距離の取り方などです。

こうしたさまざまな要素が組み合わさることによって、その人の印象や雰囲気が形成されます。
例えば、同じことを言っても、声のトーンや大きさ、顔の表情、ジェスチャーなどによって、相手に伝わる雰囲気は全く異なるでしょう。

ところが、Web面談では、雰囲気を形成するこうした要素が大きな制約を受けてしまいます。
話し方や間の取り方は難しく、顔の表情は伝わりにくく、ジェスチャーもとりにくい。
服装もほんの一部しか映らない。
接触や相手との距離の取り方に至っては、不可能です。

どうやらここに、対策の手がかりがありそうですね。

 

Web面談における雰囲気づくりのポイント

では、誤解や行き違いを防ぎ、円滑なコミュニケーションを図るためには、どうやって雰囲気づくりをしたらいいのでしょうか。
これから具体的にみていきたいと思いますが、まずは心構えから考えてみましょう。

~雰囲気づくりの心構え:自分の個性に合わせたカスタマイズ~
大切なのは、自分の個性を生かすことです。
Web面談だからといって、自分の個性を失ってしまったら本末転倒。

これからお話しすることは、あくまで一般論です。
一般的なポイントを自分の個性に合わせてカスタマイズしていくことが、魅力的な雰囲気づくりにつながるのではないでしょうか。

とはいっても、画面越しに自分がどのような印象を与えているのか、相手にどのような雰囲気が伝わっているのかを自分自身で把握するのは至難の業です。

可能であれば、気のおけない人と実際にWeb面談してみて、率直にフィードバックしてもらうなど、「他者の目」を借りるのは大変、有益です。
また、筆者は、必要があって、相手の許可を得た上でWeb面談を録画したことがありますが、その録画を見ることによって、自分のコミュニケーションのあり方を客観的に観察することができました。
それも有益な方法かもしれません。

~デバイスの設定~
次に、具体的なポイントを、物理的に解決できることから考えてみましょう。

まず、カメラの調整です。
先述の通り、視線は大切な要素です。
上から目線だと相手は見下げられているように感じますし、かといって上目遣いだと睨まれているように感じたり、卑屈な印象を受けたりします。
カメラの位置と目の位置を合わせるのがポイントです。

次に、カメラに映るのはどこまでにしたらいいでしょうか。
表情も大切な要素ですから、表情がはっきりわかるように、カメラの距離は近めに設定しますが、顔があまり大映りになるのも威圧感を与え、雰囲気を壊すといわれています。
鎖骨から下10cmくらいまでが映るように設定するのがひとつの目安でしょう。

表情をはっきり映すためには照明も大切な要素です。
画面を見て、表情がくっきり映るように、照明の明るさと位置を調整しましょう。

次に、画面の背景は雰囲気に大きな影響を与えます。
背景画面を使うかどうか、使うとしたらどのようなものにするかは、そのときの状況―面談場所の環境や面談相手、面談の用件などによって選択するのがいいでしょう。
画面の背景は客観的に観察することができる要素なので、面談時に相手の背景を観察・分析して、その経験を生かすことも有益です。

相手の音声が聞き取りにくいと、聞き違いをしたり、何度も訊き返したりして、行き違いが生じ、雰囲気も悪くなってしまいます。
音声状況は、相手のネット環境によっても、その時々でも変化しますから、ヘッドセットを用意しておき、適宜、使いましょう。

~服装・身だしなみ~
服装や身だしなみは直接対面に準じるのが基本ですが、顔の近くには少し明るめの色をもってくると、顔映りがよくなり、雰囲気が明るくなります。
洋服はほんの少ししか映りませんから、それを意識してチョイスしましょう。

筆者もそうなのですが、Web面談では、実際に職場に行くときよりどうしてもラフな服装になりがちです。それも、慣れれば慣れるほどそうなりがちなので、自堕落な雰囲気にならないように注意が必要です。

~コミュニケーション~
最後に、コミュニケーションについて2点に絞って考えてみたいと思います。

リアクションは直接面談よりややメリハリをつけて
日本語でのコミュニケーションは、相づちや頷きが多いという特徴があります。
「ええ」、「はい」、「ああ」、「そうですね」、「なるほど」など、相手の話に合わせて相づちを打ちながら頷づくのが自然です。

ところが、Web上では、同時に複数人が話すと音声トラブルが生じるため、聞き手はマイクをミュートにしておくのがマナーです。
つまり、相づちが打てないのです。

いつもの相づちが聞けない―それは話し手にとって大きな不安材料です。
そこで、筆者は、相手の話を聞くとき、相づちの代わりに、いつもより深めに頷くように心がけています。
ちょっとしたことですが、直接対面のときより少しだけ動作を誇張するだけで、効果絶大。
共感的な雰囲気で、安心感をもってコミュニケーションをとることができます。

頷きに限らず、リアクションにメリハリをつけるのは有益です。
筆者の友人に、テレビのワイプが参考になると言う人がいます。ワイプ自体は好みが分かれるところですが、どの程度のメリハリが適切なのかの研究材料にはなりそうです。

意思の疎通が基本
次に、ビジネス・コミュニケーションには、雰囲気より優先させなければならないことがあることを、しっかり意識しましょう。

ビジネス・コミュニケーションの基本は、意思の疎通です。
そのためには、相手の話を聞き落さないようにするとともに、こちらの言うことを間違いなく相手に届けることが必要です。

ややゆっくり目にはっきり話すのが原則。
また、先ほどお話ししたように、必要ならヘッドセットなどを使って正確に聞き取れるようにしますが、それでも聞き取りにくかったら、遠慮なく相手に伝えましょう。
よく聞き取れないのに遠慮からそれを伝えず、推測で補うのは危険です。
行き違いや誤解が生じないように、伝えるべきことはしっかり伝えつつ、笑顔や表情、口調、表現などで和やかな雰囲気を保ちます。

ターン・テイキングのタイミングも大切です。
ターン・テイキングとは、交互に話す場合の話し手の切り替えです。直接面談ではスムーズにいくターン・テイキングも、Web上ではなかなか困難です。

筆者も、相手と同時に話し始めてしまったり、相手に配慮して言いそびれているうちに、伝えるべきことを伝え忘れてしまったことがあります。

直接対面同様、相手が話し終わるまでじっくり話を聞きますが、ターン・テイキングの見極めが難しい場合は、
「よろしいでしょうか」
などと、一言、断ってから話し始めるなどの配慮が必要です。

おわりに

以上、Web面談で行き違いや誤解を防ぎ、円滑なコミュニケーションを図るための雰囲気づくりについてみてきました。

有益なポイントを押さえ、どうしたら自分の個性を生かしながらリアルな雰囲気に近づけていけるか―そのような観点に沿って、自分らしい雰囲気をカスタマイズしてみてはいかがでしょうか。

*1
内閣府(2020)政策統括官(経済社会システム担当)「新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査」(2020年6月21日)
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf
*2
内閣府(2020)政策統括官(経済社会システム担当)「新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査 概要」
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo1.pdf
*3
東京商工会議所(2020)「『テレワークの実施状況に関するアンケート』 調査結果」(2020年11月4日)
http://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1023299

プロフィール
横内美保子(よこうち みほこ)
博士。元大学教授。総合政策学部などで准教授、教授を歴任。
現在は社会問題をテーマとしたプレゼンテーション、レポート作成、ビジネス・ジャパニーズなどのクラスを担当。
Webライターとしては、各種統計資料の分析などに基づき、主にエコロジー、ビジネス、社会問題に関連したテーマで執筆、関連企業に寄稿している。

Twitter:https://twitter.com/mibogon

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