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人気の感染予防グッズやおすすめは?店舗でできる感染対策を現役看護師が解説

新型コロナウイルスによって、感染予防グッズに注目が集まるようになりました。
流行初期、マスクや消毒薬が品切れになったのは皆様も記憶に新しいかも知れません。

感染予防と経済活動を両立させるためには、感染予防グッズが欠かせません。
しかし、さまざまなグッズがあるので、何を使ったらいいのか、どのような効果があるのか分かりにくいという方も多いと思います。
さらには、効果が不明なグッズも出てきており、慎重に選びたいところです。

そこで今回は、感染予防の基本を押さえながら、感染予防グッズの使い方を解説します。
ぜひ参考にしていただき、ご自身の店舗に合ったものを選んでみてください。

目次

まずは感染予防の基本を理解しよう

小売店や飲食店で感染が起こりやすい場面とは

本当に効果はある?感染予防グッズの選び方は慎重に

感染予防グッズの紹介と効果的な使い方とは

まとめ

まずは感染予防の基本を理解しよう

感染予防を考える前に、まずは感染症がどのようにして起こるのか理解しておきましょう。

感染症とは、病原体が体の中に入り込み、発熱や咳などの症状を引き起こす病気のことです。
病原体には、細菌やウイルスなどさまざまな種類があります。
感染ルートは、主に「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」の3つです。

感染症は、病原体があれば必ず起きるわけではありません。
感染症が起こるためには、「病原体」「宿主(人)」「感染経路」の3つが必要です。
日本看護協会は、上記の3つに加えて「感染源」「排出門戸」「侵入門戸」を合わせて6つの要因があると述べています。*1

引用)日本看護協会「感染予防の基本」
https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/covid_19/document/pdf/kihon.pdf p10

感染症を予防するためには、上記の連鎖を断ち切る必要があります。
感染予防グッズを使うことで、病原体を死滅させたり感染経路を遮断したりできます。
そのため、店舗で感染症を防ぐためには、感染予防グッズを用意し適切に使うことが重要です。

小売店や飲食店で感染が起こりやすい場面とは

感染症の成り立ちを理解したうえで、小売店や飲食店ではどのような場面で感染症が起こりやすいのか考えてみましょう。

①商品やお金の受け渡し(接触感染)
感染している人が触れた商品やお金を触り、その手で目や鼻をこすることで接触感染になります。

②お客さんやスタッフ同士の会話(飛沫感染、場合によっては空気感染)
会話は、飛沫が飛ぶ大きな要因です。
特にマスクをしていないと、その確率が高くなります。
感染症の種類や換気の状況によって、空気感染が起こる可能性もあります。

③トイレ(接触感染)
排泄物には、多くの病原体が含まれています。
掃除が行き届いていなかったり、トイレの後に手を洗っていなかったりすると、接触感染の原因になります。

④調理や食事の場面(接触、飛沫感染)
調理をする人が感染していて、食材を触ったり飛沫を飛ばしたりすると、その料理を食べたお客さんが感染する可能性があります。
また、お客さんが話しながら食事をすることで、飛沫が飛びやすくなります。
食事のときはどうしてもマスクを外すので、飲食店での飛沫感染・空気感染にはより一層注意が必要です。

 

本当に効果はある?感染予防グッズの選び方は慎重に

世の中には、「ウイルスを付けない」や「部屋の空間そのものを除菌」など、さまざまな謳い文句で感染予防グッズが販売されています。
魅力的に感じますが、実は効果が不明なものもあるため、注意して選ばなければいけません。

まずは、よく耳にする「消毒」や「抗菌」などの単語が、どのような意味なのか確認しましょう。
①消毒
細菌やウイルスを無毒化すること。薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づき、厚生労働大臣が品質・有効性・安全性を確認した「医薬品・医薬部外品」の製品に記されている。*2
②除菌
細菌やウイルスの数を減らすこと。「消毒」とは言いませんが、実際には細菌やウイルスを無毒化できる製品もある。*2
③滅菌
有害か無害かに関わらず、全ての細菌やウイルスがない状態。医療現場で用いられる器具に多く使われる。
④抗菌:製品の表面における細菌の増殖を抑制すること。*3 つまり、抗菌の製品であっても細菌がいないわけではない。

このように、言葉によって微妙に定義が異なります。
「消毒」「除菌」「抗菌」は、全てのウイルスや細菌に対して効果があるわけではありません。
そのため、「この感染予防グッズを使えば、絶対に感染が起こらない」というわけではないのです。

さらに、細菌やウイルスの種類によって、効果的な消毒方法は異なります。
新型コロナウイルスの場合は、以下の通りです。

引用)厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html

一時期、次亜塩素酸水が新型コロナウイルスに有効であると話題になりましたが、上記の表の通り手指に対しては未評価となっています。

また、注意したいのが空間噴霧です。
厚生労働省では、消毒スプレーを空中で噴霧することを推奨していません。*2
理由は、スプレーが目や皮膚などに付着すると、健康を害するおそれがあるためです。
消毒スプレーは、空中ではなく物に対して使うようにしましょう。
空気中のウイルスが気になるときは、こまめな換気がおすすめです。

 

感染予防グッズの紹介と効果的な使い方とは

それでは、具体的な感染予防グッズと効果的な使い方について解説します。
店舗の環境やその場の状況に合わせて、適切なものを選ぶようにしましょう。

①体温計
新型コロナウイルスの感染拡大で、非接触型体温計を目にする機会が増えました。
しかし、非接触型体温計の数値は、通常の体温計(脇の下で測るタイプのもの)に比べて正確でない可能性があります。
本来、体温は外気の温度に影響されにくい場所(脇の下や口の中など)で測ります。
非接触型体温計の場合、額や手などで測るので、外気の温度変化に弱いのです。
とはいえ、不特定多数のお客さんに通常の体温計を使用するのは難しいので、非接触型体温計を使う場合はあくまで目安として考えましょう。

②マスク、フェイスシールド
コロナ禍で外出時にマスクをする人が増えたので、来店時にはすでにマスクをしている人が多いと思います。
しかし、マスクは飛沫で汚れやすく、汚れたまま使用するのは衛生的ではありません。
汚れたときにすぐ交換できるよう、店舗の備品としてマスクを用意しておくと安心です。
フェイスシールドは、顔に密着しないため、相手からの飛沫を防ぐ効果はあっても自分が出す飛沫を抑制する効果はありません。
そのため、マスクと併用するようにしましょう。

③使い捨ての手袋
手袋をすれば、自分の手に直接細菌やウイルスが付着するのを防げます。
しかし、手袋を交換しないまま他の場所を触れば、細菌やウイルスを広げる原因になります。
手袋をするときはこまめに交換し、外したあとは石けんで手洗いをしましょう。

④消毒薬
一般的な消毒薬はアルコールですが、アルコールは全ての感染症に有効ではありません。
例えば、吐き気や腹痛で知られるノロウイルスはアルコールが効きにくく、次亜塩素酸ナトリウムが有効です。
特に飲食店では、アルコールと一緒に次亜塩素酸ナトリウムも準備することをおすすめします。
手指消毒用のアルコールは、店舗の入り口やスタッフの控え室など、手軽に使える場所に置くようにしましょう。
厚生労働省は、エタノール濃度が70%以上95%以下のものを推奨しています。
※70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のエタノールを使用できます。*2

⑤使い捨てのワイプ
テーブルや備品を拭くとき、布製のふきんではなく使い捨てのワイプが便利です。
その都度交換するので衛生的ですし、洗濯や消毒の手間がありません。

⑥パーテーション、カーテン
レジや飲食店のテーブルに設置し、飛沫の拡散を防ぎます。
パーテーションやカーテンを使用しても、換気が悪いと飛沫が空気中に舞い上がる可能性があるので、こまめな換気を心がけましょう。
また、定期的に拭き取り、清潔を保ちながら設置してください。

⑦ペーパータオル、石けん
トイレや洗面所など、手を洗うところには忘れずに用意しましょう。
手を洗ったあとは、共用のタオルではなくペーパータオルを使うと衛生的です。
最近では、手を触れなくても石けんが出る非接触型の石けんボトルもあります。

 

まとめ

感染予防グッズは、ただ使えばいいというものではありません。
このグッズにはどのような目的があるのか、どのように使えば効果的なのか知ったうえで使うことが大切です。
便利なグッズもさまざまあるので、店舗の状況に合わせて適切に選び、感染予防と営業を両立していきましょう。

*1
参考)日本看護協会「感染予防の基本」
https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/covid_19/document/pdf/kihon.pdf p10

*2
参考)厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html

*3
参考)経済産業省「抗菌加工製品ガイドラインのフォローアップ結果について」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/human-design/downloadfiles/030224koukin(New).pdf

 

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