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クラスターが発生したらどうする?|コロナ時代の企業の危機管理対策を弁護士が解説

新型コロナウイルス感染症が世界的に大問題となり始めてから、はや一年以上が経過しました。
コロナ収束の兆しが未だ見えない中で、企業はアフターコロナ社会へ適応することが求められています。

アフターコロナ社会において、ポジティブな企業イメージを構築するためには、適切なコロナ対策を実施することが不可欠かつ最重要課題となっています。
今回は、企業がコロナ対策を実施するうえで留意すべきことを、「平時」「有事」の両場面について解説します。

 

企業が留意すべきコロナ対策の2つの視点

企業がコロナ対策を実施するに当たっては、「従業員に対する視点」と「社会に対する視点」の2つを持っていただきたいと思います。

■ 従業員に対する「安全配慮義務」

従業員との関係では、会社は従業員が生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるように、必要な配慮をする義務を負っています(労働契約法5条)。
これを「安全配慮義務」といいます。

企業としては、オフィス内や出張先など、従業員が業務に従事している最中に新型コロナウイルスに感染する事態は、最大限の注意をもって回避するよう努めなければなりません。
もし安全配慮義務を怠った場合、従業員から損害賠償を請求される可能性もあるので注意が必要です。

■ 社会的規範に対する「コンプライアンス」

さらに、企業は社会的に責任ある存在として、常に社会からの監視の目に晒されていることにも留意することが必要です。

近年注目されている「コンプライアンス」(Compliance)は、法令遵守だけを意味するにとどまらず、企業は社会的規範全般を遵守すべきであるという考え方を含んでいます。
その究極的な目的は、企業が公明正大な経営を行うことで、社会からの信頼を勝ち得て利潤の拡大に繋げる点にあります。

特にアフターコロナ社会では、「企業は適切なコロナ対策を行う」ということが当然の社会規範になっていると言えるでしょう。
そのため企業としては、どの程度のコロナ対策が常識となっているかを適切に把握したうえで、少なくともその水準以上の対策を実施することが求められます。

 

企業が平時から実施すべきコロナ対策

自社でコロナのクラスターが発生してしまうと、社内・社外に向けた困難な対応を迫られるうえ、社員の欠勤によって日常のオペレーションに悪影響が生じる事態にもなりかねません。
そのため、企業は平時からクラスター発生防止のための予防策を講じておくことが大切です。
クラスター発生防止の対策としてはさまざまなものが考えられますが、前述の「安全配慮義務」と「コンプライアンス」の観点からは、以下の2点について特に意識的に取り組むのがよいでしょう。

■ リモートワークの推進・対面会議の削減

従業員が業務中に新型コロナウイルスに感染するリスクを低減させるためには、従業員同士、および従業員と取引先の接触機会を極力減らすことが大切です。
そのためには、「リモートワークの推進」による出勤率の抑制と、「対面会議の削減」が対策の2本柱となります。

初期投資の負担への懸念などから、リモートワーク未導入の企業も未だ多いところです。

しかし、アフターコロナ社会においては、長期的に見てリモートワークの導入は必須といえるでしょう。
リモートワークが導入されていない企業は、就職・転職活動において敬遠され、人材確保に苦しむことが予想されます。
また、リモートワークの導入によってオフィス賃料を削減できた企業と比べて、経費面で不利な立場に立たされてしまいます。

リモートワークの導入には、従業員に対する安全配慮義務を果たすことに加えて、さまざまな副次的なメリットが存在するので、未導入の場合は一刻も早く導入に着手することをお勧めいたします。

対面会議の削減は、電話会議やビデオ会議に切り替えることですぐにでも実施できる対策です。
依然として対面会議がスタンダードになっている企業では、方針変更を検討しましょう。

■ 実施中のコロナ対策をホームページなどで公表

コロナ対策を行うことには、実際のコロナ発生を防止することに加えて、「きちんとした企業である」ことを対外的に発信する意味合いもあります。

そのため、平時においてどのようなコロナ対策を実施しているかは、積極的にホームページなどで公表しましょう。
コロナ対策に関する対応方針の宣言を文章化して、トップページに設置しておくなどの方法も、対外的なメッセージとして有効です。

 

クラスターが発生した場合の危機管理対応

実際にコロナのクラスターが発生してしまった場合には、速やかに従業員の安全を確保するとともに、対外的なイメージの毀損を防ぐための危機管理対応が求められます。
危機管理対応における主要なポイントは、以下の3点です。

■ オフィス全体またはフロアの閉鎖
オフィスのうち、コロナ感染が発生したと思われる箇所や、感染者が通行したと思われる箇所については、速やかに閉鎖のうえで消毒対応を行う必要があります。

オフィスが複数フロアにまたがっており、フロア間移動が厳しく制限されているのであれば、感染者の所属するフロアのみを閉鎖することで足りるという判断もあり得ます。
そうでなければ、オフィス全体を閉鎖するのが望ましいでしょう。

クラスター発生時のオフィス閉鎖を可能とするためには、平時からリモートワークの仕組みを確立しておくことが大切です。

■ 取引先に対する迅速な情報共有
自社でコロナのクラスターが発生した場合、従業員の欠勤によるオペレーションの遅延・会議のキャンセルなど、取引先に迷惑がかかることがあります。
また、自社の従業員と取引先の従業員が最近接触を持っていた場合、取引先としては、自社の従業員がコロナに感染していないか不安に思うことでしょう。

上記のような取引先に与える迷惑や不安を考えると、信頼関係の維持・構築のため、自社における感染状況・感染者の所属部署・回復状況などを、取引先に対して迅速に情報共有することが大切です。

■ タイムリーな広報対応
コロナのクラスターの発生は、メディアにおいて大々的に報道される可能性もあります。
この場合、自社の企業イメージを守るためには、クラスター発生に対して迅速な対応をしたことを世間に印象付けることがポイントになります。

実際に行ったクラスターへの対応内容を、メディアや公式ホームページを通じてタイムリーに広報し、積極的に情報発信を行いましょう。

 

社会常識の変化を敏感に察知して、アフターコロナ社会への適応を

新型コロナウイルス感染症は、現代社会における未曽有の事態であり、どの企業も手探りで対応している状況です。

社会的に見ても、コロナの危険性や実施すべき対策についての「常識」は刻々と変化しています。
アフターコロナの社会において企業が生き残っていくためには、コロナに関する社会常識の変化を敏感に察知して、必要なコロナ対策をタイムリーに打ち出していくことが大切といえるでしょう。

 

阿部 由羅
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。専門はベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。

https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

 

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